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クロールキックとドルフィンキックの違い

単に「左右交互に蹴るか、両足同時に蹴るか」の違いだけでなく、「使用する筋肉の違い」「抵抗と推進力の違い」の観点で考察したいと思います。


使用する筋肉の違い


特に大きな違いがあるのはアップキック時の太ももの裏の使い方。太ももの裏(ハムストリングス)には4本の筋肉があり、2本ずつ内側ハムストリングスと外側ハムストリングスに分かれます。クロールキックは内側ハムストリングスを多く使い、ドルフィンキックは外側ハムストリングスを多く使います。

図1 クロールキックで使用する筋肉のライン


図2 ドルフィンキックで使用する筋肉のライン



さらに詳しく


クロールキックは、右足がアップキック時に右の内側ハムストリングスと両脚の内ももと左の脊柱起立筋も使います(図1)。イメージとしては骨盤や背骨のコアの骨に筋肉を寄せるとか巻きつけるイメージ。一方ドルフィンキックは、アップキック時に外側ハムストリングスと大殿筋を同時に使い(図2)、膝が広がったところからダウンキックで一気に閉じるイメージです。個人的には、外側ハムストリングスと大殿筋が短縮する感覚を高めるには、バックエクステンションの器具を使用するのが最もわかりやすいです。

バックエクステンション つま先を少し外向きにするのがおすすめ

抵抗の違い


クロールキックは左右交互にダウンキックとアップキックが速いテンポで入れ替わります(スプリントなら0:50の間に3回)。左右の足の間には強烈な乱流が起こり造波抵抗が発生します。故にできるだけ浅い位置でのキックがおすすめです。その点、ドルフィンキックはテンポが遅いものの乱流は起こりにくく1回の蹴りの動作でしっかり進みます(平泳ぎのキックに近い)。



推進力の違い


「クロールキックはテンポを重視」「ドルフィンキックは1回動作で捉える水の量を重視」と言えると思います。では、片足ずつ蹴るクロールキックに対して、両足同時に蹴るドルフィンキックは2倍の推進力があるかというとそうではなく、実際には2倍以上の水を捉えることができます。膝の開閉を伴うドルフィンキックでは、左右のふくらはぎの間にリング状の水の渦が発生し、これが水の掛かりの良さを生みます。足先がズレてしまうとリングが発生しないので注意です。



まとめ

  • それぞれのキックで使用する部位が違うので、それに合わせてドリルを考える。水中よりドライランドのほうが効果的だと思います。

  • 特にアップキックの精度が重要で、クロールキックは親指側(母指球)から上げる、ドルフィンキックは小指側(小指球)から上げるイメージ。

  • フィンを装着すると太もものパワーに頼ってスピードを出せてしまう側面があるので、細かい動作の確認はフィンなしがおすすめ。


次回は「クラウチングスタートの段階的練習法」について。私はレッスン内で「構え方と初動」について3つのレベルに分けて指導しています。自分の脚力・柔軟性に適したレベルで練習することが重要で、「最速タイムが出せるかではなく、最速に近いタイムを安定して出せるか」を優先としています。今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

四国・高知で水泳の個人指導なら
FLOW STYLE 藤澤ヨシノブ


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