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はじまりの物語㉞ 始まり

天上に戻ってきた

濃くて長い旅路から戻ったというのに
いつも天上にいたかのような錯覚をおこす

天帝は上機嫌だ
蛇の出した皆のおもいは朝の陽光のように
八方に白金色の光を放つ
木のそばの水辺に入れると7色に光輝いた

ふむ、やはり水の中が一番よいな

さて、主にはふしぎな力があるようだ
それをわしも感じてみたい
そばで仕事をしてほしい
仕事はなんでも選ぶといいぞ、とそういった

この水辺が見れたらどこでもいい、とそう答えた
ならば、この木になる果の番をするがよい
大事な果だ 決して取られてはいけないぞ

それは、天帝の使徒は別であった
ときおり果を積み厳重に警護して持っていく
一体なんの果なんだろうか

まぁ我には関係がない
木の高い枝に登りそよそよとそよぐ木の葉をみる
光沢のある葉はキラキラと光っている
またある時は水面に目を映す
キラキラとした輝きに地上での旅を思い出す

ときおり、果を求めてやってくるものがいる
地上から天上に上がってきたものだ

天上に来るには2通りの方法があるらしい
ひとつは修練により空の境地に至り引き上げられるもの
もうひとつは軽くなって上がってくるものだ

どうもこの木の下に集まるものは
軽くなってくるものらしい
みなほかのものとの交わりを求めている
木の下でもざわざわと騒がしい
そのざわめきがどうにも心地よくこの者どもと
一緒に地上に旅に出たい、そう思うようになった

果を取ろうとして捕らえられたものは
他にも見張りがいてどこかに連れていかれる
蛇はそそのかすふりをして気をつけろ、と警告する

それでもまたやってきては木の下でくつろぎ話をする、
もう~、なんのはなしですか、なんて笑っている

なんのはなしですか

蛇は耳を疑った、
近頃そうおしゃべりするものが増えている
地上にいきたい、この愉快なものたちと

さて、どうやっていこうか
こんなとき、どうしていたっけ

ナ ン ノ ハ ナ シ デ ス カ

蛇はそう呟いた

コノ モノ タチ ト チ ジョウ 二 イ キ タ イ

そうだ、そういってイノルのだったな

そうすれば物語がはじまる

水面がキラリとひかり
蛇の前に木の果がポトリと落ちた
木にもたれ掛かり寛いでいた天の使徒が腰をあげる
かつては地上で道風と呼ばれていた天の使徒だ

さあ、これからどうなるのか
きっと上手くいくさ、魔法のコトバだ
軽くワクワクした気持ちでそう蛇は思うのだった

    ー  完   ー



下書き第1稿 なんとか書きあがりました
きっと書く!と宣言していたからだと思います

本当は具体的に行く手段を考えていました
でもコトバの力を信じるなら
この終わり方が一番いいかなと思いました

皆さんだったらどうやって地上にいきますか
想像の余地を残すのが
なんのはなしですかのいいところです

とりあえず、第一話大幅修正と、創作大賞応募用の
あらすじや目次づくりが残ってます

明日の私、がんばれー

 

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