短編小説 『舞うイチゴ』 #シロクマ文芸部【二粒目】
『舞うイチゴが見られるのは、今月も15日頃になるでしょう』
と、天気予報士がさらりと落下注意を呼びかけるようになったのはいつ頃からか。
最初に降ってきたときこそ、イチゴを模した隕石なのではないかと世界的な大騒動となり、研究者たちがこぞってそのイチゴを分析したものだ。しかし、紛いもなく本物のイチゴであることが証明されただけだった。
また、一度に降ってくるイチゴの数は極めて少なく、今では物好きな人たちがブルーシートなどを広げて待ち構え、高値で売買したり、ドライフルーツにし