日記めいたメモ、或いは七月の交信記録

1日 水曜
すぐに、触って確かめてしまう
いつかの水曜日の痣が消えない
いいの?いいの!

2日 木曜
十字に輝く月が浮かぶまだ青の残る空を見あげながら髪を乾かす
今夜きっと電話する

3日 金曜
封をしたままの煙草の箱を部屋中に並べてドミノ倒しする

4日 土曜
期日前投票して、アイス食べた。
掲示板の写真はみんな極悪人。
後ろ向きに歩くと自分にアイスが垂れてこない世紀の大発見。

5日 日曜 盛夏火 映画撮影の会。
みんなの記録係を勝手にした。
持参した写ルンですの現像が楽しみ。
ファミレスでの間違い探し大会で白熱。
消えたガリガリ君、溶けるホームランバー。

6日 月曜
スプーンで一口ずつ掬って小さく口に運ばれていく月を眺めやる。
君の闇は、虚で、不気味で、疎ましくて、そして、眩しかった。

7日 火曜 盛夏火 テントをつくる回。
みんなの夏の夜の曲がよくて、夜な夜な聞いてしまう。
私の曲は月夜の夢の中で二人っきりでききたい曲。
そういえば、これまでの帰り道、短冊を3つ書いたけど、全部違う名前だから大丈夫。叶う。

8日 水曜
私たちの秘密が真っ暗な夜の下ゆらゆら燃えている
その息遣いと同じリズムで。

9日 木曜 盛夏火 ダイソーの回
必要なものの買い出しに来たはずのにみんなそれぞれ物色してるのが楽しかった。

念願の座椅子が届いた。
今夜は、嬉しくって、座椅子の上で寝よう。


10日 金曜
新宿へおつかい。難しすぎてヘトヘト。
ワンピースの破れを見つける。知らんぷりする。

11日 土曜 盛夏火 冷や冷や市民プールの回。
泳いだあとの気だるげな体の午後。
おいしいおいしい羊羹をみんなでいただく。
学祭の準備みたい。学祭の準備したことないけど。とっても楽しくて遊び疲れた。

12日 日曜 盛夏火 ちゃんとする回
劇中の笑ってしまう罠に引っかかりまくってしまう。
ハチクロ飯。

寄り道。
久しぶりの人に会えて、話してみたかった人と話せて、お酒を飲めてご機嫌。
仕事じゃなかったら朝までいれたのに。
いつもみたいに自転車を押して、オレンジのランプが灯る幻想的な小窓がある道を通って帰った。

13日 月曜
通り雨の匂い。
でも多分、本当に香りが漂っているわけではなくて、ただ私はそれを香ぐ。君の匂いだと思う。空が焼けて、その記憶を搔き抱いて、滲みながら眠る。

14日 火曜 盛夏火 板練習の回
いよいよ本番が近づいて、自分が人前に出ることに不安になる。いつもなる。でもいつも超えてきたから大丈夫。大丈夫にさせてもらってきた。

15日 水曜
あの子とあの子の恋の行方を傍観してる
うまくいきませんように

16日 木曜
首がいつまでもくすぐったい。

17日 金曜 盛夏火 グッズ撮影とパジャマの回
ついにパジャマが集う。
並ぶ偽りの笑顔の写真が何度見ても面白い。

18日 土曜
馬鹿みたいにいつだって過たず向こう見ず、
目の前だけ、一心に前を、その目を見る
よそいきの顔をしてて寂しくて笑ってしまう

19日 日曜 盛夏火 第0夜
お天気のお昼!とてもいい天気で、いつかの夏に
祖母が茹でてくれた素麺と畑の景色を想い出す。
一足先に夜を迎え、無事!開幕宣言!シーブリーズで高まる。
はじまるとおわる。おわるとはじまる。

20日 月曜
全部生意気なボーちゃんのせいにする。
幸か不幸か、それは他の誰でもなく、
私のことが少し大好きな君と、君のことが少し大嫌いな私の今日の午後次第なのです。
何もかもは気まぐれに通り過ぎていくのだ。

21日 火曜
妹とサザンの夏の曲クイズ。
全部エリーマイラブに繋げてしまう遊び。
散々私のお世話して甘やかしてくれて帰っていった。
本番前だからやめてくれと言ったけど、いてくれたからなんとかなった。
上から覗き込む格好いいいポラロイドカメラで記念に撮ってもらって嬉しい。
ぼやけてるぐらいが丁度いいね。

