見出し画像

多様性の重要性について

僕の好きな本である『多様性の科学 マシューサイド著』から、書籍の内容と僕の解釈を交えて、ご紹介したいと思います。

いつの間にか、人間は地球で最強の生物になりました。
一対一の戦いならライオンに負けますが、全世界のライオンVS全世界の人間の戦いでは、勝負になりません。その気になれば、人間は、ライオンを絶滅させることだって可能です。
人間は、なぜ他のいかなる動物より、こんなにも強くなったのでしょう。

頭が良かったから、という答えが浮かびますが、実はこれは正確ではありません。

大昔、人間のライバルはネアンデルタール人でした。このネアンデルタール人の方が人間より知能が高く、脳が大きかったことが発見されています。

現代でも、チンパンジーと人間の幼児同士で、同じ作業をさせると、それほど変わりはありません。記憶力や空間認識力、形や音を認識する力など、あらゆる認知機能で実験をしても、それほどの違いが出ないそうです。

つまり、元々の頭の良さによって、人間が最強になったのではないのです。

では何が違うのでしょう?

例えば、チンパンジーと人間の各幼児に、パックから食べ物を取り出す様な複雑なやり方の見本を見せると、人間の幼児は、真似をして食べ物を取り出すのに対して、チンパンジーの幼児は自分が見たものを理解せずに、食べ物を取り出すことができなかったそうです。

ここに人間と他の動物の大きな違いがあります。人間は個人の能力は高くなくても、他者から学び、習得して、さらにそれを、自分なりの工夫や改善も加えて、次の他者へ伝えていくのです。

この様に、集団的に知能を高め続けた結果、人間は、他の動物よりも集団として知能レベルが格段に上がりました。この集団脳を高めることこそが、人間の得意技であり、あらゆる場面で大事にすべきことなのです。

そして、この集団脳を高めるためには、個性の違いが重要となります。

みんなが一緒であれば、集団脳は個人とほぼ同一レベルになってしまうので意味がありません。違う人同士が、違う知恵を出し合うからこそ、集団的な知能が高まります。つまり、集団脳を高めるためには、個性と多様性が大事なのです。

2001年9月11日、アメリカのワールドトレードセンターへ航空機ごと突っ込んで爆破させる歴史的なテロ事件が起きました。実はこのテロが起きるかなり前から、アメリカの情報機関であるC I Aには、テロを予見できる様々な情報が入っていたと言われています。

CIAの職員は、アメリカでも天才的に頭がいい人が集まる組織として有名です。しかし、当時のC I Aは、優秀な大学をでた白人エリートばかりで、個性も集団の多様性もありませんでした。

白人エリートである彼らには、地べたで活動しているテロリストの狙いや過激なイスラム教徒の考えが理解できず、テロを未然に阻止できる有益な情報を見逃したと言われています。
いくら優秀な人が集まっても、同じ様な人ばかりだと、集団の脳が機能せずに、大事なことを見落としてしまうのです。

社会の最小単位である家庭でも、男性と女性、親と子、社会人と学生など違う立場や違う人同士がいるからこそ、家庭の力が高まります。これは学校でも会社でも、どこでも同じことです。

個人が集団の力から吸収し、また個人が個性を生かして、集団としての力を上げていくことこそが、人間のなせる最高の芸術なのです。

それぞれの人の個性や違いを生かして、その人がその人らしく、活躍しながら、集団に貢献していくことで、みんなの集団脳が高まります。

話は変わりますが、ウクライナを進行したロシアのプーチンの思想には多様性がなく、閉鎖性が根深く潜んでいると思います。
今のロシアには、多様性を集結した集団脳が働いていないと思います。
その為、独善的な判断で、結果的には、ロシアにとっても良くない選択をしてしまいます。

集団脳を高めることが、自分の所属する組織はもちろんの事、人類の発展や平和へ向けても、重要なテーマになるかと思います。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?