巨星の堕ちた日

羽生善治九段のA級陥落が決まった。

1993年度の第52期順位戦で初めてA級入りして以来、名人9期を含めて29期連続でA級か、もしくは名人位を戴いていたというのだから、B級1組に在籍する羽生善治九段というのは実に30年ぶりということになる。1993年。まだ私が生まれてすらいない時から棋界の頂点で戦っていたというのだから唖然呆然だ。

羽生善治九段は私にとって、棋界の絶対王者、彼を倒さねばタイトルは獲れぬ圧倒的存在というのが強く刷り込まれた印象で、おそらく観る将指す将ネタ将果ては将棋なんて見ませんなんて方も多かれ少なかれ似たような印象を抱いているのではないだろうか。羽生先生はタイトルを持っていて当たり前、複数冠持っていて当然と。

私は羽生先生の明確なファンというわけではない。むしろ、彼を倒してタイトルを獲得してくれ、防衛してくれと思う場面の方が多かったように思う。
それでも、彼がタイトル通算100期か、はたまた無冠に転落か、という大勝負になった第31期竜王戦七番勝負は全力で彼を応援したし、負けて無冠に転落した時は大地が割れたかのような気持ちに陥った。

羽生善治とは太陽なのだ。

羽生善治九段がA級から陥落した今、再び同じような気持ちに陥っている。地が割れ、星が落ちたかのような衝撃を味わっている。
我らは願う。
夜が明けて、落ちた太陽が再び昇ることを。

明けない夜はないのだ。私はそう、信じている。



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