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スト6を始める

ある日ニュースを見ていると「カプコン最高益 ストリートファイター6がけん引」というトピックが気になり、スト6に関心を持った。
かつて対戦格闘ゲームはゲームの花形みたいなものであったが、今や当時の勢いはだいぶ失われ、残るは高齢化したプレイヤー、もはやオワコンという過激な発言もちらほら耳にしたことがあった。その証拠に、確かスト5は販売本数が目標に届かなかったと聞いている。しかし、同じ対戦格闘ゲームであるスト6の登場で息を吹き返し、カプコンの決算を押し上げたわけだ。
YouTubeやTwitchの配信でもスト6で賑わっていて、老若男女問わずプレイしている。中には格ゲーはスト6が初めてという人も多い。それでも皆楽しそうにプレイしていて、長く続いているようだ。周囲の熱気に触れ、私も久々に格ゲーをやってみるか、と思い立ってセールのタイミングに買った。

1か月が経ち、ワールドツアーとトレーニングモードばかりやっているが、格ゲー初心者の私でも楽しめている。私が最後にやった格ゲーは、確かストⅢ3rdだったと思う。なめらかなキャラの動きやBGM、派手さが抑えられたエフェクトといったものが、当時の私には洗練されているように見えて憧れだった。家庭用を買ってはみたものの、格ゲー経験のない私には操作が複雑だったうえにCPUがやけに強く、何をやれば勝てるのかが皆目見えてこなかった。結局数日で投げてしまった。それ以来格ゲーに手を出すことはなかった。
なので格ゲーは10年以上振りになる。果たしてまともに動かせるのか不安だったが、今でもコマンドで昇竜拳を出せた。少しほっとした。これを機に、じっくりと格ゲーを楽しみたいと思う。

実際にプレイしてみると、確かに私の知っている格ゲーとは良い意味で違う。モダンという操作の簡易化と、基礎を学ぶ導線がしっかりしているのが大きく、格ゲー未経験でも上達しやすくなっている。

操作面はコマンド入力を簡略化したモダンの存在が大きい。ボタンの数を減らし、必殺技もワンボタンで使える手軽さは、パッドでも十分操作ができる仕様になっている。もともと格ゲーはアケコンでやるものという固定観念があった気がする。ボタンの多さや同時押し、コマンド入力といったものは、確かにパッドでは少しやりづらい印象があった。とはいえ、ゲーセン文化が廃れてしまった今となっては、アケコンを持っている人は少ないだろう。モダン操作の導入は、すそ野を広げるのに一役買ったと思う。

チュートリアルやキャラクターガイドが充実しており、これだけで基本を学べるのも良い。移動、ジャンプ、ガードといった操作から、飛び道具とは?めくりとは?などといった格ゲー用語の説明も充実している。キャラガイドでは必殺技の入力方法はもちろんのこと、必殺技の狙いどころや有利な間合い、立ち回りまで教えてくれる。オフラインモードであるワールドツアーも、実戦形式のチュートリアルという位置づけなのだろう。今はネットですぐ攻略情報が見つかるとはいえ、自分から攻略を探す意欲の強い人ばかりではないし、また仮に探すとしても情報が溢れすぎて、かえって未経験者や初心者は混乱するかもしれない。見ておけばとりあえず一定水準まで遊べるガイドというのは、右も左もわからない人間からすれば非常にありがたいものだ。

これらの要素は賛否両論あっただろうと思う。格ゲーの上達は正確なコマンド入力も含めたものであったはずであるし、プレイヤーの膨大な研究の積み重ねによってゲームの奥深さが見いだされた側面もある。その点ではこれまでのゲームの考えとは異なったものであると思う。
しかし、マニアの意見ばかり受け入れたゲームばかりではジャンルが滅びる。かつて格ゲーと同様にゲーセンの花形であった2Dシューティングは、時が経つにつれて高難易度化、複雑化が進んでしまい、マニアには受け入れられたものの、初心者お断りのものばかりとなってしまった。新規に人が入らなければ人は減る一方となってしまい、現在はだいぶ廃れてしまっている。ジャンルの流行り廃りを見るにつけ、マニアの意見と初心者の意見とでは、受け入れるべきは後者であると感じたものだった。スト6は後者の意見を受け入れてヒットした好例なのだろう。オワコンとまで揶揄された格ゲーの世界で未経験者、初心者問わずわいわいと楽しんでいる光景は、感慨深いものがある。

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