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ポーラ美術館『部屋の見る夢』

 3/10、あこがれのポーラ美術館へ。

 印象派マニアとして一度は行ってみたかったポーラ美術館。箱根に行く機会がなく、面白そうな展覧会をやっていてもなかなか行けずにいましたが、星の王子さまミュージアムが閉館すると聞いて箱根美術館巡りをする覚悟が決まりました。

 まず外装というか、建築自体がいい……空想世界への入り口のような感じでテンション上がりました。自然に囲まれたガラス張りのエントランス嫌いな人いないでしょ。

部屋の見る夢

 「部屋」をテーマにした企画展。ディスプレイもこだわって「部屋」がイメージされてておしゃれでした。キャプションが作品の横じゃなく部屋の一部にまとめて掲示されてたのもおもしろかった。私はキャプションを見るのも好きなタイプなのでちょっと不便だなと思いましたが、作品への没入感があってこれはこれでいいかもと。

 展示も素敵な作品がたくさんあって楽しかったです。モリゾがお気に入り。やっぱり女性画家の描く女性ってめちゃくちゃいいんですよね……。とくに《ベランダにて》はとてもかわいい。ベランダという部屋と外の境界にある空間は透明性があって夢うつつの雰囲気を醸し出しているし、「部屋の見る夢」というテーマにもぴったりでした。

ベルト・モリゾ 《ベランダにて》1884年


 あと性癖に刺さったのはヴュイヤールの《服を脱ぐモデル、マルゼルブ大通り》。

エドゥアール・ヴュイヤール《服を脱ぐモデル、マルゼルブ大通り》1909年頃

 正直今までナビ派にそれほど大きな印象がなかったんですよね。大学の講義でかじった程度の知識でいつも鑑賞して、いつも「ふーんナビ派だ。」程度の認識で終わってしまっていたのですが、この作品は刺さりました。服を脱ぐ、という日常の何気ないけれど特別な瞬間を切りとっているのがとてもいい……。ナビ派の「日常の何気ない瞬間を切りとる」ってこういうことか……! とやっと理解しました。平坦で装飾的な画面もポスターみたいでかわいい。


 ナビ派つながりで言うとボナールの展示が見ごたえありました。部屋と言えばナビ派なんですね。

 ボナールも好きか嫌いかと言われてもどちらでもない……という、やっぱり中途半端な印象でした。何度見てもあまり印象は変わらないんですが(これはまだ比較的理解できるボナールだな……とかこれはもうまったく理解できないな……とかはあります)、今回展示されていた裸婦画はよかったです。ボナールの裸婦画初めて見ましたが好きだなと思いました。体を洗うポーズを切りとる感性が親密さの表現になっていてよい。

ピエール・ボナール《浴室の裸婦》1907年


 あとマティスだ!!という感じのマティスがたくさんあって楽しかったです。マティスも別に特別好きではないんですけど見ると元気にはなります。

アンリ・マティス《リュート》1943年

 これなんか装飾性とかフォビスムの色づかいとかセザンヌっぽい静物描写とかいろんな要素が見えて面白かったです。


 あとは……草間彌生の作品があったんですがすごく気持ち悪くて「本来あるべき草間彌生の世界観」を見た気がします。タイトルにもなってますがもともと彼女の水玉模様は幻視から来る強迫観念を表現したものだと思うので、可愛いというより気味が悪いなあ……というのが私の印象です。

草間彌生《ベッド、水玉強迫》

 よく見ると寝台部分がデコボコのとげとげになっていて気味が悪い……。


コレクション展

 コレクション展のほうももちろん楽しみました。

 最初の部屋にモネ、ルノワール、ピサロ、スーラ、ゴッホ、ゴーガン、セザンヌが並んでてなんじゃこの印象派+後期印象派+ポスト印象派アベンジャーズは!?て腰を抜かしました。この7人が同じ部屋に展示されてるの初めて見ました。これがポーラ美術館……!

クロード・モネ《睡蓮》1907年
ポール・セザンヌ《プロヴァンスの風景》1879-1882年
フィンセント・ファン・ゴッホ《ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋》1888年
ポール・ゴーガン《小屋の前の犬、タヒチ》1892年

 セザンヌ、ゴッホ、ゴーガンを同じ画角に収める日が来るとは……。セザンヌばっかりとか、ゴッホばっかりとかもいいんですけど、やっぱりこういう勢揃い感もたぎるじゃないですか。よかったです。


 抽象表現主義、アンフォルメル、具体の部屋があったのもおもしろかったです。それぞれ単体で見ることはあっても3つを同時に見ることってなかったので。同じような芸術潮流だと言われるけれど並べると具体は異彩を放っていますね……。白髪一雄の激しさは部屋の中でもひときわ目を引きましたし、田中敦子の作品も抽象表現では説明できないものを感じました。どちらの画家も去年「具体展」で見たのですぐわかりました。


 それからリヒターの展示も。ポーラ美術館ってたしか去年リヒターとモネを並べる展示をしていたと思うのですが、行けなくて悔しかったので今回モネもリヒターも見られて嬉しかったです。リヒターのアブストラクト・ペインティングは、ちゃんと理解できている自信はないですが見ているとおもしろくて好きです。この作品はスキージのあとがかなりはっきり見えたのも興味深かったです。

ゲルハルト・リヒター《抽象絵画(649-2)》1987年


 次の展示室でシュルレアリスムの作品がみっつ並んでいて、左からキリコ、ダリ、マグリットっぽいな~と思いつつ近づいたら実際その通りだったのでテンション上がりました。シュルレアリスム好きなんですけど日本であんまり見られなくて、三人とも初めて見ました! 何にそんなに惹きつけられるのかわからないんですけどなんかいいんですよね。夢とか無意識とかのテーマに親しみを感じるからかな……。

 特にマグリット好きなので嬉しかったです。数年前に日本でも展覧会やってたんですけどね。受験生だったので行けなかったんですよね。


 とっても楽しかった~また箱根に行くことがあれば行きたいです。




 

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