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憧れの子

今日、母に無理やり大掃除をさせられた。
大掃除というか小学生の頃のプリント類の整理。
小1から小6までの学習プリントや絵日記系のプリント、植物の観察記録など、大量のプリントがファイルにまとめられていてその中からいらないものを捨て、コンパクトにまとめる作業をしていた。
中には小学生の頃の友人が書き込んだ文字などもあって懐かしい気持ちでいっぱいだった。

その中に、私のものでは無いプリントが1枚入っていた。3年生の頃のプリント。持ち主は3年生と6年生で同じクラスになった女の子だった。
3年生の時はあまり関わりがなかったが、6年生でちょこちょこ話すようになった子。今でも覚えている。

彼女はすごく頭が良くて、運動神経もよくて、人気もあって、周りよりすごく大人びた人だった。同級生ながらその子がすごく特別な存在に感じて私はとても憧れていた。なんなら今でも憧れている。

なぜ私がその後のプリントを持っているのか謎。多分間違えて私の持ち物に紛れ込んで、そのまま持って帰ってきてしまったのだろう。

プリントには小3らしい少し崩れた文字が書かれていた。6年生の頃は字も綺麗でなんだか完璧に感じた彼女にも、昔はこんな感じだったのだな…と少しほっこりした。まあ小3の頃も小6の頃もどっちも昔なんだけどね。

もう何年も前とはいえ他人のプリントを捨てるのは気が引けて私は保存するプリントたちの方にこのプリントを分けた。しかし、私がほとんどのプリントを保存する方に分けていたもので、分類作業に母の手が加わってしまい、その後そのプリントは捨てられる方に再分類されてしまった。母は私のものでないプリントが紛れ込んでいることに気がついていないようだった。

ここでこのプリントをどうするものか悩んだ。このまま捨てられてしまって良いのだろうか…それともこっそり救出すべきか…少し考えて私はこっそりプリントを抜き取ってスケッチブックの中に挟み込んだ。今思えばかなり気持ち悪い。小6の頃のクラスメイトのプリントを未だに保存しようとしている私。友人に言ったらきっと馬鹿にされるかドン引きされるかのどっちがだろう。

プリントの持ち主である彼女はさすが頭が良いだけあって、私立中学を受験し見事合格した。そのため中学に進学してからまったく見なくなった。1度、中1とき地元の夏祭りで遭遇したがそれっきりである。

彼女は今でも元気だろうか。
私が彼女と再開できることはあるのだろうか。小学校の同窓会とかがあればまた会えるのかも。小学校の同窓会は無いとこもあるみたいだからもう一生会うことは無いのかもしれない。
なんだか一期一会ってこういうことなんだな、って実感した大掃除だった。


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