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専門家会議と諮問委員会

 私は「新型インフルエンザ等対策有識者会議 基本的対処方針等諮問委員会」に5月14日から経済学者として参加しております。よく誤解されますが、いわゆる専門家会議として知られている「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」とは別の会議です。

 専門家会議には3月19日以降、私は「2 専門家会議の構成員は、別紙のとおりとする。ただし、座長は、必要に応じ、その他関係者の出席を求めることができる」のうち、後者の座長が必要に応じて出席を求めたものの一人として出席してきました。新型コロナウイルス対策には、人々の行動変容が重要な鍵を握っていますので、行動経済学の立場から意見を述べてきたのです。

 諮問委員会は、専門家会議の提言をもとに作成された基本的対処方針について議論する場で、緊急事態宣言の実施や解除の基準について議論するものと理解しています。具体的な解除案について、経済学的な見地から、感染症以外の社会経済的リスク、解除案がもたらすインセンティブを考慮した意見を述べるのが経済学者の役割だと考えています。感染対策に伴う様々な規制がどのような社会経済的な影響を与えるかについて意見を述べることは当然含まれると思います。社会経済的なリスクを認識した上で、感染症対策の方針を決めた場合、そのリスクを減らすための経済対策の意思決定をするのは、「基本的対処方針等諮問委員会」ではないと認識しています。

 「基本的対処方針等諮問委員会」に経済学者が参加することで、この委員会で景気対策が議論されるのではないか、と誤解されているメディアの方が多いようです。専門家会議や諮問員会など複数の委員会があり、わかりにくいことは事実ですが、少なくともメディアの方は、それぞれの会議や委員会の役割を認識した上で報道頂ければ幸いです。

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