耳が肥えた

　常日頃から綴っているよう、また、名前からも分かる通り、私は四六時中AMラジオを聞いている。AMラジオの魅力に引き込まれて、すっかりその世界にはまってしまい早5年だ。

　さて、昨日から大学の授業が始まった。大学側は「対面再開！」とは言うものの、何にせよ第四波のこの状況。関西の主要県から多くの学生が集まる私の学校では、いきなり全てを対面に戻すことはできず、恐る恐る一部で対面を再開している状況。

　そんなこんなで、90分間イスに座り、名前も知らないような偉人の哲学を体一身に浴びる日々が再び始まった。

　受講しながらいつも思うことがある。
「話おもんないなぁ。結局何が言いたいん？この話のどこがポイントなん？話下手くそやなぁ。」

　なぜこう感じるのか考えた。そして、その理由が分かった。それは、私の耳が肥えているからだ。
　　
　そりゃそうだろう。私は四六時中ラジオを聴いている。朝は浜村さんに松井愛さん、昼はコンちゃんに上さん、夜はYouTubeでパラさんと兵動さんを聴きまくる。　

　そりゃ耳も肥えるに決まってる。この人たちはベシャリのスペシャリストなのだから。毎日3食有名シェフが腕を振るったフルコースを食べているようなものだ。そこからいきなり、素人がクックパッドを見ながらしどろもどろ作った料理なんか口に合うわけがない。

　構成がしっかり練られていて、聴かせ所で声のトーンや話のリズムを変え、程よい時間できっちり落とす。こんなベシャリを素人の大学教員に求めている私の方がどうかしている。

　「それにしても、、、」と、言いたいところだが、こんな所でこんな自分が何を言おうと届くはずもなく、心の中でブツブツ文句を垂れながら授業を受ける90分。それはそれは、相当なフラストレーションに身体がさいなまれる。

　自分が普段、いかに贅沢なトークを聴いているのか。それを再確認した授業の再開日だった。

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