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はじまりの物語② 旅の記憶




  前回のおはなし


旅にでよう

そう決意した蛇は
以前旅したころの
記憶を思い出していた


そうだ、むかしはよく旅をしていたのだ

地上の世界とは 水の奥深くで繋がっている


天上の世界と地上の世界

どちらでもあり
どちらでもない

 水が繋がっているのか
繋がった空の映し鏡として
水に不思議な力が備わっているのか

蛇にとってはどうでもいい話であった


湿ってひんやりした泥の感触
それを十分に楽しんでから
するりするりと水の中に入っていく


水面から頭をだして眺める景色が好きだった


しっかりと目に焼き付けて
今度は水の底に潜り込む
底のぬかるみを目を閉じたままで進む


つぎにゆっくり頭をだしたときには
そこはもう地上の世界だ

地上の世界でも水辺の近くがすきであった

ひんやりとしていて静かで
木々のせせらぎも
心地よい


ああ、そうか、

監視の役目で動けない中でも

この木が旅の記憶に連れて行ってくれる


だから木を訪れるもの達と旅をしようなんて
気になったのだな

そう考えるとここを動けない木というものが
少し気の毒に思えてきた


そよそよと風がふき 木の葉がなった
 
まるで
気にしなくていいんだよ

とでもいうように

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 これは なんのはなしです果 にまつわるお話

先日蛇のイラストを描いたら
愛着が湧いて主人公にしたお話を
書いてみたくなりました

話を読んでイラスト描いてみたいなんて
物好きな方がいらっしゃいましたら
ぜひお好きに投稿下さいませ
#なんのはなしです果 #はじまりの物語
とありましたら嬉しいです。

続く

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