音の話

生活してると色んな音があるよね。食器を洗っている時の水気を含んだ音だとか、鍋で野菜を煮込んでいる時の音だとか。私は本を読む時のページをめくる音も好きだし、窓から抜けてくる風がカーテンを揺らす音も好き。音のない生活なんて、到底想像ができないくらいには。

趣味で創作活動をしていると、情景描写を考えるために色んな音を探すことがある。つい最近、その音源がアプリの不具合で700曲くらい消えてしまって私は絶望と言っても過言では無いショックを受けているのだけれど、それはそれでまた新しい音を探そうと思って明るく考えることが出来ている。さっそく昨日、新曲を追加した。

私の創作は文字書きだから、音を実際に相手の耳に届けることは出来ない。読み手の目で追わせてイメージが膨らむよう、しつこくない程度の文字を綴る。そういうことをしていると、普段何気なく感じている音が情報を与える手段のひとつとして大事な役割を持っているのだと実感する。交差する人々のざわめき、鮮やかな木々の葉擦れ、砂浜を飲み込む波の音。音として聞き入れればすぐに理解することができるのに、これらを文章で書くなんて。世の中の他の文字書きの方々は一体どうやって表現をしているんだろうと常に不思議に思っている。私は言葉選びが上手くないから、実際に音を確かめて書き残すことしか出来ない。それでも誰かに伝わっていたらいいなとふと思った午後3時の話。

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