3つの川を渡りチャウンタービーチ(ミャンマー西海岸)へ
ここ数年で激変したミャンマーを見て感慨深い思いを抱く日本人、外国人はごく僅かなんだろうなぁと思いながら当時の記憶を記しています。
20年以上前になりますが…
ミャンマーの西にチャウンターというところが海が綺麗で車でも行けるらしい。でも行けるのは乾季だけ。雨季は道が舗装されていないので無理だから。
ネットの無い時代。現地の写真も無い。ほぼ人伝の、現地の人からの言葉での情報しかない中、友人達と行ってみることにしました。
季節は乾季。
悪路があるらしい、という事なのでランクルで早朝のヤンゴンを出発。
国内移動も必ずパスポートが必要。
郊外出る時にパスポート携帯必須は滞在外国人にとっては基本なんだけれど…
車を走らせ2時間弱。
大きな川が見えてきた。
車を川べりに停めてドライバーが検問?らしき小屋の前で何やら交渉。
どうもこの川を渡らなければ先に進めないらしい。
そしてパスポートチェック。
すると1人の友人が
「あー!!忘れたかもー!!泣」と言うではないか!
無理なんです…パスポート無いとこの先は行けないのです。泣。
さてどうしよう。今からまた2時間弱けけでヤンゴンに戻り…日没までに現地に到着出来るんだろうか。苦笑。
しかも彼女の家の鍵を持っているのは旦那さん。今正にこの時間にゴルフ場にいるという…汗
悩んでいても仕方ない!
戻ろう!先ずはゴルフ場で彼女の旦那さんを探して家の鍵をゲットしなければならない。
今頃コース回ってるよね…広いゴルフ場で見つけるまでの時間も入れると相当な時間ロス。泣。
でも私たちにやめるという選択肢は無かったみたい。
当時のヤンゴンのゴルフ場。そこに行けばほぼ知り合いのおじさん駐在員しかいない。
だから意外と直ぐに見つかった。
知り合い見つけて〇〇さんのご主人見ませんでしたかー!!って伝言ゲームみたいな感じ。笑
今朝出かけたハズの妻が慌てた顔で「鍵!鍵!!とにかく鍵ちょうだい!」といきなりゴルフ場に現れたのだからそりゃ驚くよね。
彼女の旦那さんのキョトンとした顔が忘れられません。
さてそこから彼女の家に戻りパスポートを持って再度来た道を戻る。
「なんか気のせいかなぁ。ここついさっき通った気がするんだけど、笑」なんて笑いながら。
そしてさっきの川沿いの検問所に再度到着。
もうお昼近くになっていた。
さて、川まで到着したのはいいのだけれど…
この川をどうやって渡るんだ?
視界の中に大きな鉄の塊、板?の様なものはあるけれど…
するとドライバさんが鉄の塊にかけられた2本の板に車輪を上手く合わせて車を動かし始めたではないですか。
そろりそろりと。
ランクルともう一台位が乗れる程の大きさの鉄の塊に私たちも乗った。
そして鉄の塊をロープで牽引する小舟が先頭に。
まじですか‼️笑。
これで行くの?
