映画「パッセンジャー」をブレイクスナイダービートシートで逆箱してみた

好きな映画なのでやってみました。一年くらい前にやったのをアップ。間違ってる、とか異論とかあったら是非教えてください。

ログライン:ヒロインを得るために大罪を犯した孤独な主人公が自らの罪を償い、結ばれる話

あらすじ:巨大な移民用宇宙船でたった1人目覚め、孤独に死にゆく運命にある主人公が、孤独に耐えかね、一目惚れしたヒロインを目覚めさせ、愛し合おうとするが、自分の罪がばれて償いを求められ、その結果、2人は結ばれる

テーマ:愛とは与えるもの
幸福とは楽園とは、自らが築き上げるもの。たとえそれがどんなに絶望的な場所だろうと。

.1.オープニングイメージ
宇宙空間を旅する超巨大宇宙船。
タイトル表示。
テロップでの設定の説明。スペースコロニーにして宇宙船「アバロン」。めっちゃたくさん人がコールドスリープしてる。
誰もいない船内の描写。

.2.テーマの提示
宇宙船のバリアにぶち当たってはじける小惑星群。バリアが小惑星をガードしていく。
小さな爆発が次々に起こる。巨大な小惑星が迫る。衝突。
船内の電気がつく。揺れる船内。
船のディスプレイに修復中の表示。
コールドスリープマシンの一つに眠る男性、ジェームス(ジム)が目覚める。
「冬眠解除」の表示。
デジタルディスプレイにガイドの女性が登場。120年眠っていたことを告げる。
船は地球を旅立ち新たな惑星「ホームステッド2」を目指していることを告げる。あと四ヶ月でつくらしい。
自室に向かうジェームス。
ジャケットをあれでもないこれでもないと選ぶジム。

.3.セットアップ
教室のようなところに行くと、ガイドが諸々案内する。地球は人口過剰や物価高騰で住みにくくなった。だから、有志を募って移住中。
だがなぜか船内には彼以外に客がいないようだ。
他の客はどこにいるかガイドに問うが、答えは要領を得ない。
あせって船内を探すが、誰もいない。
船長室に向かうジム。しかし、ブリッジ専用のIDがないと開かないようだ。外からのぞくが、船長室には誰もいない。

パノラマルームで、現在位置をコンピュータに聞く。
ホームステッド2に到着まであと90年と教えられ、早く起きたことを知る主人公。
地球に通信を送信したが届くのは19年後。返信は早くて55年後。
どうやら、早く目覚めてしまったようだ。

バーで人を見かける。喜ぶジムだが、しかし、ロボットだとすぐにわかる。
ロボットと話すが、冬眠機械の故障はあり得ないという。ロボの答えも要領を得ない。矛盾した事態に解釈できず、まともな受け答えができないようだ。
AIは一通りの受け答えもコミュニケーションもできるが、不都合なことは答えられないし、どこか会話がかみ合わない。

彼はエンジニアなので、自分で冬眠ポットを分解して中を見る。冬眠ポッドを再起動するが、いっこうに眠れない。いよいよ、手段がないことを悟る主人公。絶望する。

ここで神の視点。メインルームでエラー表示が出る。エレベーターでエラーが起こる。不穏な伏線。

ジムはロボットバーテンの「楽しめ」という一言をきっかけに、船内の施設を存分に使って楽しみ始める。

ひげが生えて時間経過の表現。どんどんひげが伸びる。
だんだん服装も気にしなくなる。裸で歩き始めるジム。

.4.きっかけ
ジムは、船内の最新設備で遊んでもいっこうに孤独感は紛れない。
絶望したジムは宇宙服を着て、船外に出る。
広大な宇宙空間。宇宙空間をさまよいながら涙するジム。

戻ってきた後、宇宙服を着ずにエアロックを解除し、自殺を図るジム。
だが結局、死ぬことはできない。
絶望し走る。転ぶ。

そこでふと、ある冬眠中の女性に目が行く。名前はオーロラ・レーン。
絶望の淵にいる、彼は、藁にもすがる思いで彼女に思いを巡らせることになる。

.5.悩みの時
彼女のことを調べ始めるジム。彼女のインタビュー動画を見る。作家らしい。冬眠装置の横で彼女を見ながら思いを巡らせるジム。
ロボットにオーロラが理想の女性であると語るジム。
ずっと彼女の動画を見ている。

