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#135_出木杉君の分析
ふと『ドラえもん』の出木杉君のことが気になったので少し分析してみたのですが(©藤子プロ)、
彼は成績優秀、スポーツ万能、ルックスもよい、ということで、だからこそ「出木杉(できすぎ≒too bright)」なわけです。
これは、のび太ときれいな「反対称性(Antisymmetry)」を示すものと思います。すなわち、のび太におけるこれらの各要素について変換を施すと、絶対値が同じですが、正負の符号が逆になると。
一方、しずかちゃんとは、「対称性(Symmetry)」がありますね。男女の性別という軸で変換しても、ほぼ重なります。
このように、のび太としずかちゃんという主要なキャラクターとの関係において、反対称性と対称性という二つの性質を適用すると、出木杉君というキャラクターが生まれることになります。
こうしてみると、出木杉君というのは、ほんとうに「実在」するのでしょうか? まあもともとマンガだから「実在」はしないのですが、のび太やしずかちゃんなどの他の登場人物との関係が、きちんと個対個の関係になっているかという疑問です。
というのも、マンガが手元にないので完全にうろ覚えですが、初期の大長編ドラえもんのどれかで、冒頭、のび太が、「出木杉に聞いてみよう、あいつ物知りだから」とか言って、写真か何かを見せるシーンがあったのですが、そのあと、冒険に行く際には出木杉君を誘わないのがすごく違和感でした。
のび太がヒトとして間違っている、というのも一つの合理的な解ですが、結局のところ、出木杉君というのは、のび太としずかちゃんというキャラクターの要素に変換を施した影(Shadow)なのかもしれません。だからこそ、彼は他の登場人物との間に、本質的なところでの結びつきを得ることができません(そしてしずかちゃんは、出木杉君を伴侶として選ばない。)。
そう考えると、出木杉君のたたずまいから感じる、あるほのかな悲哀というのもよく理解できます。
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