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#121_コロナの陰で、まだ原発は終わっていない

東日本大震災から10年が過ぎようとしており、さらにはコロナ下で、原発のことを考える機会も減っている中、気になるニュースがあります。

今月の26日に行われた「第18回東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係る検討会」で、「東京電力福島第一原子力発電所事故の調査・分析に係る中間取りまとめ(案)」が審議されました。

非常に専門的な内容で難しいのですが、新聞記事をガイドにして読んでいくと、少しわかってきました。

ポイントとしては、2,3号機内に非常に大量のセシウム137が存在するようです。1号機の推定量が約0.1~0.2PBq(ペタベクレル。PBq=10の15乗 Bq)であるのに対し、2号機は70PBq程度3号機は30PBq程度存在する可能性があるとのこと。

そして、

「2号機及び3号機のシールドプラグ下部に大量のCs(筆者注:セシウム)が捕獲されている場合、東京電力福島第一原子力発電所事故時に環境中(大気中)に放出されたCs 量(15PBq程度)が、チェルノブイル(原文ママ)原子力発電所事故(1986 年)時に環境中(大気中)に放出されたCs量(85PBq 程度)と比較して少なかったことの主要な説明の1つになると考えられる。」 

とも述べています。

ここだけ読むと、あの事故による原発由来の被害は、ほんとうはもっと甚大であってもおかしくなかったのかもしれず、いま、こうして私たちが以前と同じように暮らしていることは、奇跡なのかもしれません。何らかの理由により、多くのセシウム137が原子力建屋にとどまり、外部に放出されなかったのだとすれば、それは私たちにとって幸運としか言いようがありません。

一方、その代償は当然にやってきます。それでは、廃炉に向けて進める中で、この大量のセシウム137をどうすればよいのか。2、3号機のデブリを取り出す際、避けて通れない課題になると思います。

廃炉はあと20年、30年かけて進めていくものであるとのこと。このままでは、次の世代に重い課題を残すことになります。今、私たちはコロナの問題にとらわれており、それは仕方ないことではありますが、それでも忘れてはいけないことは、やはり他にもありそうです。

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