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経済幻想

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自分のための経済の勉強部屋。
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再生

革命前夜 the Night before our Revolutions

「革命前夜/the Night before our Revolutions」の映像がウェブサイトにアップされました。ポッドキャストをお聴きの方は、これまで音楽やナレーションだけでイメージされていた世界観が、ビジュアルでも感じて頂けるのではないかと思います。是非音量大きめでお聴きすることをお勧めします。 また、この映像の随所に本の内容と関係する意味のあるものが映っている「図像学的な仕掛け」が散りばめられています。映像だけでも楽しんで頂けますが、ぜひ本を読みながら何度か見て頂くと、また違った発見があるかと思います。ぜひ謎解きのようにご覧頂ければ嬉しいです。 ハナムラチカヒロ著『まなざしの革命 世界の見方は変えられる』河出書房新社。1月25日刊行。 常識・感染・平和・情報・広告・貨幣・管理・交流・解放 、9つのキーワードを巡り解き明かされるこの社会の「仕組み」と私たちの「盲 点」とは?この時代に<溺れない>ための選択と思考法。 https://flwmoon.net/revolution/ 撮影・編集・グレーディング:地村俊也 照明:仲村逸平 写真:maayu 助監督:吉田徹 音楽:Jookwan 監督:ハナムラチカヒロ 制作:ブリコラージュファウンデーション ロケ地:oiwake park https://twitter.com/BRF_inf https://www.instagram.com/mnzs_no_kakumei/ https://anchor.fm/flwmoon/

ファクトかフェイクか 前編

■■2人のドナルド・トランプ  ドナルド・トランプが度々口にする「フェイクニュース」。これは2017年1月に大統領選後初めて行われた記者会見の場で、アメリカのCNNの記者に対してトランプ大統領が言い放ち、日本でも話題を呼んだ。自らに批判的なテレビや新聞に対する攻撃手段としてこの言葉をツイッターで連発するトランプ大統領は、気が狂っているのではないかという受け止められ方がほとんどであった。しかし実際にマスメディアが流す情報がフェイクニュースではないと言い切れるのだろうか。  トラ

“E”の問題

■■漠然とした不安「このままでは地球は長くは保たないのではないか–」。 この警告はすでに50年も前に発せられていた。1972年に出されたローマクラブの「成長の限界」という研究報告には、地球の許容量に比べて今の文明があまりに多くの課題を抱えていることが既に指摘されていた。それから半世紀近く経ったが、地球が抱える問題は一向に解決しそうにない。20世紀には私たちはまだ解決すべき問題が何かが見えていた。豊かになるためにどの政治経済システムを採択すべきか。核戦争による崩壊のシナリオを

コンビニと微生物

変な問いかけだが、ゴミは“いつから”ゴミになるのだろう。最初から最後までゴミであるようなものはあんまりない。使っている間はゴミとは呼ばれないからだ。しかし使い終わって不必要になると、それはゴミと呼ばれるものに変わる。だからゴミは元々あるものじゃない。どこかの段階でゴミに「なる」のだ。 例えばコンビニでお弁当を買うとしよう。ご飯とスパゲティーの上に乗った唐揚げの横には漬物が銀紙の小皿に盛られ、緑のビニールのバランで仕切られている。それが乗せられた黒いプラスチックの容器には透明

アウトキャスティング思考

いつの世も、のけ者やよそ者、村八分やならず者というのは居る。協調性がなく、和を乱し、誰からも相手にされない人々。いや“人々”というのは適切ではないかもしれない。それぞれは孤立した者たちだからだ。こういう人々のことを英語では「アウトキャスト(outcast)」という。このアウトキャストの立場から見ることが時に必要なことがある。 現在立っているところから、未来を見ることを「フォアキャスティング(forecasting)」という。フォアキャストには天気予報という意味があるように、

パンデミックをつくったのは誰か

2020年の4月14日時点での新型コロナウイルスのパンデミックについての論考として「パンデミックをつくったのは誰か」を、Wireless wire newsで連載中の「ネガティブの経済学」のページに掲載した。 予想以上の大反響であったので、こちらのブログにも再掲する。 ■■だれもが同じ方向を向いているとき今やどこを見ても人々の口からは新型コロナウイルスの話題しか出てこない。各種の大手メディアやインターネット、SNSではこのウイルスの話題以外はすっかりと姿を消した。未曾有のパ

