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「ぐしゃぐしゃ!」

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ちまちまと投稿しているお話です。 愚者ばっかりのぐしゃぐしゃなお話になる予定です。 よろしくお願いします。​
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 犯行理由「暇だったから。」 平和に溺れる高校生、秘密が多いパン屋さん、神様を信じない神主さん、愛を拗らせた警察官、命を省みない医者、何者にでもなれる若手俳優。 この街にはロクな奴がいない。 愚者ばっかり。 https://204nocontent.wixsite.com/flowilter/%E3%81%90%E3%81%97%E3%82%83%E3%81%90%E3%81%97%E3%82%83

プロローグ

あらすじ  偶然なのか運命なのか計算なのか誤算なのか知らないが世の中には『縁』と言うものがあるらしい。  例えば、何かとよく居合わせる友達とか、自然と集まってくるアイテムとか、ラッキーナンバとか、ラッキーカラーとか……。探してみるとそれは妙に法則性がある。  それらは良縁や腐れ縁と呼ばれ、好まれたり疎まれたりするけれど、俺は少なくとも『縁』とやらには恵まれていないらしかった。 「大丈夫ですか⁈ しっかり!」  体を揺さぶられて肩を叩かれた。  重たい瞼を上げて振り返るが

プロローグ(警察)

 本当にあった怖い話、世にも奇妙な物語、やりすぎ都市伝説、などなど……。世の中には科学では証明できない事象がいくつも存在する。「信じるか信じないかはあなた次第です」とはよく言ったものだが、俺も幼い頃はよく「トイレの花子さん」とか「口裂け女」とか、定番の怪談話に盛り上がったものだった。ああいうのは「いない」と分かっていても友達とふざけ合うのが楽しい。子供の定番の遊びだ。  しかし、世の中にはそういうオカルトを本気で信じている人がいるらしい。例えば「人が空を飛んでいた」とか「少女

プロローグ(学生)

【大谷高校 新聞部(5)】 紡希『体調不良なので今日は早退します』12:25  HRが終わってスマホを見ると、部活のLINEグループに通知が入っていた。  送信時間は12 時25分。送信者は杉下紡希。同じ部活に所属している同級生の女子生徒だった。ちょうど昼休みが終わり5限が始まった頃にきたメッセージで気がつかなかった。  倉田満は他のメンバーたちがスタンプで返信しているのに続いて『お大事に』と書かれたスタンプを送った。  既読はすぐにはつかなかった。  そして他にメールなど

汐御崎という街(夜)

 龍騎は病院という場所があまり好きではなかった。  健康体で昔から病院にお世話になることは滅多になかった龍騎だったが、お見舞いや付き添いで来るたびに感じる染みついた消毒液のにおいや乳白色の内装、機械のように動く職員にうんざりする。  特にこの内海病院はハッキリと言って嫌いだった。生命を守る場所なのに温もりが感じられない。右を見ても左も見ても弱々しさが目について嫌だった。  そんな大嫌いな病院の廊下を龍騎は早足で歩いていた。  時刻は深夜23時すぎ。  就業時間も消灯時間もとう