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#206_日本版SPACの検討開始(内閣官房の成長戦略に盛り込まれる予定)

SPACのことは以前にも記事にしましたが、

内閣官房の成長戦略会議の作る、成長戦略(6月に閣議決定予定)にも盛り込まれそうですね。

ちなみに、SPACの概要は以下のとおりです(出典:令和3年3月17日付成長戦略会議(第8回)配付資料・資料1基礎資料)。

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成長戦略会議の過去資料などみていると、文脈としては、スタートアップの創出・成長発展のための環境整備の一環として、有力な資金提供手段としてのSPACの可能性を検討しているのではないかと思います。

まあたしかに、日本におけるベンチャーキャピタル投資のマーケットは米国に比べて圧倒的に小さいですし、VCやエンジェル投資家のコミュニティも、結局は属人的な要素が大きく、closedな感じではないかと思いますので、その点がオープンになることは、選択肢を広げる意味でよいかと。個人投資家も、よりベンチャーへの投資がしやすくなりますので。

ただ、問題は山積みですよね。何より、上記の記事にも書きましたが、「個人投資家なんていちいち事業の中身まで自分で調べない(そういうスキルも時間もない)のが当たり前なのだから、結局は「胴元」(=SPACを設立するスポンサー)の信用(というパブリックイメージ)だけで投資するのではないか」という印象がぬぐえません。

となると、SPACを利用するスポンサーの能力や覚悟が非常に重要になると思います。その十分な情報開示も必要でしょう。好ましくないのは、玉石混淆のベンチャーが、実際のところ石ころでした、というリスクが、個人投資家に寄せられることではないでしょうか。それでいて、そのリスクは広く薄く分配されているので、何かあっても誰も文句を言わないという(本来、真面目に働いておカネを稼ぐのが美徳であると(心のどこかでは)思っているこの国民性も相まって。)。

米国で流行っているから日本でも、ということではない、制度設計が必要と感じます。

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