くらりはる

会いたい人に会いたいと言うことができないので手紙を書くことにした。あと最近忘れっぽいの…

くらりはる

会いたい人に会いたいと言うことができないので手紙を書くことにした。あと最近忘れっぽいのが本当に少し怖い。だから、とても、私的な備忘録になります。もしくは、エログロガーリーホラー。

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黄昏泣く子

私の場合、5年周期で恋をする。 出逢って、運良く3年ぐらい付き合って、別れて、それから2年は何事もなく恋を忘れて、そしてまた別の誰かで、恋を想い出す。ジンクスめいているけど。 夏 その周期で言う最初の年、真新しさもなくなってきた轟音に目をしかめてた頃、このジンクスの周期も変わりどきなのかもなーまあどうでもって思い始めた頃。 玄関の外でドアを小さく叩く音がして、開けると、ゆつがいた。 「だってピンポン壊れてるから。 どこでもドア?」 ? ちがうよ。 「ピンク色」

    • プロフィール

      倉里 晴 Kurari Haru 無所属。(事務所探しています) 福岡県出身。神戸大学卒業。 161cm。乙女座。裸眼。 2018年、東京で観劇したことをきっかけに興味を持ち、オーディションを受け、小劇場の舞台で活動を始めました。近年は映像にも出演しております。 舞台、映像、声、写真などのご依頼は、 下記のメールアドレスよりお願いいたします。 kurariharu@gmail.com 映像や声などの過去参加した作品の一部は、 下記の活動経歴に載せているURLから ご

      • 起きぬけの俳句は逃げ道

        (季語がなくとも季節を想起する言葉は俳句) 人生が人生がまだあるらしい 白髭氏慌てるなかれ明日もくる かきいだく弱暖かな布団ごと 微睡みを流るるが血はぬる燗か 満を持し挑む気持ちで寿司喰らふ 雪解けて零れたけれどしらを切る 生き急げ真夜中目指す鐘の声 青絵筆そっとゆすいだ惑星(ほし)だとか (どうしても足りなかった俳句は短歌) 通夜にてお散歩行けず悄気る犬   いつか必ず気づき忘れる

        • 俳句のよな

          白髪と喪服に映ゆる百合の花 去年(こぞ)の夏より鎮座せし靴の石 友の背を蹴飛ばし叫ぶ走ればか 函館の生まれになれぬ仕方がぬ 好きといふちから湧かなくなつてきた

        • 固定された記事

        黄昏泣く子

          ごく小さな夜

          ほとんど息のような耳打ちを合図に 私の体は重力から解かれる。 ゆらゆら浮かんで、大気圏も抜けて、 気付けば月のほとりまで。 見下ろせばいつもの電車の光が流れ星になって走っている。 奥底から静かに寄せる波に浸されて、揺れていたら、急にもっとずっと愛しくなって、 遠くの君を見やると、聞こえない声が、私を一度だけ呼ぶ。 今度は一瞬で真っ直ぐ舞い落ちて 君の瞼に柔らかく着地してみせる。 ぐっと近くなる。 まだ永遠を知るには早く、親指の爪を撫で密やかな印を残す。 果てしない約束、ただ一

          ごく小さな夜

          虫喰い日記(めいたメモ、私信)

          1日火曜日 数年前過ごした町での数日滞在。 この町は飛行機の音が近い。怖いぐらい。そのことを初めて思い出す昼下がり。 水曜日 空港の保安検査で摘発されるも、おばあが持たせてくれた手作りの白玉粉です。と、おかしな訛りで言ってみせたら通過できた。 金曜日 勤労がピッタリ終わるのに賭けたけどやっぱり終わらなくて、諦める。 留守電を聞かずにそのまま消す。そういった未練がましさが私にある。振り向く術を捨ててしまう。 土曜日 いろいろあるけれど、出逢ったことはなくならない。始まるこ

          虫喰い日記(めいたメモ、私信)

          願い事、ひとつ

          今日、このまちは、ちびっこギャングに支配された。らしい。 新しい1年の始まり、 やっとのことで瞼を開けるとそこは久しぶりの朝で、たまゆら氏に新年の挨拶を。と、受動喫煙喫茶へ向かっていたところ、道を塞がれてしまったのだ。 新年初めての外出の出鼻を挫かれて、内心腹を立てつつも、要求をとりあえず聞いてみる。 「我々、ちびっこ獣。こちらの要求は、鏡餅のみかんでアル。」 なるほど。この子たちのボコボコ膨らんだリュックの中身はみかんなのか。 「そ。」 と一言で無視して、道を行く

          願い事、ひとつ

          誕生日

          2月の君を想う。 失恋する君の横顔に失恋した。 私たち離れ離れだね、今までもこれからもずっとずっとずっとずずずっと立ちうどんをすすった瞬間、足元に転がる重たい音。頭部。無様な頸つき。 たまらず剥いた眼球を舐める。 白く星が弾け飛んで、散らばる屑を繋げて星座を浮かべると、思い出す。 この頭、えんぴつ工場に持っていかなくちゃ。 そう。 相当な額になるだろうから、そのまま隣で小さくひとつタトゥーを増やしてしまおう。 あの子だけが知る模様は、すみれの香りに。私だけのものに。