そんなとき、ふと、冬眠ポッドのマニュアルが目にとまる。

そんなジムがロボットに話す。「孤島にいて、1人だけ一緒に暮らせる人を選べる。その人の人生を変えてしまうが、あんたならその望みを叶えるか?人生を百万倍良くする方法を思いついたが、人として許されない行為、あんたならどうする?」
だが緒戦はロボなのでまともな回答は得られないが、ジムがオーロラを目覚めさせるかどうか悩んでいることが描写される。

延々と悩むジム。日々が過ぎていく。だが一度思いついた「思い」は振り切ることができない。

.6.第一ターニングポイント
ついに装置の前にッ工具を持ってきてしまうジム。
そして、彼女を起こすが、気づかれる前にあわてて逃げ出す。

ジムは、目覚めて船をさまよう彼女に声をかけ、彼女に状況を理解させる。
オーロラは混乱し、取り乱す。

ジムはロボットに秘密を守れるか話した上で、自分が彼女を起こしたことを告げる。ロボット派秘密は守りますと誓う。

ここで神の視点。エラー表示が別の場所で表示される。不穏な伏線。

.7.サブプロット
オーロラは冬眠に戻る方法はないかあがくが、結局手段がないことに気づく。

ロボット掃除機が壁に向かって追突しまくっている。不穏な伏線。

オーロラが日記をつけている描写。彼女は孤独を恐れている。彼女にとってジムはまだ、見知らぬ男。

.8.お楽しみ

記者のオーロラはジムに「宇宙旅行で初めて失敗した男」として、インタビューし始める。「なぜ、惑星移住をしようと思ったのか?」
ジム「地球では新しいものが即交換される。修理は必要ない。だから技術者が必要とされる新しい世界に行きたかった。そして自分の家を建てたかった」

彼女と冬眠者の職業を当て合う2人。カフェでお茶をし、などなど交流が深まる。

そして2人は共に船内のエンタメを楽しみ始める。孤独な状況で状況を分かち合い絆が深まっていく。
バスケ、ダンスゲーム。
バーで2人で飲む。
すっかり打ち解けている2人。オーロラに笑顔が戻り始める。

ジムはロボットを改造して、手紙を持たせ、オーロラをデートに誘う。
OKをもらう。
ジムはスーツでばっちり決めて、オーロラを迎えに行く。彼女もセクシーなドレスで現れ、ジムは目を見張る。

オーロラは気を許したのか、デートで身内のことを話す。彼女の死んだ父親も作家だったらしい。

そして2人で宇宙服で宇宙空間を見に行く。
宇宙服になるのにはドレスを脱がないといけないらしく、
ジムが後ろを向いているすぐ近くで裸になって着替えるオーロラ。
セックスの暗示。

そして宇宙空間を漂う2人。ロマンチックな音楽が流れる。
宇宙空間を浮遊しながら、彼女がジムに「ありがとう」という。

.9.ミッドポイント
宇宙船に戻り、ヘルメットを脱いだまま宇宙服のまま、くっつきあい、ついにキスをする2人。
そしてベッドシーン。絶好調のジム。

カフェで人目を気にせずファック。愛は深まる。

彼女が日記をつけ、ジムに読ませる。
「ジムとのことは幸せ。見知らぬ場所で思いがけない出会い」
2人の愛の日々。もう、孤独を感じていない。
「人生は終わっていない。いま、始まったばかりとさえ感じる」

船が恒星に近付き、重力ターンする。壮大な恒星を2人で眺める。
SF的見せ場。

.10.迫り来る悪い奴ら
彼女の誕生日を祝うジム。バーテンの前でオーロラが「私たちの間に秘密はない」という。バーテンが「秘密はない?」と聞き返し、いぶかしい顔をする。

