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『花が好き』とは何か。ある花好きによって気付かされた『花が好き』の真実

私は花が好きで仕事を始めたわけではない。

学生の頃、配達員募集の張り紙を見てこの業界に入った。
配達だけなら簡単な仕事だ。と不純な動機で始めたのが本当のきっかけだ。
結果的に人手不足で一番やりたくない接客業をやることとなった。
今だから言えるが、アルバイトの時は花が好きという感覚には正直なれなかった。

当時、私は美術大学に通っており、カタチ(形態論)について研究をしていた。
それもあってか、唯一興味を惹かれたのが、花のもつ自然のカタチと、自然の色。

これが唯一継続できる動機となっていた。

当時そんな私に、師匠(アルバイト先の社長の奥さん)から、花の装飾の雑誌を見せてもらう機会があった。私が美術大学に通ってるからか、興味があると思い、たくさんの作品を見せてもらった。
たまたま空間デザイン専攻だった私には、花の世界の裏側を見た気分で、花の装飾に興味を持っていった。

実はこれをきっかけで大学卒業後は某外資系ホテルのブライダルスタッフとして入社したのだが、花の世界は生半可な気持ちで務まるわけでもなく、当時は本当にたくさんの苦労があり、業界の洗礼を受けた。(またここについて話せる時が来たら話したい)

のちに、葬儀、老舗の花屋、スーパーの花屋、量販店、市場、など様々な形態の花屋を経験し、たくさんのお花たちに触れ、自分のお店の経営を始めたのだが…

「花を好きってなんなんだろう。」
という言葉はずっと頭の中から離れなかった。

今思えば既にこの頃、自分の『花が好き』の概念が出来上がっていたのかもしれない。

一度この業界からも離れ、外側から業界を見て、一消費者となって花を楽しんでいたこともあった。

それでもこの答えは見出せなかった。

今から4年前。
今勤める株式会社スマイルLACA西荻窪店に出会った。ここに勤めるスタッフはベテランメンバーも多く、私には刺激的な方達ばかりだった。

今から2年ほど前だろうか、新しい男性のスタッフが週2日契約でうちのお店を手伝うことになった。
もちろんベテランの方である。
しかも、本業も某花屋の装飾(造花メイン)を数多く手掛ける凄腕の方。
働きたい理由は
『生の花に触れたかったから』

とても衝撃的だったし、本当に花の好きな方なんだと感心した。

彼が職場に慣れてきた頃、
出勤の度にたくさんの質問をされるようになった。
「これはどこの産地ですか?」
「これは輸入?国産?」
「これは〇〇さんのお花だよね?」
「え、こんなお花ってこんな色あるの?」etc,,,
花の事についてすごく聞いてくるのだ。
しばらく生の花を触れていなかった彼には、今の時代、本当にたくさんの種類や色、産地の花があることを知り、感動が止められなかったようだ。

私もまだ仕入れ担当になったばかりで、答えられないことも多く、調べては教えたり、また知ってる産地さんなども多く教えてもらった。

気づけば男(おじさん)2人での花トークは尽きず、週2日だけの彼に会うのがとても楽しみだった。

今から一年前、当時SNSでも人気を集めていたクリスマスローズ見てみたいよね?と話が盛り上がることがあった。
「買ってみましょう。」
私は何を思ったのか仕入れをしたのだ。

おそらくこの花屋さんの歴史の中で、店頭販売用としては一番高い仕入れ金額(一本当たり)だったのではないだろうか。

花が届いた時、みんなで本物を見れた感動と、その美しさに興奮が止まらなかった。

長野県、鮎澤農園さんの美しいヘレボルス。

店頭に並べると早速お客様が目に止める。
そして、それをいち早く説明する彼
「このお花本当にすごいんです!」
思ったままをそのまま伝えるその姿はまさに花好きそのものだった。
そして、お客様も、早速購入したのだ。
これもまた衝撃的だった。

その日に何人の方に販売していただろうか。

そこで私はふと思った。
「花を好きってこういうことか」

見た時の感動を、誰かに共有したい。

そう思えることが花を好きということ。

学生時代、花のカタチ、色に感動を覚えた、あの瞬間が今回も目の前で起きたのだ。

当時は何も感じなかった花。

長年、花の業界に携わり、店頭販売に戻ったからこそわかったその真実。
『花の魅力をお客様に知ってもらいたい。』
『この花は本当にすごいって素直に伝えたい。』
本当に花が好きということは、自分たちが感動した花をお客様に伝えたいと思った時、初めて花が好きと言える。

ある花好きによる。
「見てみたいよね?」の一言で
花が好き』の真実に気付かされた私…いや思い出させられた私が、今改めて花の美しさと魅力を文章と共に発信している。

花に出会った時、既に私は花が好きでした。


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