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どんな知識や経験もデザインの肥やしになるという話

土屋:最近つくづく、デザインとは何かを組み合わせる行為なんだなと思うんですよね。何かと何かを繋げるみたいな事からしか新しい事って出てこないから、結局そうなるとAとBしか知らないより、AからZまで知ってる方が得なんですよね。

たとえば心理学とUXなんかは、もう両方とも勉強してる人多いから、心理学を深く勉強しても、新しさには繋がらないかなって思ったりするんだけど、たとえばもっとディープラーニングを知ってるとか。はたまた宇宙、量子論とか、何かそういうのとUXがもしかしたら関係するかもしれないじゃないですか。

三瓶:すごいとこまで行きますね。領域を掛け合わせて、新しい価値やデザインを見出すというのは、僕もすごくそう思います。引き出しをふやすというか。

土屋:そこから得られた構造だけでもパクッてこれるかもしれないし。見た事もない構造のビジネスだったり、理論だったりがあるかもしれなくて。特に物理学とかは今、いわば妄想の塊だから。もう観測出来ない事が確定してるものたちを何とか解き明かそうと。

たとえば観測をするには物体に最低限光をぶつけないといけないという状況でも、光をぶつけた瞬間にもう状況が変わっちゃうようなミクロな世界を考えてるから、皆ただの妄想なんだよね。こういう物がきっとあるに違いないとか、ないとおかしいみたいな。だから物理学者さんたちは相当クリエイティブな人たちの集まりなんだなと思ってます。

三瓶:なるほど。僕は物理学のことは全然わからないんで、言い切って大丈夫かなって思いながら聞いてますけど(笑)。でも、本当にそうですね。クリエイティブな活動って何かなって言うと、そこら辺のパズルをひたすら頭の中でやってるみたいなイメージは僕にもありますね。何か無から作るというよりかは、常に「これとこれアリじゃないかな」とか、何か見ながら「これ付け足したらどうなるのかな」とかって、想像することなのかなと。

土屋:そうですね。そういう人が他人から見るととんでもない突拍子もない意見を急に言ってくると。ただその人にとってはロジカルだったり、既にやった事がある行動だったりするんでしょうね。

少なくとも私はそう思ってて、無理にクリエイティブであろうとした時の方が全然良いアイデア出ない。

三瓶:うん、そうですね。それって結局、日々の生活をいかに楽しく考えられるかみたいな所なんじゃないかなとも思います。

土屋:凄いね。ここまで一回も「楽しい」っていう文脈は出てこなかったかもしれないけど、まあでもそうですよね。言いたい事は分かります。

三瓶:いや、僕最近遅ればせながら育児始めて今10ヶ月の子供がいるんですが、子供向けのコンテンツとか、やっぱり一個一個面白いですよね、考えとかロジックが。

土屋:凄い、そんな考える余裕があるんだ。

三瓶:いや全然ないですよ(笑)。ないですけど、子供に与えるおもちゃなり絵本なり、動画なりが「何でこれこうなってるの?」って思う事が凄く多くて。

土屋:あれはやりました?タケモトピアノ。

三瓶:え、やってないです。何ですかそれ。

土屋:タケモトピアノのCMを見ると何故か泣き止むっていう。

三瓶:ああ、そうなんですか。何故か泣き止む系はいっぱいありますよね。反町のPOISONを聞かせると何故か泣き止むとか。

土屋:うんうん。

三瓶:そういうのもなんで?というのがすごく気になるんですけど。あと単純に赤ちゃん向けの作られたアニメーションなどだとしても、すごくメッセージ性が気になるものとかあるんですよね。

たとえば教育・知育系のYouTubeコンテンツで、「これは好き」「これはまずい」とか、固定観念を植え付けるような内容だったり。いや「そんなん人によるじゃん」「勝手に決めつけないでよ」とか思ったりして。で、片隅で自分だったらどう作るかなって考えたりして、すごく疲れちゃう(笑)。

けど、こういうのって何かさっきの引き出しを増やすという話にも繋がってくるような気がしてて。ちょっと意識して気にするようにしているところもあります。

土屋:ああ、なるほど。いや、それは凄いな。

三瓶:相当めんどくさい人みたいになってますけど(笑)。

土屋:でもすごくわかります。色々考えすぎると疲れるし、そこまで考えてて楽しいですか?っていう質問された事もあるけど、何だろうな、考えるのは仕事で考えているとき程は考えてないんだよね。

三瓶:ああ、そうそうそうそう。何て言うんですかね、バックグラウンド処理している感じですかね。

土屋:そうそう。粗いんですよね、粒度が。考えてる量は考えてるんだけど。

三瓶:そう、頻度が高いんですよ。だけど、凄くうっすら考えているんですけど、ただ何か、それをずっと持ち続けてる時にふと何かのプロジェクトの時にそれが出てくるんですよね、きっと。

