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ドラゴンズドグマ2 旅の終わりと始まり


注意!ここからはドラゴンズドグマ1と2のネタバレを含む


私のメインポーンは、性格を奔放にしている。ファイターやウォリアーなどの前衛職にするつもりだったので、ぴったりと思って設定した。しかし大人しそうな見た目に反して言動がどうにも人間臭い。雑用を覚者に押し付け、口を開けば休むことや食べること、寝ることばかりでツッコミどころ満載である。
今までポーンという存在は、その名の通り感情が希薄な「兵士」「駒」のように思っていた。前作の言動はまさにその通りの印象で、「アイテムを拾います」「ゴブリンがいます!」といったふうに万事淡々と事務的に進めていく。サポートする駒という表現がぴったりだった。
しかし今作のメインポーンは違うようだ。それは性格によるものなのかもしれないが、私のメインポーンは頻繁に軽口を叩き、強敵を倒した際は飛び上がって喜ぶというふうに、喜怒哀楽を表に出してくる。前作のポーンからのギャップが何とも可笑しい。

そりゃ誰かさんが拾ってくれんからや
いやだって行かないと帰れないから…(飛石忘れた)
ここは私にお任せをメイポ様
お前は新橋のサラリーマンかい

とはいえ、もちろん戦闘では果敢に立ち向かっていくので一安心だ。大型のモンスターを見つけては「さあ、登頂開始!」と先んじて身体にしがみつき、有利な状況では「おや痛そうに…このまま連撃を喰らわせますか!」とSっ気を見せて頼り甲斐がある。まあ猪突猛進が過ぎて崖からダイブしたり、後衛職の時でもいつもの癖で前に出て先制攻撃を喰らったりすることもたまにあるが、なんだかんだで憎めないヤツである。

しかし、ストーリーを進めていくうちにメインポーンの言動が変わっていった。ロストで受けた身体の傷を「大事なもの」と表現し、幻術師に転職すると「世界一」と褒めちぎってくる。今までの態度からして何か下心でも隠しているんじゃないかと勘繰ったがそうでもない。そしてある日、メインポーンに話しかけると頬を赤らめた。

目を疑ってもう1度話しかけた。普通の素顔に戻っていて見間違いかと思ったが、しばらくして話しかけると再び赤らめた。メイポがデレた!?

前作では、確か覚者とメインポーンとで恋愛関係に持ち込むことはできなかったはずである。そもそも恋愛どころかドライな関係が続いた記憶がある。しいて例外を言えば、最後のシーンで全力でマスターを追いかけたところか。
しかし、今作ではメインポーンとも親密な関係になれるのだろうか。前作で望んだ人も多かっただろう。むしろ、覚者と最も行動を共にするメインポーンとの間で、何もないのが逆に不自然だ。

よくよくメインポーンを観察していると仕草が増え、何もしないときは覚者ばかり見ている。私もたびたびメインポーンに意味なく話しかけたり、身振り手振りを観察していた。
こうしてデレデレポーンとの旅は続いた。サブクエ消化、探究者の証集めとメインクエストそっちのけで寄り道ばかりで、プレイ時間はゆうに100時間を超えた。旅の終わりが見えていても、口実を作って旅を続けたかったというのもある。

しかし旅はいずれ終わる。

エンディングで確信した。ドラゴンズドグマ2の大きな魅力は、相棒であるメインポーンをプレイヤーが思い思いに作り、自由に旅することにある。メインポーンと長く冒険を共にすることで、互いの関係は単なる主従関係を超え、大切なパートナーとして認識しているようにさえ思えてくる。
時に困難に立ち向かい、時に雄大な景色を分かち合う。その過程での、お互いの思いの変遷。このゲームは、確かにパートナーとの旅の思い出であった。

しかし、だからこそパートナーとの旅の終わりは寂しいものだ。

導き手を退けた後、覚者とメインポーンの消息は語られないまま、物語は終わる。メインポーンは本来不死ではあるものの、世界の理が変わった以上、その前提が崩れているかもしれない。意志が生まれたのならお前の人生これからやないか、と突っ込みたかったものだが。
最後までパートナーであり、そして虚無から生まれた存在であるにもかかわらず意志が芽生えたメインポーンとの別れには、名残惜しさがあった。

エンディングを見終わり、心にぽっかりと穴が空いたような感覚のまま2周目を始めた。2周目はメインポーンのデザインを大胆に変えて、お笑いに走ろうかなと密かに思っていたが、止めた。1周目と同じ名前、デザイン、性格のままにすると決めて、宿営地のリムストーンで同じメインポーンを呼び出した。

©CAPCOM

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