          月の詩/Moonchild

          月で生まれたときのこと、 まだ覚えてる 君はどうかな でも今幸せなんだろうな 隣に座って話を聞いてくれたこと、 まだ覚えてる でも月の満ち欠けは僕にも明らかで 一人でいることは難しいな 一人であることは難しいな 月の光は君の涙を掬って 不安な心を覆ってくれるのに 月の熱は涙を乾かして 君の不安を溶かしてくのに 今は幸せって聞けたらいいんだけど 僕に笑いかけ想い出を語る君に 月の波にさらわれて、流されて、 僕はいつかどこかへ行き着けるんだろうか あの頃の君のこと、

          月の詩/Moonchild

          訪問者

          玄関の外で貝殻を叩く音がする。 越してきたときから呼び鈴が壊れているので、すぐそばの浜辺で拾ってきた二枚貝を貼り付けてあり、ノック代わりにカスタネットみたいに貝殻を叩きあわせてもらうのだ。 ドアを開けると、いつもの業者のお兄さんではなく、初めての顔。 「隣に越してきた☆♪→と申します。どうぞよろしくお願いします。」 というようなことを妙な抑揚でいう。 名前については上手く聞き取れなかったし、なんだか橙のような黄のような、とにかく毛むくじゃらなので、モケケさんと呼ぶことにす

          落書きの中の観察日誌

          暮島さん 職業:准教授 年齢:38歳 既婚 AB型 iPhone 4S ワンスター黒愛用 視力極めて悪い とにかく不健康そう 閏日 切れ長の垂れ目。充血気味。 耳朶が薄い。喉仏が目立つ。 光に透けると茶色い髪。細い白髪数本。 服に甘めの煙草の匂いが染みついている。 サイズが合ってない指輪。 月曜日 食堂で一番安いカレーの大盛りにタバスコを何回もふりかけて食べてた。 研究室の珈琲にはミルクも砂糖もたっぷり入れている。 よく分からない人。 某日 奥さんの名前はマリ。 金

          落書きの中の観察日誌

          筆まめだった彼女

          みりんちゃんへ 久しぶり! 元気ですか? 私の文字、懐かしい? もしかして、筆跡変わっちゃったかな、、 雨のラジオから、 遠く知らない街から手紙が届くようなときめきを作れたらなあ っていう歌が聞こえてきて、 そのときめき知ってる!私ちゃんと知ってる!!って嬉しくなって、 それって、みりんちゃんのおかげだなあ。 と思って、手紙を久しぶりに書いてみたくなったんだ。 幼少時、引っ越しばかりしてたけど、親しい子と離れ離れになったとしても、みりんちゃんみたいな子と何年も文通がで

          筆まめだった彼女

          日記めいたメモ、或いは七月の交信記録

          1日 水曜 すぐに、触って確かめてしまう いつかの水曜日の痣が消えない いいの?いいの! 2日 木曜 十字に輝く月が浮かぶまだ青の残る空を見あげながら髪を乾かす 今夜きっと電話する 3日 金曜 封をしたままの煙草の箱を部屋中に並べてドミノ倒しする 4日 土曜 期日前投票して、アイス食べた。 掲示板の写真はみんな極悪人。 後ろ向きに歩くと自分にアイスが垂れてこない世紀の大発見。 5日 日曜 盛夏火 映画撮影の会。 みんなの記録係を勝手にした。 持参した写ルンですの現像が

          日記めいたメモ、或いは七月の交信記録

          島の古書店の主人

          漣さんへ こんにちは。 島を訪ねたのはつい先日だったような気がしたけど、 急に猛烈に暑くなってきて随分と季節を隔てたことに気付きました。 変わらず明るくいますか? 私はというといつも通り健全ですが、 暑さにムッとしていたら、眉間にニキビがぽつぽつできました。やれやれ。 島は、太陽の熱を浴びても 気持ちイイ風が吹き抜けて、爽やかそうですね。 でも初めて訪う島で見たキラキラは、ピカピカへと、そして今はギラギラに変わって目も開けられなくなってそう。子どもの時から眩しいのは苦手な

          島の古書店の主人

          日記めいたメモ、或いは六月の盛夏火交遊録

          1日 月曜 心が狭くてうまく呼吸ができない。 同じ空気を吸えたらいいのに。 途切れ途切れの夢の中、 時の果てに向かうあの日の横顔見えた。 2日 火曜 パーティーに誘われて 愛おしい人たち。 素晴らしい作品。本当に面白かった。生で客席から観たかった。でも私が出てないのは嫌。 ここで出逢った人たちにもらったものを大切に大切にこれからもしまおう。たまに取り出して、眺めて、知らずに古くなってしまわないように。 3日 水曜 盛夏火 お揃いの装いの回 夜 三ツ矢サイダーをみんな

          日記めいたメモ、或いは六月の盛夏火交遊録

          日記めいたメモ、或いは五月の交信記録

          1日 金曜 朝 心臓と心臓をつなぐ糸電話。 幸福な匂いの中、甘さがいつより切ないマーマレードの朝食。 昼 soviet soviet がとても格好よくて流し続ける。 でも陽を感じたくなって、 近所の民家に咲き溢れる白くて小さな花たちの匂いを嗅ぎに自転車で外に出る。いつもより近くで嗅いでたら酔ってしまった。強い香りは苦手。 エクステンドユアタイム エクステンドユアタイム 日付変更線を遠ざけてく 2日 土曜 朝 衣替えで途方にくれる。 押入れの中で初恋を見つけて、迷っ

          日記めいたメモ、或いは五月の交信記録