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ミュージカル『アナスタシア』〜3年越しの旅路〜

ミュージカル『アナスタシア』を観劇いたしました。2020年に、観劇予定の回はすべて中止となり、ずっと公式PVを繰り返し観て想像していた、私にとっては幻の作品。ついに、現実に。

2023/9/16(土) ソワレ
2023/9/17(日)マチネ 梅芸貸切公演

とにかく、海宝さんのディミトリが観たくてたまりませんでした。さらに、禅さんのヴラドとの共演も待ちに待っていて。(アニメーション版アナスタシアでディミトリの声を担当したのが禅さん。ディミトリだった禅さんがヴラドを演じるということが素敵な巡り合わせで、楽しみにしていました)

海宝さんの演じる「厳しい境遇に生きてきても、純粋さやまっすぐさ、芯の強さを失わない青年」は、アラジンに通じるものを感じました。ヴラドと築いた信頼関係、アーニャと深めていく相手を想う心、スピーディーな展開の中で、しっかりと細やかに伝わり、心が動かされました。

以下、キャストそれぞれの好きなところを心のままに書き留めます。(#アナスタシアここが好き)

⚠️以下は、物語の中身に触れていますので観劇前の方はお気を付けください⚠️

終演後、アナスタシアの文字は消え、、、やはり彼女は幻の存在だったのでしょうか。(こうした演出好きです)

☆晴香さんアーニャ☆
隠しきれないロイヤル感があるアーニャ。この作品のテーマ「自分は何者であるか」ということに向き合おうと懸命で、ここまで強く生きなければならなかったけれど、ディミトリと出会い等身大の自分を出せるようになっていく過程が、リアルでキュンとしました。ドレス姿では、ディミトリ同様に、息をのみました。とても美しく、聡明さが立ち姿から溢れていて。夢でうなされてディミトリと語り合う場面での、ディミトリとの距離感も絶妙。分かり合えてきたのに触れ合ってはいけない、あのプラトニックな二人の距離感が晴香アーニャと海宝ディミトリから醸し出されていました。だからこそ、一気に最後の場面でハッピーエンドになる流れが幸せ感を増し増しにするのでしょう。

☆わかなさんアーニャ☆
勝気で芯のある逞しいアーニャ。♪Learn to do itでのディミトリとダンスする場面では、ワザとディミトリの脚を蹴るけれど、ヴラドから「蹴ったでしょ?」と言われてもちょっととぼけるところ、とてもチャーミング!ディミトリからオルゴールを受け取り、ディミトリにダイヤを手渡す場面での二人もまるでアニメーションのようにコミカルでチャーミング。また、ラストの決め台詞「皇女アナスタシアは、異議を唱えるでしょう」からのキス。互いの気持ちは分かっていても、素直になれなかったアーニャの心が走り出す感じ。キーアイテムのオルゴールとリンクしたラストは、ため息が出るほど最高のハッピーエンドでした。

☆禅さんヴラド☆
最高。ディミトリとのバディ感、リリーとのバディ感が歌と台詞とダンスでたっぷりと感じられました。ヴラドって、こんな人だよね、というのが禅さんのパフォーマンスの中にすべてありました。本当に、最高。(何度でも言います、笑)

☆マルシアさんリリー☆
パンチのある存在感たっぷり。世の中の酸いも甘いも経験して、今があるという感じ。ヴラドへのほとばしる愛が伝わるリリーでした。

☆朝海さんリリー☆
心から皇太后を支えてきた人だったのかな、と思えるリリー。ヴラドからの熱烈なラブコールに、かつての愛が再燃!というところが、とてもコミカルでかわいらしくて印象的でした。

☆万里生さんグレブ☆
BWキャストのCDで聴いていたラミンのグレブに近い印象で、たっぷりと感情ののった流石の歌唱。アーニャと境遇が重なるところもあり、まさに「同志」としてアーニャを想う心が伝わりました。父を尊敬し、任務に忠実に生きてきたグレブの最後の決断、「俺は父の息子ではなかった」という台詞には驚きました。そう思うことで、アーニャの未来を消さなかったグレブ。アーニャへの愛の表れと感じました。