.11.全てを失って
バーテンはオーロラと2人で話す。そのとき、バーテンが無邪気に真実を話してしまう。ジムがオーロラを起こしたことを。

直後、ジムが現れる。ジムが異変に気づく。
オーロラがジムに聞く、「あなたが起こしたの?」
YESと答えるジム。オーロラはめまいに襲われる。
画面がゆがんだような描写。

彼女はバーを飛び出す。船から出られないと混乱する。突然、天国が地獄に変わる。
泣き崩れるオーロラ。

.12.心の暗闇
ジムは1人、指輪をいじって眺めている。
オーロラはどこにもいない。

オーロラはジムに話しかけられると、何も言わずに逃げていく。

そして、オーロラは眠るジムの元を訪れて、ジムを殴る。ボコボコにする。
鈍器で殴ろうとして思いとどまるがジムは何も言えない。

1人、マラソンをするオーロラ。ジムはアナウンスで呼びかける。
「孤独だった。死のうと思った。だがあの夜、君に救われた。君の文章を読んで恋に落ちた。そして解放された気がした。無意味な人生が意味を持った気がした。君を起こしたことは、なかったことにしたい。だが無理だ。君を失いたくない」
オーロラは感情を爆発させる。
「あなたは私の人生を奪った!あなたの孤独なんて知らない!」

ジムがベッドで寝転がっていると、船内に異変が起き始める。ディスプレイが割れて、異変を告げるエラー表示。「重大なエラー」と表示される。不穏な伏線。
※初めて人物の視点で異変が描写される。

1人、昔の友人からのビデオレターを見て涙を流すオーロラ。
「あなたの心を許せるひとがいたら、受け入れてあげて。偉業を達成できなくても幸せになれる」

そんなとき、オーロラはロビーに植えられた木に気がつく。
ジムがやったんだろう。木を見て笑顔になるオーロラ。

そんなとき、ジムの乗ったエレベーターが突然、停まる。
オーロラの使う自動給餌器が壊れて食べ物が吹き出す。

突然、いないはずの第三者、館長のアナウンスが響く。
「どういうことだ?」
館長と会う2人。どうやら館長も冬眠機械の故障で起きたようだ。
ジムたちが館長に、惑星に着くまで、あと88年残されていることを告げる。どうやら、船には何か異変が起きているようだ。

館長室にはいり、異変を調べる3人。
どうも館長は体調が悪そう。
ドローンが突然、落ちてくる。ジムが言うにはこれで15台目。
他にも様々な異変が起きているようだ。
3人は船内を調べ始める。

船長はオーロラが意図的に起こされたことに気づいているようだ。
船長はジムの行為が許されない行為であると責任を問う。

館長はジムの気持ちは理解しているようで、オーロラに「おぼれる者はわらにもすがるものだ」という。

館長は体調が悪そう。1人になったときに吐血する館長。

※メインプロットラインはジムとオーロラのラブロマンスなので、船の故障は2人の関係性が修復するための理由付けに過ぎない。従ってこの時点でターニングポイントになるようなプロットの進展はまだ起きていない。

オーロラがプールで泳いでいると、重力装置が停止し、水が浮かび上がり、水の中に取り込まれてしまう。ジムも寝ているが、浮かび上がる。おぼれてしまうオーロラ。意識を失う。

すぐに重力は戻り、オーロラは一命を取り留める。

※ここでジムが助けてしまうと問題解決がぶれるのであえて、自然解決されるようになっている。

問題への対処を迫られる3人。

3人は過去のエラーを調べて、重大なエラーが2年前に起きていることに気づく。
どうやら故障元を自力で探さないといけないらしいが館長は倒れてしまう。
機械診断にかけると、重篤な状態で助からないことが発覚する。
故障ポッドのせいで体中がむしばまれているようで、余命はわずか。

そして、ガスは延命剤を使わずあっさりと死んでしまう。
「2人で力を合わせろ」と告げる館長。

館長からどこでも入れるIDをもらう。

船がピンチなので、悲しむ間もなく故障の原因を探し始める2人。
故障対策のために、協力が必要になる2人。「故障している重大な何か」を探す2人。一時休戦状態。

※何だったんだコイツ。館長はエラー原因と解決策を案内するために出てきた人。ジムがAIを修復するなどして原因を突き止めるんじゃだめなのか?