衝撃的だったけれど、非日常過ぎてワクワク感半端ない。
だって日本だったら絶対に危ないってなるし。有り得ないでしょう。
車と人間が平べったい鉄の板の上に乗って川を下る…
30分は乗っていたでしょうか。
ゆっくりゆっくりと。見渡す限りの畑とたまに現れる小さなパゴダ。
優しい景色しか目に入ってこない。
綺麗に整備された日本に暮らしそれが当たり前だと思っていた私にはとても新鮮で、鉄の板にただ乗っかっている自分を客観的にみて…何かのアトラクションを体験しているかのような不思議な気持ちになったのを今でも覚えています。
自分が子供の頃に自然の中で遊んだワクワク感を思い出しながら、まさか大人になってから外国で、またこんなワクワク感を味わえるとは!笑
時間の流れが緩やかで、時刻表も無ければ人もまばら。ただただ青い空と土と緑。それしかないと思えばつまらない世界かもしれないけれど、私は作られた人工的なな建造物よりも、一つとして同じものがない自然を強く尊いと感じてしまう。
だからこの景色にこの移動方法は最高だった。
でもこの先更に2つの川を同じ方法で渡ることになるのだけれど…
最後の川を渡る頃には夕方に。
その先はとにかく悪路。
ランクルでもその悪路がモロに体に伝わってくる。丁寧に運転してくれるドライバーにしても天井に頭が当たる程ジャンプする悪路。苦笑。
でも一番の衝撃はパスポート忘れた友人。彼女がこの悪路で自身の体がジャンプしながらも爆睡していたこと!笑。
凄いよ!凄すぎる!この状況で眠れるなんて!笑
今でも「あの時あの状況で寝てたよね〜!笑」と思い出話の一つとなっている。
さてその悪路をどの位走ったでしょうか…
どんどん空がオレンジ色になっていく。
私たちの目的の一つでもあった海に夕日が沈むのを見ること!は果たして叶うんだろうか。
あーもうすぐ日没の時間かもー泣
はい。着いた頃にはすっかり太陽は海の向こうに沈んでおりました。泣笑!
でもね、普通では経験出来ないハプニングの連続もある意味良かった。だって今でもはっきりこの時の事は覚えているもの。色んな意味で思い出深い。
彼女も今や二児の母。久しく会っていないけれどたまにふとお互い思い出した時に連絡している。
あの時代のヤンゴンを、ミャンマーを知る貴重な日本人の1人。支え合い、共通の時間を一緒に過ごした同士。不思議な絆がある気がする。
さて、すっかり日が沈んだチャウンタービーチ。海岸沿いに現地の人たちが利用する食堂で軽く夕飯を食べた。お腹にあたっちゃうなぁーという心配が頭をよぎったけれど。笑。
海沿いに建つ小さなコテージに泊まりました。
水のシャワーとトイレがあるだけの部屋。
虫除け用に吊るされたピンクの天蓋がとても印象に残っている。
家を出発してから10時間以上かけてようやく辿り着いた目的地。移動の疲れがどっと出たのかみんな早々に就寝。
だって外は真っ暗、小さな豆電球の街灯がポツンポツンとあるだけだから周りがどんな風になっているのか全く見えないしわからないしね。笑
もうこれは外が明るくなる朝を待つしかない。
海の方から聞こえて来る波の音以外何も聞こえない。
でも外には満天の星。
あぁ、本当に凄くシンプルだけれどとてもとても尊く神聖。
そしてまた私は感じるのです。
人間は自然の一部。自然には到底敵わない。
子供の頃。子供心ながらに感じた"自然の方が凄い"という感覚、記憶がミャンマーにいるとふと蘇るのです。
でも世界中で見られる利益欲しさに自然を破壊する行為…これはいつかしっぺ返しが来るだろう…と。
あぁ、どうかこの国はうまく発展していって欲しい。失ってしまってからでは遅いこともあるから。
まだ外国に汚染されていなかった頃のミャンマーに暮らして私が感じた正直な気持ち。
あれから時が流れ…
今のミャンマーはどうだろう。
外国人に国が開かれ物や人が大量に入ってくる様になったミャンマー。
現地の人達は幸せになってるんだろうか。畑は川は海は農薬や薬品で汚染されていないだろうか。
医療は発展しただろうか、子供達が等しく教育を受けられているんだろうか。
一部のものだけが得をする不平等が罷り通っていないだろうか…貧富の差が更に大きくなっている事をSNSの普及で知ってしまうことで逆に心が荒んでしまっていないだろうか…
コロナが落ち着いたら…ミャンマーに行こうと思っています。果たして私はその時嬉しい気持ちになるのか…寂しい気持ちになるのか…
きっと不思議な感覚になるんだろうな…
続く…
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