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人間国宝 野村万作さん、親子三代が揃う狂言の会に行ってきました

2月7日に、キラリふじみで、立春狂言「万作の会」を鑑賞してきました。
会場がある埼玉県富士見市は、文化芸術の振興にかなり力を入れている市です。

2002年~2006年は、平田オリザさんが初代の芸術監督をされていて(現在は富士見市文化芸術アドバイザー)、市民が気軽に参加できるワークショップやアウトリーチ活動に積極的にとり組んでいます。

この「万作の会」も実に、10回目(10年目)を数えるほど続いているプログラムです。
これまでなかなか観に行ける機会がなかったのですが、1週間ほど前に予定が調整でき、慌ててチケットを購入しました。

人間国宝の野村万作さん、オリンピックの開閉会式の総合演出など八面六臂の活躍を見せる野村萬斎さん、そして公文のCMでおなじみの野村裕基さんの親子三代の共演が何より楽しみです。

ちなみに、会場のキラリふじみの向かいには、巨大なららぽーとがあって、市民が集まるには持ってこいの立地です笑

途中でお腹が空かないように、席に着く前に、ロビーで売っていたどら焼きを1つ食べました。

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「なんで縄文?」と思ったら、富士見市には縄文時代前期の水子貝塚があるのだそうで(これも今度行ってみよう)、それにちなんで地元の和菓子屋さんが売っているようです。

ロビーでは、お着物で来ている方も多く目につきました。さすが芸術振興のまち!

会場に入るとまず目につくのはホールの舞台の上の能舞台。

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鏡板(背面)には、通常は松(老松)が描かれているのですが、ここでは金屏風でした。

開演時間が来ると、野村萬斎さんが登場。
最初の30分程は、萬斎さんの解説です。

その日の演目『蝸牛』『花折』について、初めて観る人でもわかるように、話の筋だけでなく、演者の動き、狂言のお約束事などを説明してくれました。

「狂言は舞台にほとんど何も置きません。すべて"エアー"でやるんです」と会場に笑いを誘ったり、『蝸牛』の盛り上がりどころの囃子言葉を会場のみんなで歌ってみたりと、すっかり会場があたたまってから、一つ目の演目が始まりました。

演目の説明は、こちらの当日配布のプログラムにて↓

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それにしても、御年88歳(!)の万作さん、20歳の孫の裕基さんとは何度も共演していると思いますが、この日もとても楽しそうに掛け合っていました。「師匠とその弟子」というよりは、「おじいちゃんと孫」というメガネでこちらが観てしまっているからか、観ている方までなんとも楽しくなる掛け合いでした。

しかもかなりの長い時間、掛け合いをしながらケンケンで舞台の上を飛び跳ねている!
息が切れるんじゃないか、とちょっと心配してしまいましたが、いやはや、国宝にそんな心配は無用。最後まで太郎冠者の絶妙なおとぼけ具合で、会場には常に笑いが起きていました。

15分の休憩をはさんで、2つ目の演目『花折』が始まりました。

こちらは萬斎さんが新発意役で登場。
お花見、酒盛りのお話なので登場人物も多くにぎやかで、さらに萬斎さんの動きや言葉にみんなが注目して、こちらも幾度となく笑いに包まれていました。

狂言を観てというよりは、おそらく萬斎さんを観て笑っている状態になっていたのかもしれません。動きや間、声の節のつけかたなど、やはり独特の個性がありますね。

萬斎さんの解説が最初にあったので、2つの演目ともたっぷり楽しめました。千人近くで同じ舞台を観て笑う。なんとも健康的、文化的な時間ですね。

過去に萬斎さんが出演された能楽堂や夜桜能での鑑賞もそれぞれ味わい深い体験でしたが、この日はまた違った雰囲気で、あたたかでファミリアな感じがする素敵な体験でした。

室町時代から続いている狂言。その時代その時代ごとに、きっとスターのような演者がいて、民衆から愛されて、令和の時代までその舞台が受け継がれてきたのではないかと思います。

3月、4月とまたチケット取っているので、それも楽しみです。

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