三重県 安濃川フライフィッシング釣行(2024年3月)
地元の 安濃川にやってきました。
ホームリバーである雲出川の解禁が、翌日3月31日なので、肩慣らしです。
発眼卵放流を行っている者として、この3月31日解禁と言うのは、産卵床が踏まれるリスクがなくなるので好ましいと感じます。逆に、岐阜などの2月1日は、雪の多い地域であることも含め、早すぎると考えています。
頻繁に訪れますが、動画や釣行記にはあま 登場しない川です。三重県庁・津市役所から20分という、驚異的なアクセスの良さ。
この日は少し増水していましたが、実際は、砂だらけの川です。
普段、私は長靴(ソールがフェルトのもの)で釣りをしています。暇つぶしや、新作フライの実験には最適の川です。
入渓は道路から10歩以内、ほぼ全ての流域で、道路または林道が並走しているという、魚にとってはありがたくない渓相です。
とりあえず1匹 ヒットしました。 完全なる 野生魚です。
三重県庁、津市役所から20分ぐらいの場所で、アマゴが釣れるのは、素晴らしいことです。
何度か反応がありましたが、フライが沈んだと思ったら、安濃川では特大サイズに該当するアマゴがヒットしていました。
一昨年の発眼卵放流が、うまくいったと思いたいところです。
なお、発眼卵放流に関し、どの程度効果があるのか、というご質問を時々いただきますが、稚魚の段階まで育つのが3~4割程度、禁漁まで生き残るのが1~2割程度のようです。
ただ、これには物凄いバラつきがあり、場所によっては6~7%しか残らなかったり、逆に60%以上の稚魚が残る流れもあります。
なんとなく、どういう川でアマゴ仔魚・稚魚が残りやすいか、その傾向は掴んでいるつもりなので、2023年から放流場所を変更しています。
しかし、この砂は何なのでしょうか。砂漠か?
砂に埋もれた川ではありますが、アマゴは懸命に生きています。
最近、発眼卵放流より、渓畔林の造成や土砂流出を防止し、魚が棲める環境を維持することのほうが大切だと感じています。
上流へ移動。
針葉樹は根が浅く、渓畔に植えられると浸食が進む理由が分かります。
安濃川に限らず、全国的に見られる状況ですが、渓畔域までびっしり植樹された針葉樹は、昨今の林業の人手不足・山林放置と相まって、荒れ放題です。おまけに花粉まで飛ばすから始末が悪い。
これは以前、支流の治山ダム(砂防堰堤)建設工事の際に立てあった看板ですが、素人目に見て、おかしな考え方で工事している気がします。
こういう「壁」を作れば、本当に渓畔域・渓岸の浸食は収まるのでしょうか?
土砂堆積によって、日本全国の砂防堰堤は機能を失っている、作ってもすぐに機能不全になると指摘されている中、砂防堰堤を新設する理由付けが必要なのでしょうか、堰堤に土砂が堆積すれば川底が上がり、今まで流れに晒されていなかった箇所が浸食され、さらなる山肌の崩落を招くのではないでしょうか。
この理屈でいくと、山地荒廃・土砂流出を食い止めるために、川は全部階段状に堰堤で埋め尽くされます。
この辺は、丹沢を有する神奈川県が詳しい手引きを作成しており、みえ森と緑の県民税を財源とした工事も、県内の各河川流域で散見されるようになったことから、今後の改善に期待したいところです。
ちなみに、特に地元を大河川が流れていて、釣り場に苦労していない方の中には、こんな砂に埋もれた小さい川を、どうこうしようとしても無駄、と思われる方がいるかもしれません。
しかし、安濃川が抱える問題は、小規模河川・大規模河川の縮図なのです。大きな川でも、支流のそのまた支流に入れば、似たような環境に置かれていることに気付くはずです。
これは、大学との研究の際、電気ショッカーで捕獲(特別採捕)されたアマゴですが、この規模の川でも産卵は行われ、アマゴは懸命に命を繋いでいます。
小規模河川を守り、その手法やルールを確立する事こそが、渓魚を守る道筋になるのかもしれません。