エアロックの故障で吸い込まれそうになるオーロラ。危機一髪助かる2人。
船に穴が開いていることに気がつく。
しかも穴が開いているのは一カ所じゃない。

ある一室で、リアクターが故障して熱が船内にたまっていることに気づく。業火が吹き荒れている。思った以上にやばい。熱の放出扉が故障していて熱を船外に放出できないようだ。

.13.第二ターニングポイント
人力で外から放出扉を開けるしかない。ジムが立候補する。ジムが扉を開けているウチに、オーロラが熱を放出する作戦だ。
見つめ合う2人。
「必ずうまくいく」というジム。不安そうなオーロラ。

オーロラは「必ず戻って、あなたなしでは生きられない」といって、ジムを見送る。

※ジムの罪を帳消しにするには、命を投げ出すくらいの犠牲がないとゆるされなかった。

だが、外に出て、ジムが放出扉を開けるが、すぐにしまってしまう。
扉が壊れていて、その場で押さえ続けないとしまってしまうようだ。しかたないのでジムが手で開け続けると提案する。
だがそんなことをしたら放出する熱で死んでしまう。

オーロラはそんなことできないという。ジムはシールドを持っているが耐えられるかわからない。オーロラは「あなたが死ぬならあたしも死ぬ」という。だがジムはオーロラに「やるんだ」と告げる。
迷うオーロラ。だが、熱によって船は今にもやばい。すぐにやらないとまずい!
オーロラがついに熱を放出する。熱に吹かれるジムは、吹き飛ばされまいと耐える。しかし、ついに吹き飛ばされて宇宙空間に放出されてしまう。命綱が千切れる。

熱は放出完了し、船は正常になるが、ジムは宇宙空間を浮遊し、熱を放出するリアクターに向かって突き進む。
ジムは持っていたシールドを放り投げて、反対側に飛ぶことに成功する。オーロラに無事を告げるジム。喜ぶオーロラ。

しかし、ジムには船に戻る手段がない。酸素レベルが低下し、危険値であることを告げるロボ音声が響く。

凍り付き始めるジムの宇宙服。もう死ぬしかない。
「君とは90年後に会いたかった。ごめん。おわかれだ」。

.14.フィナーレ
オーロラは宇宙服を着て、ジムを助けに向かう。そして、なんとかジムにたどり着くオーロラ。しかしジムは意識がない。

ジムをカプセルに入れるが、無情にも「死亡を確認」と告げるマシン。
オーロラは何とか蘇生を施そうとするが、蘇生には上位の権限が必要らしい。そこで彼女はIDの権限を上書きして、蘇生を施す。奇跡的によみがえるジム。
キスするオーロラ、
「キスでよみがえらせた」と気の利いた台詞。

※館長は蘇生しなかったのにというご都合感がある。人工呼吸で生き返った-!じゃだめなのか。

※ラブロマンス的にフィナーレ。2人の絆と愛が戻り、固定される。

戻った船内の平穏。ロボットは直り、館長の遺体も一応手厚く葬る様子を描く。

そんなとき、ガスのIDを使えば、冬眠に戻れることを発見する2人。しかし、使える冬眠マシンは一つしかない。

ジムはオーロラに使うように告げる。命をかける偉業を達成し、かつての罪を乗り越え、成長しきったジム。

オーロラの選択は?

…答えはみせず、ジムがバーで1人飲んでいるところに、オーロラが現れる。
そしてジムはオーロラに結婚指輪を渡す。

プールで2人宇宙を見あげる。そのまま、カメラ下がり、ホームステッド2が写る。82年後。目的の惑星についたようだ。

2人はどうなったのか??

.15.ファイナルイメージ
クルーたちの目覚めの時。オーロラの日記が読み上げられる。
「これを読んでいるなら、目的地に着いたのね。苦難の旅だったのよ」
クルーたちがロビーに行くと、生い茂った木々が出迎える。
「友人は言った。理想にとらわれてしまうと、今すべきことを失ってしまうと。寄り道もしたけど、私たちは巡り会えた。そして素晴らしい人生を築いた。2人で共に」

エンド

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