35歳からの独り暮らし(1)

生まれ育った町は、周囲を山に囲まれ、人口も3万人台、田舎町だった。
中学、高校は家から歩いて10分程の所へ通い、大学も車で50分、実家から通った。

大学を卒業し、そのまま地元の企業に就職となり、実家から通った。
その後、転職を何度かしたのだが、実家から通った。

実家の所謂「子供部屋」から出ることなく、人生を過ごしていた。

出るタイミングは何度かあった。一つ目は大学進学。第一希望は隣県の大学だった。入試前に繰り返された各種模擬試験でも、合格の可能性はあった。

迎えた本番、当時は大学入試センター試験。国語の点数でコケてしまい、第一希望は難しくなってしまった。

挑戦することもできたのだが、滑り止めの私立大学は費用の面から受けておらず、浪人をする金銭的余裕も正直無くて、安全域の地元の国立を受けることになった。

結果は無事、合格。勿論嬉しかったのだが、実家から通える距離となったため、タイミングを失うこととなった。地元大学なのに、何故アパートを借りる必要があるのか、という親のコメント付きで。

学費を4年間捻出してくれた両親には深く感謝をしている。

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