22日 水曜 盛夏火 第1夜
ラムネ瓶の中の目を挑戦的に見つめ返す
ドキドキさせたいしワクワクさせたいしつまらない気持ちを忘れさせたいのだ

☽できる?
☆うん。

23日 木曜 盛夏火 第2夜
雨上がりの幻夜を一人歩く。

24日 金曜 盛夏火 第3夜
魔法のような一瞬 。
星が素敵に砕けたら花火の明るい夜空。
いつもの小窓のランプが神秘的な蝋燭に変わってた。

25日 土曜 盛夏火 第4夜
ハプニングに安全地帯で大笑いした。
ラーメンを食べて、銭湯に行って、泊まらせてもらった。
いろんな時間にやっているけど、それぞれの時間のお客さんがこの時間に参加できてよかったって言ってて、嬉しい。

26日 日曜 お休み
果物を切ったあとの部屋みたいに仄かな甘い匂いの霊に取り憑かれて見る夢は官能的な金縛り。

27日 月曜 お休み
文字と文字の隙間に宿るもの潜むもの隠すもの露わなもの、声と声の重なりに募らせるもの。
何度も何度も同じ日を振り返って、何度も何度も言葉を選んできたであろう強さは眩しく、豊かな景色にうっとりする。
本の帯は納得いかない。
いつもなら本番前は本が読めなくなるのに!
不思議だけど、不思議じゃない。

28日 火曜
夜が待ち遠しい。

29日 水曜
あの子のことで泣くより私のことで笑った方がきっとずっともっといいよ
って言えたらいいのにナァ

30日 木曜 盛夏火 リユニオンの回
すごくひさしぶな気がして、話も脱線しまくる。
あともう少しで終わる。この日々が。少しもう悲しい。
下北のそちこちに一握の星をばら撒く。

31日 金曜 盛夏火 第5夜
今日こそ商店街のパン屋さんに行ってパンを、食べたいんだけど、緊張か、興奮か、胸がいっぱいで食べられそうにない。
今日もきっと煌めく夜。

1日 土曜 盛夏火 第6夜
やっとパンを食べれた一つだけ!
魚肉ソーセージこの期間に何個食べたっけ。
あとは、羊羹と86パーのチョコ、あとビッグエーの安い麦茶。ずっと前に差し入れでもらった栄養ドリンク。バナナ。
いつも来てくれる友人とパパラッチを撒いてから密会。オメカシして高円寺行かなきゃ。

2日 日曜 盛夏火 最終夜と最初の朝
出発まで1時間もないときに、やっぱりいつもと違う道にしようと言う監督の言葉に震えるも、大正解!!全てが大正解!!!
夏一番乗りの朝。ビールがおいしい。
ベランダからみんなで見た朝焼けよりも強くなった日差しを浴びながら帰る。

梅雨明けと夏の始まりを告げる魔法をかけて終わった盛夏火。でもきっと解けそうにない。夏はこれから。
私じゃないけど私の残像がこの街をずっと浮遊している気がする。魔女のをみたときも、終わってからも登場人物たちがあの町で暮らしている気がした。
たくさんの夜を過ごした。
来てくれた方々へ、一緒に過ごしたみんなへ、見つけてくれた人たちへ、全ての素敵な出来事に、深々とお辞儀。立位体前屈。





7月。
何度も願って何度も雨上がりに逢った。
髪を切った。
会いたいと思った。
むかつくことがあった。
声を聞きたくなった。
それでいいと思えた。

夏の夜は短くて濃い。
理科室の重たいカーテンを閉めて、アルコールランプの火を息を詰めて見つめてるみたいに、幻惑させる。
もっと近くなる。
眠りに落ちる瞬間、まなうらに浮かぶものに確かに触れる。いつも儚いまま思い出せる。
わけもなくはやる季節に身を凭れてみる。
理性は熱に溶け出ていく。
あやふやなものにこころみる。
徒らに過ごす。
夜っぴて踊る。躍り続ける。
夢の中でだって遊べる 。
優しさに疲れてもいい。
明日じゃなくて昨日じゃなくて今逢いに行く。
赤裸々な交換日記。
書きかけの手紙。
そのままの裸足。
醜い傷跡。
躊躇わずに見つめ返す目。
恥じらう睫毛。
突き放すときの無邪気な反作用。
掴み損ねても忘れて伸ばした手。
怖がらずに全て燦然と射る光に透かす。
全部夏のせいにするから。








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