☆麻実さん皇太后☆
冒頭のリトルアナスタシアとの場面、麻実さん皇太后の纏う気高さと愛する者へのやさしい眼差しに涙しました。リアル皇太后。また、皇太后の台詞は心に残るものばかりでした。ニュアンスとしては、「自分で自分を認めない限り、何者にもなれない」や、「どれが最後のさよならになるかわからない」という、今を生きる私たちにも響くメッセージでした。

衣装チャーム、開けたらディミトリ☆

☆海宝さんディミトリ☆
ひと時も目が離せない、聴き逃せない、観る者を虜にするディミトリ。初見で、ディミトリの立ち位置は全く知りませんでしたが、すぐに目に留まって、目が離せない。皆さんの演技も観たいし、アーニャやヴラド、皇太后から芝居を受け取るディミトリの表情も逃したくない。
♪Learn to do it
黒板にぶつかる仕草▷9/16ソワレでは観られなくて、9/17マチネでは顎にぶつけて「うっ、、、」となっていました。
♪My petersburg
辛い経験をしてきた街だけど、この街に生きる、この街が好きだ、そうしたディミトリの生き様が見えました。「ロシアのネズミは」のところで、アーニャの腕にちょこちょこっと指でネズミの仕草をするのが好き。この1曲で、劇場が高揚していく空気感。これが劇場で観劇する醍醐味。
♪In a crowd of thousands
アーニャに駆け寄り、誰よりも彼女のことを考えて共にある姿。アーニャが真のアナスタシアであることを確信し、自分の気持ちをぐっと抑えて、最後に跪き「皇女様」という流れがたまらない。互いが求め合う心を認識する切ない場面。
▷晴香アーニャだと、互いに高まる気持ちを抑えた感じ。
▷わかなアーニャだと、ほとんどキスしてしまうのでは?!というくらい近づいてから、我に帰る感じ。
♪Quartet at the ballet
アーニャ、ディミトリ、グレブ、皇太后の心情と、バレエ『白鳥の湖』がリンクして素晴らしい場面。特に、海宝ディミトリと万里生グレブの声の融合が最高でした。
♪Everything to win
ディミトリの心の葛藤と、アーニャへの深い想いが込められた楽曲。同じ旋律が、この後のアーニャの歌でもリプライズされるのが切ない。報奨金を受け取らず、アーニャが本物のアナスタシアだったことが自分にとってのご褒美だ、と言ったディミトリ。その決断に行き着くまでの心境が、この1曲に込められていました。♪My petersburg のような駆け上がる楽曲だけでなく、静かに訥々と気持ちを歌う楽曲も、海宝さんの歌のパフォーマンスには説得力があり、引き込まれます。
♪Finale
演出がロマンチック。橋の上で会ったアーニャとディミトリ。「初めてのキスは、王子様とこの橋の上でと決めていた」と言うアーニャに、「僕は君の王子様じゃないよ」と返すディミトリ。でも、、、。二人の後ろ姿が、盆の上でオルゴールの中の二人のように回転してハッピーエンドに流れ込む演出は、本当に素敵でした。

最後に、#アナスタシアここが好き を。
#アナスタシアここが好き
▷キャストそれぞれに、キャラクターの見せ場があること。例えば、電車に乗る場面のアンサンブルの皆様含めたソロパートは素晴らしかった。
▷場面転換がスピーディーなのに、物語が飛躍しないで丁寧に進むところ。
▷最高に幸せな希望に満ちた気持ちで劇場を後にできること。
今は、忘れないために、心のままに書き留めていますが、あらためて思い出したらどんどん追記したいと思います。
久々にミュージカルの魅力をたっぷりと味わえました。この作品に関わるすべての皆様に、感謝です!!これからの公演も、どうかご無事でありますように。


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