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[フライト日記] エクアドル

だんだん朝の日の出が早くなってきましたオランダからさやです。

1月はなんと1本しかフライトをしないまま終わります。ただこの1本がなんとなく心をざわつかせるフライトでしたので、シェアします。(内容暗めです)

10年飛んで初めて行くエクアドル便でした。
エクアドル便が入ると家を5-7日間空けることになるので、まだ小さい子供がいるのでいつも避けていた路線でもあります。
エクアドルにはキトとグアヤキルに就航していて、まずアムステルダムからキトへ飛びます。飛行機自体は一旦清掃作業が入ってグアヤキルへと飛びます(お客様の搭乗券にはキト経由グアヤキル行きとある)
このキトからも人を降ろしたところに新しいお客さんが乗り込みます(この人たちの搭乗券にはグアヤキル経由アムステルダム行きとある)
ちなみにキトでクルーは交代となる。キトから乗り込んだクルーは大きな飛行機でたった30分のフライトを飛びグアヤキルでまた別のクルーと交代と不思議なトライアングル便です。

私が飛ぶ日の数日前にグアヤキルの刑務所をギャングたちが占拠し、1番のボスが脱獄、テレビ局が生放送中に占拠され、街は緊急事態宣言が発令され、警察と軍がマフィアの組織を潰すため、国が一時戦争状態に。(混乱状態にと呼ぶと思うけどなんかすごい荒れ放題だったと聞く)
ちなみに緊急事態が発令された日の便はアムス発は22時間遅延が即座に決定し、現地にいたクルーたちはすぐにオランダに呼び戻されていた。

自分の便もこのまま事態が続けばキャンセルされるかな?なんて思っていたけど、現地の現状が落ち着いたと判断されたため私は普通に飛ぶことに。
ただ2日前まで80%予約が入っていたのに、どんどんと数は減り、最終的にはビジネスクラスは30%、エコノミークラスは45%くらいまで減り、コロナ禍以降久しぶりのガラガラフライトでした。
エクアドルに住んでいる人がほとんどでしたが、この状況下であっても新婚旅行のカップルがいたり、ガラパゴス諸島へ(ガラパゴスはエクアドルにあります)観光で行く人や、南アメリカ大陸を周遊する人もいました。
私が担当するドアの向かいに座っていたイギリス人女性2人組はキトで降りて観光し、その後にガラパゴス諸島へ行くと話していました。ただ元々はグアヤキル(刑務所があるところ)に行く予定だったのものが急遽ガラパゴス諸島へのツアーに変更になったと言っていました。

もちろん私たちクルーは会社からの指定でホテルからは出てはいけない、とこれまたコロナ禍以降初のホテル隔離でした。

街の至る所にライフル銃を持った警察と軍の人が見廻っていて、平和大国ニッポンで生まれ育った私には映画の世界、全く現実とは思えぬ光景でした。街を見ればどのお店にもまた各家庭にも鉄格子のようなシャッターが付いていて日々、そういった暴れん坊たちが街にいるんだなと思い知らされました。


ただホテルの従業員もバスのドライバーさんもみんな優しくてニコニコしていて、エクアドルという国にまた来たいと思わせてくれました😊
ホテルのレストランで同僚のみんなとディナーをしましたが、ごはんもどれをとっても美味しくて、感動!
私はスイカが好きじゃないんですが、ホテルの朝食にあったスイカが本当に美味しくておかわりしてしまうほど、パイナップルもパパイヤもとっても美味しかったです😋
キトの中心地から空港へはバスで1時間ほどなのですが、景色は富士山周辺のドライブウェイという感じで、山道とクネクネとした道、周りには山が取り囲んでいてと、自然に溢れるところでした。バスから虹が見えました

虹の手間にたまたま映り込んだ虹の看板🌈

キトの気温は20度前後ですごい寒いわけではないですがちょっと肌寒い感じ(オランダを出発した時は雪が降っていたので私たちにはあったかく感じましたが、エクアドルのホテルの人は今日は寒いねって言ってました)、グアヤキルはキトから飛行機で1時間も離れていないところなのにきおん32度、湿度が高くムワッと暑かったです。

キトの空港はまだちょっぴりクリスマスモード

キトからグアヤキルへのフライトの前日に、その数日前にテレビ局を襲撃した事件の捜査を指揮していた検事さんがなんと凶悪犯罪多発地区のグアヤキル北部で暗殺されたというニュースがあり、ピリピリとした空気が流れました。
グアヤキルに着くと私たちクルーが移動するバスに警察のバイクが3台、ホテルまでエスコートするということでした。異様な光景でした。

また、グアヤキルからの出発時、当然のことながら空港にはさらに武装した警察と軍人さんがいて、驚いたのは現地の空港職員がほぼ全員私服で仕事をしていることでした。
国内での争いなのでマフィアたちが狙うのは自国民、空港で制服を着ている職員が狙われる(私服ならば外国人旅行客に見える)からなのだとか。

日本にも暴れん坊な人たちはいますが、住む世界が違うというか、普通に生活していたらまず出会うことも関わることもありません。
もちろんオランダにも暴れん坊どもは日本よりも多くいる気がしますが、それでも私の生活を脅かすのはサッカーの試合がある時が1番危険度が高いくらいで、それでも巻き込まれた経験もないですし、近づきさえしなければ問題ありません。
それがエクアドルに行き、普通に生活するのすら脅かすレベルで街のどこかに暴れん坊がいると思うととても怖いな....と思いました。もちろん、緊急事態が発令された時からは学校は休校になっているそうです。

もちろんそれでも普通に生活していかなければなりませんから、若い女の子が外を歩いていたり車は普通に通ったりしていました(昼間)
ただ....夜は外出禁止となっているそうです

また帰りのフライトの乗っていたお客さんが見せてくれた動画はショッキングすぎて、心臓がバクバクしてしまいました。それ以上見たらサービスどころではないと思い見るのを止めましたが、
占拠された収容所の軍と警察が突入した時の映像は....ドラマや映画のワンシーンのようで、でもそれは本当に嘘のない本物の、本当の出来事なのだと思うと今もドキドキしてしまいます。
よく日本人は平和ボケしていると言われますが、本当にその通りだなと痛感しました。
あの現実の中に生きてる人たちがいると思うと、自分が置かれた環境は何て恵まれているんだと感謝する気持ちになります。

とはいえ日本には震災がつきもので基本平和ではあるけど今も辛い震災生活をしている人がいると思うと、それはとても悲しい気持ちになります。

どちらが良くてどちらが悪い、どちらがマシで、どちらが地獄か...なんてことはありませんが、エクアドルの件は自然起こした災害ではなく、人が起こしていることなので、そういう人たちがいなくなって普通に幸せな生活を望んでいる人たち平和な生活を戻してあげてほしいなと思います(暴れん坊たちさえいなければ平和なのだから防げる事案だということが許せない)

震災で辛い思いをしている人のその辛さをエクアドルで暴れまくってる人たちにそのまま送り届けたい。エクアドルでは言わずと知れたマフィアの一員だったとしても自然の前に立てば自分がいかに小さな存在か、愚かな行いをして人に迷惑をかけたり傷つけたことを悔やむはず。

能登で被災した方々とエクアドルで恐怖に怯えて暮らす人々、世界での色々な出来事が一気に
押し寄せて複雑な気持ちとモヤモヤした気持ち、悲しい気持ちでいっぱいになったエクアドル便でした。

2月はヨーロッパ便が入り、その後またまたアルゼンチン便が勝手につけられてしまいました。
楽しいフライト日記が書けますようにと、ネタ集めしてきます。

それでは、また!Doei!



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