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CAへの憧れを捨て地味な現実を見つめる

コロナが落ち着いて、客室乗務員募集はますます活発になってきています。年明け以降も続々と中東系や大韓航空・シンガポール・キャセイなど人気の会社が採用発表しましたね。国内外、規模の大小を問わなければ多くのチャンスが転がっている最近の採用活発化を受け、自分自身のCA面接経験を思い出しながら2つのポイントを書いていきたいと思います。

◼︎客室乗務員に憧れ過ぎない・面接で思い出話をしない

これは受験の大前提かなと考えています。他の職種でもそうでしょうが、憧れ症候群とでも言いますか、その仕事に就く事そのものがゴールになってしまうと上手くいかないような気がします。あくまでマインドセットの問題かもしれませんが、CAは特にイメージが先行する職業であるだけに、CAなりたいなりたい!!という気持ちだけで先走って勢いのあまり空回り、、、なんてことも。

弊社を志望した理由は?の答えに、「子供の頃御社のフライトを利用した際に担当のCAの方が優しく声をかけてくれて、かくかくしかじか、CAになりたいと思うようになりました。」ってやつですね。こう言ったエピソードは気持ちが入ってしまい長く話してしまいがち。でもこれって単なる「きっかけ」に過ぎず、「志望理由」として話すにはやや幼稚に聞こえてしまいます。面接官にとってあなたのきっかけそのものは正直どうでも良く、そこからどういう気持ちでこれまで過ごしてきて今に至るのか、そうした事が聞きたいはず。熱くきっかけを語ったからと言って必ずしも失敗という事ではないですけどね。

では、どうするか?私の場合は、できる限りCAになった後の自分像を想像して考えるようにしていました。CAになる事をゴールにせず、その先に待っている事について、どんなCAになりたいのか(そしてそれはなぜか)、CAになったらどんな自分になれる・なりたいのか(今はどんな自分なのか)等々、そうしたことまで考えていてこそ、うわべだけの憧れ症候群から脱却できるような気がします。面接で聞かれてとっさに受け答えは難しいと思うので、一度時間を割いて書き出してみるとより整理できます。

そもそもなぜ思い出話が良くないかと思ったかと言うと、グループ面接に参加すると、その日一度は同席する面接メンバーから聞くんじゃないか?というくらい、志望動機の受け答えでつい思い出話を膨らませてしまう方がいたからです。思えば、僕も同じように熱くCAを目指すきっかけについて語った事があるかもしれませんが、人の話を聞いている時には不思議と客観的視点になれて、自分もそうかもしれない!やめよう!とハッと思えるものです。

気持ちは十分わかるのですが、時間が限られている以上、他の話ができた方がいいですよね。最終の1人面接だったり、面接官から具体的に聞かれた場合以外、エピソードはご自身の中で大事な思い出としてとっておきましょう。


◼︎ きらきらイメージと裏方のリアル、そのギャップを考えてみる

上記の憧れすぎないというポイントとも繋がりますが、熱い気持ちは一旦どこかへ置いておき、一歩下がって「地味で困難な職業としてのCA」を客観的に考えてみるのはどうでしょう?憧れが強くなるとポジティブなイメージばかりが浮かんで、どうしても美化してしまい本当に重要な事・本質を見失ってしまうからです。

特に最近は、SNS投稿を見てわたしもCAになったらこんな生活してあんな事して〜とよりイメージが伝わる情報が多いので胸が高まるでしょう。とはいえ、それはあくまで外から見える綺麗な部分、投稿しているCAさんもいい部分を切り抜いて見せているという事が重要です。モチベーション維持のために投稿を見るのは良いですけどね。

ギャップについてですが、乗務経験のない段階での素人目線でいいので是非いろんな想定をして考えてみてください。例えば、接客業経験のある方であれば、お客さんの前に立って堂々と生き生き働いている時と地味な裏方作業について比べてみてください。仕込みや開店準備・閉店後の締め作業、皿洗い、トイレ掃除、在庫発注等々、どんな違いがあるでしょうか?想像がつきやすいと思います。接客中も対応の難しい状況やお客さんからのクレーム・理不尽な要求に身も心もボロボロに疲れるなんていうのも接客業のリアルですよね。

乗務員の同じような地味な作業として、乗務前のセーフティチェックから始まり、ミール確認だったり、アメニティーなど配布する場合はその準備もあります。ボーディング前は何気に大忙しなんです。LCCでは機内販売の在庫確認やフライト後には売上締め作業などありますね。そして接客業ですから、色んな事が起こります。しかも長距離線であれば嫌なお客さんとも到着するまでずっと一緒です。途中で降ろすわけにもいかず、、、(笑)乗務でも困難な状況が沢山ありますから、ご自身の体験とリンクするような場面を切り取って置き換えて、考えてみてください。

接客関連以外で乗務員の大変な部分といえば、やはり初期訓練です。航空業界のいろはから始まり、機材設備やら保安やら知識を詰め込まれ、緊急脱出訓練や急病人の応急処置に至り、定期的に試験を行います。緊急時の流れを再現して知識の通りに動けるかロールプレイの試験も行われます。日系ではあまりないかもしれませんが、私が過去に在籍した外国の2社では同じクラスの子が試験に連続して落ちてしまい、二度目のチャンスでも結果が思わしくなく、結果的に辞めて帰国せざるを得ませんでした。厳しい現実ですが、20人前後のクラスメートのなかから、1社目では2名、2社目でも1名が脱落しました。

無事にセーフティーをクリアしても、その後はサービストレーニングへ移行し、ヘロヘロになりながら引き続き新しい知識を習得しなければなりません。終盤になると、今度は道徳的な授業が行われる会社も多いです。毎度チームが変わる環境で安全にも関わる仕事という事で、共感と傾聴をテーマにした講義があったり、チームビルディング・CRM(Crew Resource Management)についても学びます。実生活にも役に立ちそうな内容もあり刺激的ではありますが、これをトータル2ヶ月程度でこなすのは中々しんどいです、、僕はもうやりたくないです、、、、(笑)

乗務員の訓練については経験がないと想像するのが難しいとは思いますが、プレッシャーのある中で、一つずつ目の前のタスクをこなして、最終的な大きな目標に辿り着くという、訓練を乗り越えるしぶとさのようなものが乗務員に問われるとすれば、あなたの中のしぶとさがどのようなものであるか、そのしぶとさをこれまでどんな場面で発揮して困難を乗り越えてきたか、そんな事を考えてみてはいかがでしょう。面接にきっと役立つはずです。

採用経験もなく面接の専門家ではありませんが、ちょっと前までCA志望のみなさんと同じ立場でした。考え方は人それぞれですが、こんな意見もあるよー程度に読んでみてください。

ではまた!
ぽん

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