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私の中の"サヨン"を呼び起こしてくれた。TOMORROW X TOGETHER fanzine 『We found the stars』

現職の引継ぎやら転職活動やらに追われてなかなか余裕がなく、手元に届いてから随分と日が経ってしまったんですが、ここ数日でやっと読むことができました。愛するTOMORROW X TOGETHER(TXT)のファンである7人のMOAの方たちが、2021年に発売された彼らのアルバム『The Chaos Chapter : FREEZE』の楽曲(「0X1=LOVESONG」)にインスパイアされて生み出したfanzine「We found the stars」。作品そのものへの感想を敬意を持って言葉にして紡ぐことは、私の語彙力と感性が追いつかない自信しかないので、主に作品を通して呼び起こしてもらった私自身の"サヨン"(사연:個人の中にある感傷とかノスタルジックなストーリー、感覚、事縁)を中心に書き連ねる形にさせてもらえればと思います。


テヒョンを添えて。写真のセンスがなさすぎて申し訳ないんですが、表紙がとっても素敵♡


私とzine

遡ることン十年前。まだ"zine"なんてオシャレな言葉など存在していなかった高校時代に、作家や作詞家を目指していた友人達が自分たちの作品をzineとしてまとめようと企画していることを知りました。コンセプトは『和』ということで、友人の中に書道家のお母さまがいらしたのでそのお母さまに表紙の文字を書いていただき、基本は手書き中心で和紙に印刷することに。限定30部とかだったかな・・・。でも、全てを手書きで進めるの大変だよね、ということになり、当時心酔していた大好きなバンドマンが自分で作成・運営していたサイトを見たい一心で、親に頼み込んで買ってもらったPCを持っていた私が、一部、編集のお手伝いをすることになったんです。その時にzine作りの楽しさに目覚めたのか、大学では英字雑誌のサークルに入って編集作業に勤しんでました。(自分で創作することは苦手なんですけどね。。)
今回、発起人のドヌーヴさんがTwitterで、TXTのfanzineを出版するというお知らせをされてるのを見て、忘れていた昔の気持ちがムクムクと蘇ってきて。昔も今も雑誌が大好きで、フリーペーパーを集めたり、好きなもの・人・コトについて紡ぐ誰かの作品や言葉に触れることも大好きなので、それを大好きなTXT絡みで経験できるなんて!とめちゃくちゃ楽しみでした。


『We found the stars』を読んで


「眠る少年の手記と、一人のファンによるレビュー」

"僕たちはいつになったら、互いを傷つけあうことができるのだろう"の一文を読んで、シュチタでカンテが話していた
「僕たちは喧嘩ができないグループだった。」
という言葉を思い出した。
と同時に、10代の頃に自分が友達に投げつけたこんな言葉も。
「人を絶対に傷つけちゃいけないって誰が決めたの?自分は一度も傷つけたことないとでも思ってるの?そう考えてるんだとしたらそれはすごく不遜だと思う。私は生きてるだけで迷惑かけたり傷つけてる部分があると思ってるよ。でも大切な人同士、そうやって迷惑かけ合ったり傷つけたりし合って生きてくってそんなに悪いことなの?」
今振り返ると、こんな逃げ道をバッサリ断つような強くてアオすぎる物言いして・・・と呆れるけど、私もきっと、現実の中の自分だけの夢の世界が壊れる怖さと自由を求める気持ちとの狭間で、揺れていたんだと思う。永遠なんて求めるだけバカバカしいと絶望していることへの悲しみと、でもそれを信じたい気持ちを捨てきれない自分への苛立ちがあったんだろうなあ。
カンテ、メンバー達と喧嘩したかな?みんな、喧嘩できるようになったのかな?TXTの描く現実って、私には夢見がちすぎると勝手に思っていたけど、都合の悪い過去を忘れたくて、眠らせていただけなのかもしれないな…とこの作品から気づかされた気がします。


「Anti-Blue」

これ、このまま映像化できるじゃないですか・・・。黄金町にある私が大好きな映画館、ジャック&ベティで上演しませんか?細かい描写が美しすぎて、ドヌーヴさんの美意識を感じる。そして、なぜだろう・・・?私が大好きな映画「大人は判ってくれない」をものすごく思い出しました。
なんか、、何をしてても憂鬱で虚しくて、一生とか世界で一番とかそれっぽい言葉で満足して恋愛ごっこしてた時代って、今思えば夢の中を生きていたようなもんだなと思いました。
罪悪感や秘密を墓場まで抱えて一生生きることで、永遠の愛という現実を手に入れられたのかなこの少年は。その罪悪感や秘密を抱え続けることで、いつもYの愛が隣にあるかのような、君と僕との距離0mみたいな感覚をリアルに感じられるのかもしれない。いつでもYの存在を、愛を、自分の中に十字架のように宿して生き続けるということは、確かに愛の証なのかもしれない。


「0X1=LOVESONG Official MV 絵コンテを描いてみた」

ゼロバイはやっぱり映画だよね・・・と、しょうがさんのゼロバイイントロ絵コンテとMVを見ながら改めて思う。私は絵が全く描けない人間なもので、絵コンテから作家さんの意図を感じ取るって視点がものすごく新鮮で面白かった!ちゃんとビッヒのロゴモーションから触れてるのがさすがだ。。そしてCUT4での"テヒョンが手を握りしめ上に突き上げる"ってキャプションと絵コンテだけで、頭の中にゼロバイが流れてきて泣ける。
そういえばカンテはよく
「僕たちの人生が映画みたいなもんだから」
って言ってるけど、彼らのリアルってどこにあるんだろう?


