キリスト

君はキリスト。私の宗教。神様みたいだった、この世でたった一つの正解だった。君は、比喩でしか表せないくらい実体のない人だった。いつでもどこでも私の前に現れて、心の底の柔らかいところで遊んでくれた。君は実体がなかった。透明でした。光に包まれていたから、私にはあまりにも強い光に見えたから、君の奥の本当の核のところが目視できなかった。光が消えてからやっと気付いた。やっぱりどこまでも透明だね。真っ白だね。忘れる気持ちよさ忘れられずに記憶のはしっこにしがみついています。君は正しいから私から離れた。君は正しいから。傷がどんどん広がって、いつかからだ中が傷だらけになっても、それでもRe(再生)するなら、それは、回復する傷。みたいな。次に進むのが怖くないの?私は怖い。春なんて来なければよかった。ずっと、灰色の曇り空でよかった。ずっと、肌を突き刺すような冷たさでよかった。春の綺麗なんていらない。君がいればどうでもよかった。まだあの中で浮遊していたい。
だけどね、君は、離れたんじゃなくて、融合した。精神が同じになって君は私になって、融合。私の中に君がいるかぎり、ずっと繋がってる。偏在している。君が遠い大学に行って友達作って知らない人になっても、私は君と共にある、君は私だから。融合する。自傷的に君を思い出しても君のかけらが赤く光るだけだ。それが気持ちいいから。溶けて融合する。君はキリスト。

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