日本語の文法なるほど

ことの発端

 しばらく前に、私は日本語の文章がいまいちうまく理解できていないのでは、という話を書きました(文章を読む技術について)。そのときから気になっていて、このたび日本語の文法についての本を一冊読みました。新書を一冊読んだっていうだけの話ですが、なんとなく疑問に思っていたところがもりもり解説されていて学ぶところは多かったので、感想を書いておきます。

 参考にしたのは、原沢伊都夫『日本人のための日本語文法入門』(講談社現代新書)です。まずYoutubeでそれらしい紹介動画をさがし、「こせんだ式日本語教室」さんという方のチャンネルで紹介されていた日本語教育向けの教科書を、そのものはkindle環境にはなかったので同じ著者が書かれた新書という位置づけになります。

国語の授業で勉強する日本語文法って

 ちょっと特殊なんだって、ということがまず書いてありました。私は自分が書く日本語の文章の構造・仕組みを理解するために日本語文法を求めています。つまり、自分の書く英語の構造をいわゆる英文法(学校でならうやつ)で説明できるように、日本語用のバージョンがほしいということです。その私の求めるものは、国語の授業で勉強する(した)"文法"とは別なんだそうです。なんだ、それは安心した。なんとなく、あれの延長ではたどり着けなさそうなきがしてたので("あれ"をそもそも覚えてないですが)。それが一番大きな収穫です。

日本語の文法は簡単だった

 誤解をおそれずに言えば、英文法と同程度に簡単でした(おこられそう…)。もちろん、細かいことにわかりませんよ!あくまで構造として。英語とはまた別ですが、ちゃんと整理された構造があるんだな、ということがよく分かりました。

 まずは、日本語の基本骨格(コト)は述語を中心として構成されていて、主語(主格)はその他の要素(格)と同列の役割しかもたないということを知って、大変すっきりしました。日本語の文型は、述語の種類によって分類されていて、「このタイプの述語にはガ格(主格)とヲ格(目的格)が必要で~」といった風に整理されるとのこと。英語のSVOのように決まる文型ではないんですね。前回の記事では、日本語は主語が省略されやすいと聞いたことがあると書きましたが、そうではなくて、そもそも"主語"(主格)の立場が強くないんですね。見つけにくいわけです。

 さらにこのコトと呼ばれる基本骨格が、ボイス(自動詞/他動詞、使役/受け身など)、アスペクト(動作が起こるタイミング)、テンス(自制)と呼ばれる変形によってバラエティを獲得する。さらに、コトの上に一層ムードと呼ばれる気持ちを示す表現がのる、というようなことでした。細かいことは違うかもしれないから、気になる人は読んでください。面白いです。この基本的な構造と、複文の形成のされ方のルールを頭に入れておけば、理論上は自分の書いた文章の構造を理解できそうです。大満足です。

外国人はすげーな。

 実は、日本語文法に興味を持ったもう一つの理由は、中国語文法をちゃんと勉強したいといった動機からでした。HiNativeのコメントで「この単語の品詞はコレコレだから、ホニャホニャにはならないよ」という文法用語での指摘をいただいたのですが、それを知らなかったんですよね…。そこが突破点になるなと感じたので、その前にそもそも日本語についてやはり整理しておこう、と思った次第です。(なのでこれ以上日本語に深入りするつもりはない)

 日本語の文法は簡単です、なぜなら私は日本人で、30年以上の蓄積があるので、説明されれば「あぁあのことか」とすぐに合点がいくからです。しかし、私たちが英文法をいくら勉強したところで、自然な英語が書けないと同様に、日本語を勉強しようとする外国人は、この日本語文法を知ったとて自然な日本語をかけるわけもないでしょう。この文法を勉強したうえで、個別の単語の意味と用法を記憶して、連結させて、しかも大量にあるであろう例外処理にぶちあたって…途方もないなと正直思いました。そう考えると、私とて「自然な」中国語が書けるようになりたい、というのはまぁ目標にするにはいいけど、実現できると考えるのはあまりにもおこがましいな、と思いました。悲観しているわけではありませんが、ゆっくりやろうと思います。

はい、今日はこんなところです。最近は元気があれば語学の勉強にちからを振り分けているので、なかなか短歌とか漢詩について書けないですが、そんなタイミングなんだと思います。毎日まあまあ楽しいです。

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