「六月の羽音 유월의 날게소리」

ほんとなんでもないことが、ささやかな時間が、存在が、それが例え空想が生み出した世界であったとしても、1人と5人の少年達のそれぞれの孤独が昇華されて、それぞれが新しい世界の扉を開いていった・・・そんなイメージが脳内に広がって。。これからもまた孤独に押し潰されそうになることがあっても、この時の記憶で強く生きていける、なんか私までそんな希望をもらえた気がする。この再生ボタンを押した彼もまた、星との約束を思い出せたのかな。そうだったらいいな。


「tomorrow X together が歌う変化のエネルギー形態別分類」

楽曲をエネルギー形態で分類するって視点、まったく想像もつかなくて面白すぎる!こういう発想力、素敵だなあ。
個人的に「No Rules」の"結局同じところに着地してどこにも辿り着いていない感じ"という表現が、すごく腑に落ちる。(ノルルはメンバーにとって体力をひたすらに奪いとられる身体的にハードな曲のようなので。)
あとブルオレ(「Blue Orangeade」)の"しゅわしゅわ"もめっちゃわかる!


「待ち合わせは、世界の上で」

私は<アーティストと私>とか<あっちの世界とこっちの世界>みたいに、かなり線引きして応援するタイプのファンだけど、たまにそれがものすごく苦しくなる時があります。過去の私は今と真逆の人間だったから。きっとこれからTXTを応援していく中でも、その線引きグセ故に苦しむ時があると思うけど、そんな時はこの"世界の上で"待ち合わせるって言葉に前向きに逃げ込ませてもらおうと思いました。お守りのような言葉に出会えた気持ちです。


「0X1ne day」

このストーリー、ほんとに好きです。もう何回も読んでるけど毎回大泣きです。TXTの曲聴いてもこんなに泣いたことない(笑)なんだろう、、ほんと、人は一瞬の出来事やたった一言で奈落に突き落とされることもあれば、たった1日の出来事のおかげで生きながらえることもできると思うんです。たぶん、私がこのストーリーにこんなにも心動かされるのは"おれ"の傷ついた心の源に愛が宿ったんだなと感じさせられたのと、過去に4人(4匹)に送った愛が時空を超えて巡ってきたことがあまりに尊いのと、その感覚を私も知っているから、だと思います。
私が人生で怖いことの1つが<記憶喪失になること>なんだけど、それは今まで受け取ってきた大切な思いや経験してきた記憶を失ってしまったら、生きていく力が消えてしまいそうだから。物理的な<永遠>には全くリアリティを持てないけど、記憶は<永遠>にできるとは思っているので。
今はまだ渦中にいるからそのことに気づけないけど、いつかTXTを応援した軌跡も記憶となって私を永遠に生きながらえさせてくれるものになるんだろうな。


過去にやり残した<青春>を追体験させてもらえたようだった

私は学生時代を謳歌してきた人や友達が多い人への憧れが本当に強いんですよね。私なりの<青春>はあったけれど正直10代は色んな意味でかなり暗黒期でした。30代半ば位までは自分と似たような屈折した10代(学生時代)を過ごしてきた人ばかりに魅かれる傾向にあったけど、ここ10年位やたらと陽キャタイプに魅かれるようになって。推しのカンテも中学時代からの友人を大切にしているイメージがあるし、他の推しも学生時代のエモいエピソードが出てくる人ばかりで。老い先短いからか、やり残したこととか、経験できなかった<青春>を推しのエピソードや表現を通して追体験したい気持ちがあるんだと思います。でも、TXTの音楽やコンセプトや彼らの表現は、私には眩すぎてなかなか没入できない所があって。(ストーリーの複雑さを紐解けないからというのも多分ある)音楽や世界観、彼らの表現は大好きなんですが、なんというか、、没頭しきれない疎外感に近い気持ちを感じることもあったんですよね。でも今回、このfanzineに紡がれた作品を通して、間接的に過去の私が昇華しきれなかった思いや得たかった感情を追体験させてもらったような感覚になりました。まるで3rd placeができたような感じ。そんな、私の中の"サヨン"を呼び起こしてくれた7人のMOA writerの皆さまに、感謝です。ありがとうございました!

これからより一層、TOMORROW X TOGETHERへの、彼らの音楽や表現への愛が深まりそうです♡

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