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相手の肩越しに世界を見る。エスノグラフィックインタビューという方法

少し時間が経ってしまったが、今年の1月、人類学者・磯野真穂さんの「聞く力を伸ばす」という全5回のオンライン講座を受講した。

エスノグラフィックインタビューが他のインタビューとどう違うのかまだ理解はあいまいなままだけれど、記述的質問、構造的質問、対照的質問をどのように使っていくと、その人の見えている世界を肩越しに見ることができるか、その端緒はつかめたように思う。

実践ワークでペアになった方が同じ名前の「緑さん」で、お仕事のお話を伺えたのがとても興味深かった。録音したものを書き起こして、「コーディングとドメインアナリシス」というのをして、最後に作品をつくったのだけれども、結局どんな形にしたらよいか思いつかなくて、以前「書く」をめぐるインタビューでやっていた一人称形式の文章を書いた。

結果、相手の語りをリライトするというような文章になってしまい、自分が受け取ったものを伝え返していくところまではいけなかった。それでも、一連のプロセスにおいて、聴くことの解像度が少しあがる体験となったと思っている。

講座の内容もよかったけれど、講師の磯野さんの聞き方や返し方も参考になった。かなり聞きなれている人ならではのリズムというか呼吸というか。話が長い人の切り方なんかも、ああそうすれば自然なのか!と目からウロコが落ちた。早速、哲学対話のファシリテーションのときにマネしている。加えて、MiroとNotionというツールを活用したオンライン講座の運営という面でも参考になった。

ただ、今回の全5回の授業では習得までいかず、やっとスタート地点に立ったという感じ。もう少し回数を重ねることで、頭ではなく身体で理解していこうと、同じやり方で、引き続き3人の方にインタビューをしている。

昨日今日と、その書き起こしの文章を読みながら「コーディングとドメインアナリシス」(←これがまだそんなにわかってない)を行ったのだけれど、トップの写真のようにMiroが大活躍。文章上で行っているとどうしてもリニアに見てしまうのだけれど、Miro上で付箋を使ってやってみると、面で見られるので「こことここがこうつながるのか」という気づきを得られやすい。

インタビューをして、書き起こしをして、分析してというのは、修士論文を書くときにも20人分くらい行った。が、そのときは時間的に余裕がなくて見よう見まね。「ほんとにこれでいいのか?」と思いながらやっていた。今回は締め切りに追われることなく、じっくりお相手の語りの世界に浸りながら、あーでもない、こーでもないと試行錯誤ができている。

しかも今回は論文じゃないので、アウトプットは自由だ。自由だからこそ、自分にしかできない形にしたいと思う。

あと、エスノグラフィーについて調べていたときに、「オートエスノグラフィー」という、個人の経験を質的に研究する方法があるということを知った。これはたぶん、自分がやりたいと思っていたことにかなり近い気がする。

インタビューがひと通り落ち着いたら、乳がんサバイバーとしてのオートエスノグラフィーを、書いてみたいと思っている。

#聞く力を伸ばす #磯野真帆 #エスノグラフィックインタビュー

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