パンデミック後のまなざし「A・B・Cの選択」

※2020年4月27日の時点で、WIreless Wire Newsに掲載した論考です。 ■■元の世界は二度と戻ってこないが前の論考「パンデミックをつくったのは誰か」では、「新型コロナウイルス」という“自然現象”と「パンデミック」という“社会現象”の二つを分けて、「まなざしのデザイン」の観点から考えた。その中で、今回のパンデミック現象は新型コロナウイルスそのものよりも、ウイルスの情報に反応して起こる社会の崩壊の方が危ないことにも触れた。新型コロナウイルスの危険度についてはま

グローバリズムから「インターローカリズム」へ

2020年1月より世界中に拡散したといわれる新型コロナウイルスと、それに端を発するパンデミック現象は、半年経った今でも世界中を席巻している。この新型コロナウイルスという存在そのものや、その危険性についてはまだよく分かっていない部分も多い。その中でWHO(世界保健機関)によって早々と出されたパンデミック宣言や、世界各地で都市封鎖が行われたことで様々な影響が現れている。 果たしてこの封鎖を行う必要があったのか、そしてそれによって感染拡大防止に効果があったのか。そのことには個人的

ポジティブの罠

私たちはとにかく“ポジティブ”を好む傾向にある。ポジティブな思考とは物事を前向きに考えることであり、明るく楽しく素晴らしいことである。一方でネガティブな思考というのは後ろ向きに物事を考えることで、暗く陰気で鬱に満ち、退廃的で後退するような考え方を意味している。人はポジティブに考えるべきであるし、それが物事を前に進める。昨日よりも今日は一歩前進しているべきだし、明日は今日よりもっとより良い未来となるように私たちは努力すべきである。 物事を前向きに考え、私たちの暮らしをより良き

社会主義vs資本主義という構図の崩壊

1991年にソビエト連邦が崩壊し、資本主義陣営の勝利が決まってからの30年間で、資本主義も崩壊しようとしている現状を目の当たりにしている。それに変わりうるような経済および政治のシステムというのはありうるのだろうか。今や誰もが気にする問題であるが、決定的なオルタナティブが見つかる気配は一向に訪れない。 21世紀の行く末を展望するには20世紀の歩みを振り返らねばならない。20世紀はこの世界は大きく姿形を変えたが、その原因は様々だ。一つには技術革新が挙げられるが、それは「工業化」

お金とは一体何か?

〓経済学を勉強する理由   私たちはお金がないと生きていけないと思い込んでいる。そして実際に日々お金を通じてすべてのサービスがやりとりされている。いわゆる市場を通じて経済が回ると言われるものである。しかし今や21世紀のこの世界の大部分の経済を動かしているのは、かつての経済学の理論ではない。金融経済が全てといっていいぐらい、私たち個人のお金に影響を及ぼしていると言ってもいいだろう。 お金は投資という形でこれまでは実質的な産業に対して向けられていた。しかしITバブルから後、お金は

ソ連に欠けていた資本主義精神

〓経済がつくるまなざし  資本主義経済は極まるところまできているこの時代。すべての物事に関して経済を抜きにして考えることはできない。そんな時代だからこそ、経済および経済学というものが一体なんであるのかを再び考え直す必要があるように思えてならない。  私の専門はまなざしのデザインであり、経済学の門外漢である。しかしあらゆるシステムは出来上がった後には必ず人間の心のまなざしの形成に影響を与えるのであれば、経済についても学ぶ必要がある。まなざしのデザインの視点を持ちながら一から経済

お金のカラクリ

■紙幣はどのように発行されているのか? 私たち全員のまなざしを釘付けにするお金というものは一体なんなのだろうか。私たちはお金を使用するし、それを大事なものとして日々扱っている。しかしお金とはどういうものであるのかということにまなざしを向ける機会は少ない。お金とは一体何であるのか。その前にそもそもお金とは一体誰が発行しているのだろうか。  お金を発行しているのは政府ではない。では日本銀行が発行しているのだろうか。紙幣には「日本銀行券」という名前が付いているので日本銀行が発行して

消費税とは何か?

●上がり続ける消費税  私たちにとって無関係に見えるような個々の事象。実はそれは日常のスケールを超えた大きな系でつながっている。お金というのもその大きな系の一つである。この現代社会の約束事の中で唯一といっていいほど世界で共有されているのがお金であり、そしてあらゆる生産と消費の活動をつなげている。だからそのお金に影響を与えるような仕組みが変われば、社会全体に影響を与える。法律や税制、電子技術などが変わることで、全体に大きな影響を与える。日々の生活の中で問題としていることが、意味