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クラブの厳しいルール・パート3

一見がんじがらめのルールが飛行クラブには設定されているというお話をしました。

クラブの厳しいルール・パート1】では知識確保の厳しさ

クラブの厳しいルール・パート2】では飛行技術の厳しさ

についてでした。

Currency Requirements

フライト技術は経年劣化をするスキルです。劣化をすると事故につながります。航空法上必要な2年に一回では全く足りない。クラブ上必要な1年に一回でも足りないという考え方です。

FAAでは2年に一回では足りないことを広く周知させ、モチベーションを持ってもらうためのWings Programを提供しできるだけ頻繁に飛ばせようとしています。やるかやらないかの判断はパイロット自身に委ねている。

米空軍クラブでは1年に1回では足りないことをこのルールで縛っていて、強制力を持たせている。

どれだけの頻度でフライトしないといけないのかというルールです。パイロットの飛行時間によって決められてます。

先日の【JAPA安全講習会沖縄支部】でもお話ししたPersonal Minimum Checklistを活用してパイロット自身のルールを決めましょうと言うFAA/AOPAの指導の通りです。航空法は航空法。個人個人で異なるバックグランドにテイラーメイドした厳しいルールを作るべきなのです。それを米空軍では膨大な経験値から独自に設定していると言うことです。

その経験値から自身のPersonal Minimum Checklistを作成する参考になると思います。

200時間未満のパイロット

過去60日以内に、同じ型式の機体(Make and Model)で最低でも3回の離着陸の経験が求められています。

そこを切らしてしまうとフライト停止処分。1日過ぎてもダメ。コンピューターで管理しているディスパッチプログラムが自動的にシャットアウト!

復活されるにはインストラクターとのフライトが要求されます。出来不出来によって3回の離着陸で終わるかもしれないし、終わらないかもしれない。そこはインストラクターの判断。

クラブ員のほとんどの方々がここに属します。友達家族とフライトを楽しむ属性の方々です。遊覧飛行的なものでも60日以内に3回する必要がある。そこまで余裕がない人でも離着陸という大切は基本操縦技術を確認するフライトを3回はする。【タッチアンドゴーという凄技】でもその理由は説明しています。

仮に180日以上3回の離着陸をしていない場合もっと大変。

Recurrency Check

3回の離着陸だけは終わらない。まず学科試験の中でMake and ModelのClosed Book Examを受験する必要が出てくる。そしてインストラクターとのチェックを受ける必要があるという厳しさです。

クラブの厳しいルール・パート2で書いたMake and Model Checkとほぼ同じ内容がチェックされます。

そう。もう一回学科試験の勉強をし、インストラクターとのフライトをする必要がある。お金もかかる....

誰でもチェックを受けたくないので、必死でルールを意識して飛んでいます(笑)

クラブのルール上1年に一回は必ずStandardization Checkを受けることにはなるのですが。

200時間以上のパイロット

200時間以上もの経験を積むといくつかの制限が緩和されてきます。

過去60日以内という日数が過去90日以内に延長され、3回の離着陸経験を同じ型式の機体(Make and Model)ではなく同じ等級の機体(Category and Class)、つまり自分がチェックアウトして普段乗っている、例えば陸上単発機であればなんでも良いという条件に緩和されます。

ここから学べることは飛行経験200時間未満は各機種毎の特性をまだまだ勉強すべき期間であると言うことです。

しかし過去180日以内の3回の離着陸の経験は飛行時間に関係なく同じ経験を要求されています。もしそれを切らしてしまうとRecurrency Checkを受ける事になるのです。

クラブのルール上1年に一回は必ずStandardization Checkは、チェックアウトしている飛行機の一番Complexな機体を使用するルールになっています。

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航空法を守れば安全というわけではない

FAA航空法上機長として飛ぶにはFlight Reviewまたはそれに類する講習や訓練を2年に一回実施しましょうとあるだけです。搭乗者を乗せるフライトであれば過去90日以内に3回以上の離着陸をしましょうとあるだけです。

先日の【JAPA安全講習会沖縄支部】でもお話ししたPersonal Minimum Checklistを活用してパイロット自身のルールを決めましょうと言うFAA/AOPAの指導の通りです。航空法は航空法。個人個人で異なるバックグランドにテイラーメイドした厳しいルールを作るべきなのです。それを米空軍では膨大な経験値から独自に設定していると言うことです。

その厳しさが安全につながっている証明として保険があります。アメリカの航空保険は日本のものに比較するとかなり安く設定されていますが、そのアメリカの保険より遥かに安い設定がされているのが米空軍の飛行クラブなのです。それくらい安全率の高い運用がされているということです。

アメリカ全土には多くのフライトクラブが存在しますが、米空軍クラブと比較すると、ここまで厳しくないのが現状。正直な話ですが、この厳しさで民間のクラブへ流れていく一部の人もいるのも事実。

厳しいルールは航空の安全のためです。

実は運用するスタッフに対しても厳しいルールがあるのです。これは次回に。








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