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独り旅 一日目前半

二〇一八年十二月三十日から、二〇一九年一月一日までの静岡を歩いたり大山を登ったりした一人旅の記録。旅行中に書いたことほとんどそのまま載せる。

本当は、二十八日に出発するはずが、忘年会オールや部屋の片付けをしていたら二日間も余計に東京にいてしまった。残念がる気持ちもあるけど、東京に何かを思い残したままでは落ち着かないからよいのだと思う。

 三十日朝、知らない電話番号から電話。佐川急便から、頼んでたBluetoothイヤホンが届いたらしい。なんたるタイミング。もっと早くに家を出ていたら受け取れなかったな。ラッキー。iPhoneについてきたのが壊れてからずっとイヤホンいらずの生活だったし、音楽を聴かないこの旅にはイヤホンはいらないつもりだったけど、一応イヤホンを充電して、昼過ぎに出発。

去年旅行した時に、キャリーバックでの移動に苦労したのでリュックひとつに詰め込む。重いからパソコンは持っていかないことにした。

乗り換えの小田原で試食したカマボコが美味しかった。おせちに入ってるのより断然美味しい。小腹にきくな。
カマボコと同じ並びで売っていた塩大福を購入。お腹が空いてるんだけど、冷えてるから一時間後に食べてほしいとのこと。残念。コートのポケットで温めておく。

熱海に到着。熱海で乗り換えだから、一回降りてみる。商店街で売っていたたこ入りの練り物が美味しい。熱海、なんとなく好きなんだよな。

 一八時二十分に静岡についた。車内で食べた大福で血糖値が上がったのか眠くなり、いつからか寝ていたみたい。ちょうど目が覚めたら静岡に着いてた。自分の中の何かが起こしてくれたのだと思う。危うく乗り過ごすところだった。

目的地に着いてからは完全に一人になるため、連絡手段を断とうと思っていた。ラインもツイッターもできないと宣言して、親にも連絡できないとメール。家に着くまで絶対ツイッターは見ないと決める。

外は涼しくってよい。正直、車内の足元の暖房は効き過ぎてる気がする。のぼせた足がしゃきっとしだした。どこに行くかも決めず、ただ好きな方向へ向かう。どこに行き着いたって構わない。電車でなまった足が、動ける自由に浮かれている。そうそう、こういう彷徨うことがしたかった。

静岡の街へ繰り出す。繁華街を抜け、住宅街にぽつぽつとお店。

街灯の下にスピーカーがついてる。軽快な音楽だ。本当にイヤホンいらず。自分の中に流れる音楽をかき消してしまうから今回は音楽がいらないし、自主的には聴きたくない。

「Shazamを使ってThe JuddsのLet Me Tell You About Loveを発見しました。」愛について教えさせて、だってさ。ほう、ひとつ教えてほしいもんだね。

 日本に富士山が二つあったら、山梨と静岡で半分こして喧嘩しなかったかな。

 静岡駅からふらふら。

結構歩いてから、さわやかという静岡限定ハンバーグレストランに食べに行くことにした。ここから駅と反対側にもっと歩くけど、風の気持ち良い夜だから歩くのがとても楽しい。

夜の間鳥はいつもどこにいるのだろう。

珍しく夜なのに小鳥がわんさといて、驚いてしまった。

 さわやか、百二十分待ちと言われ、駅前店より待たないと踏んで歩いてきたのに…とちょっと思った。多くのお客さんは車でやってくるから、駅の近さなんて関係なかったみたい。

でもしばらく待っていたら四十分ほどで案内してくれた。うれしい。一名だからというのもあるのかな。とにかくうれしい。

「さァカンパイからはじめよう!!」

そうしてメニューに載せているのがノンアルドリンクであるのが素敵だ。最初は子どももカンパイって憧れるから、そういうための子供用ドリンクなのだと思った。けど大人用のビールはもっと小さく表示されていた。嬉しいし、季節限定のドリンクが別に三種もあった。しかも全部百円で。いやあ、いいな。

まあ、悩んだ末、頼みはしなかったんだけどね。家でジュースを飲んだっきり、水分を取っていなかったから、お水が美味しい。美味しい。何杯もおかわりをもらってしまう。ありがとう、ありがとう。

最近は接客業の人にありがとうございます、をちゃんと返す、というのに自己満足的な楽しみを覚えている。レジに行くだけで、働いている人に感謝の言葉を述べれるのだから、対人レジはセルフレジに負けてほしくないな。

げんこつ、を名乗っているハンバーグなのに、げんこつの形を保っていたのは目の前に現れて一分たらずだった。すぐに真っ二つにされてジュージュー言わされている。これでもか、ってくらい押しつぶされて、少しお肉に同情する。

 鉄板が牛の形をしているのに気づいちゃうと、改めて命を食べているんだな……と思う。魚の活け造りとかでお頭付きなのはあるけど、それの牛バージョンなんだもんね。一度気づくとあんまりお顔が見れないや。ありがとうございます。背徳の気持ち。

美味しい。何にもソースをかけないでも、ちゃんとお肉の味がして、美味しい。不安になるくらい赤いけど。鉄板も温度低くなっちゃったし。まあでも本当に美味しい。

静岡の名前に負けて、静岡抹茶プリンも頼んでしまった。二百円なのはつい手が伸びてしまうなあ。

つくることへ生かしてゆきます お花の写真をどうぞ