土屋:いや、出てくる。もうそれだけは信じて大丈夫だと思うけど、本当に出てくると思う。

三瓶:そうですよね。

土屋:たとえば事業会社とかだと、基本自分の担当のプロダクトって一つで、あまりコロコロ担当は変わらないじゃないですか。私の前職でいうと、テレビを何十年もやってる人とかいるわけですよ。そうすると、テレビの事しか考えなくなるし、一時期私はパソコン担当でそれの事しか考えなかったし。でも何か、新しい価値を出せるときというのは、決まって他の領域がきっかけなんですよね。

三瓶:そうですね。さっきの組み合わせみたいな考え方をすると、何でも関係あるなって思えるんですよね。

土屋:いや本当にね、何でも関係あるよね。

三瓶:むしろ遠ければ遠いほど組み合わせても良いと思いますよね。他と被らないし(笑)。

土屋:いやあ、本当そう思う。何か遠いものほど誰もやってない。いわゆる「アナロジー思考」ですよね。

三瓶:なるほど、土屋さんがよく言ってるアナロジー思考ってこういうことだったんですね。

遠い組み合わせ、誰もやっていないことでいうと、僕、大体プロダクトを企画してるときってその時の自分の流行りだったり、自分の趣味が反映しちゃう癖があるんですけど、それは今まであまり良くないことだなって思ってたんですね。

土屋:ああ、良くないなって思ってたんだ。

三瓶:そうですね、どちらかというと。独りよがりかなって。

土屋:ああ、でも分かりますよ。何かそれ多分、お客さんにそのまま言ったら「えっ?」て言われますよね。

三瓶:そう。あまりにもニッチな趣味だったら難しいとは思うんですけど。でも僕の場合は割と大衆性のあるものやギリギリイメージいただけるものを意識的に持ってきているからセーフだったのかもしれないけど。世の中の流れ的にも、こういうのが流行っていると思わせるというか。

土屋:うんうん、うんうん。

三瓶:だからそういう文脈で入れ込んだりしてたんですよね。

たとえば、僕がやっていたUX MILKのイベントとかは勉強会ではあったんですけど、立食で音楽流したりして、パーティっぽい勉強会だったんですよね。それは僕がバンドでイベントを回していた経験が色濃く出ていて。

そもそも勉強会でこんな大人数集まっているんだったら、椅子並べてお通夜みたいにシーンとするよりもっと楽しい体験ができるよね、とか。大きいイベントも同じで、カンファレンスじゃなくてフジロックみたいな感じにできないの?とか。

仕事に役立つと思ってなかったけど、昔は仕事をやめるくらいにのめり込んだバンドの経験が生きた気がしたんですよね。何か。自分の趣味ではあるんですけど、その偏愛ゆえにうまくエッセンスを組み込めたというか。

土屋:いやいや、絶対そうでしょ。うん。

三瓶:だからといったら乱暴ですけど、やっぱりプライベート充実させるのって大事だなと。組み合わせのパターンを増やすために。

たとえば彼女だとか妻だとか家族が、自分だったら絶対やらないような事を提案してくることあるじゃないですか。あれってめっちゃ大事だなって思うんですよね。そこに全力で乗っかれるか乗っかれないか。乗っかれる人はUX系の仕事の素質があると思います。

土屋:(笑)。なるほどね、なるほどね。変な言い方だけど、苦境も楽しめるというか、一時的なね。

三瓶:そうですね。全然美術館とかいかないのに、まあとりあえず付き合ってみるか、みたいな(笑)。何でも自分の引き出しになると思えば良い。

土屋:そうだよね。何でも芸の肥やしになるみたいな。

三瓶:まさにそういう感じですね。

土屋:私もその感覚は持ってますよ。何をやっても損はないんじゃないかなと思うし、求められればとりあえずやってみる。たとえば普段はUXデザインの仕事がメインだけど、マーケティング主体の仕事もやってみたら、もしかしたらね新しいサービスが思いつくかもしれないし。何が生まれるか分かんないなと思って。

そう思うと本当にUXみたいなのを相手にしてる限り、むしろ役に立たない仕事ってないんじゃないかと思ってしまいますね。

三瓶:ないですよね。「余計な事はしすぎるほどいいよ」って昔スピッツも歌ってました(笑)。

👥 話していた人
土屋:フライング・ペンギンズ CCO / UXイノベーター
三瓶:フライング・ペンギンズ 新規事業担当 / コンテンツストラテジスト
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フライング・ペンギンズでは答えのない問いやとりとめのない対話を積極的にしていくことが、デザインの質を高めると考えています。今後も社内外問わず、UXデザインや開発にまつわる話をざっくばらんにしていきたいと考えていますので、ご一緒いただける方いましたら是非ご一報ください
🐧 Flying Penguins Inc.
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