ヒッチハイクで旅する学生に知っておいてほしいたった1つのこと。

2月、3月になると高速道路のSA・PAで春休みに突入した学生さんがヒッチハイクする姿をよく見かけます。私も過去にヒッチハイクで旅行する学生さんを2回乗せたことがあります。その時の経験を踏まえて「乗せる側」から見た「ヒッチハイクで旅する学生さん」に知っておいてほしいことをお伝えします。

1.【結論】基本的にヒッチハイクは喜ばれません

あっ、待って!戻るボタン押して閉じようとしないで!

分かってる。君たちが一瞬「むっ!」って思ったのは。

冒頭に「2回学生さんを乗せたことがある」と書いた通り、個人的にはヒッチハイク旅は積極的には推奨しないまでも学生旅の1つの形としてアリかな。と思ってるのね。むしろこんなオッサンでも学生達の思い出の1ページとなるのであれば協力しようじゃないの!と思ってるくらい。

でもね。これが私がお伝えしたいたった1つの事。これをちゃんと理解してくれる人なら(少なくとも私は)「乗せてあげても良いかな」って思うわけさ。だから、ヒッチハイク旅の成功率を上げる秘訣と思って読んでくれればうれしい。

2.【前提知識】あなたがヒッチハイクで旅に出ようと思った理由何ですか?

皆さんがヒッチハイクで旅に出ようと思った理由は何ですか?

・コミュニケーション力を磨きたいと思ったから
・人脈を広げたいと思ったから
・就職活動のネタにしたいから
・旅費を抑えて旅行したいと思ったから

などなど、いろいろあると思いますが、一つ共通して言えることがあります。

「その理由、全部自己中心的ではありませんか?」

少なくともヒッチハイクする学生さんに「なんでヒッチハイクで旅をしようと思ったの?」と聞いたときに

「母が『息子がヒッチハイクで旅をしないと死ぬ病気』なので母を助けるためにヒッチハイクで旅をしています」

という理由は今のところ聞いたことがありません。

旅をしたいのであればバイトで旅費稼ぐなり、親に借りるなり、誰かに連れてってもらうなりすればいいのです。
しかし、あなたはそういった過程をすっ飛ばして(もしくはそれらを検討したうえで)「ヒッチハイクで旅をする」という選択肢を選んだ。

意識していたか、していないかはわかりませんが、ヒッチハイクで旅をするというのは実は利己的(悪く言えばけっこうワガママ)であるってことを前提知識として知っておいていただきたいです。

3.【次章から本編です】あなたの覚悟の話

それでも、皆さんは何かの目的を達成するためにヒッチハイクで旅をしようと考えた。そして出発した。出発にあたっては何度も断られても頑張って目的地に到着するために頭を下げてでも頑張ろう!と少なからず覚悟を決めたはずです。

その熱意に打たれたのか。はたまた暇つぶしか。ついに乗せてくれる人が現れた!

でも、覚悟していたのはあなただけではないようです。

4.【乗せる側から見た】ヒッチハイク学生を乗せるという覚悟

ヒッチハイク旅をする学生さんを乗せるというのは実は結構覚悟がいるものです。ここではヒッチハイク旅をする学生を乗せる際に私がした3つの覚悟を紹介します。

・あなたの命を預かる覚悟
乗っていた車が事故を起こしたら?
あなたがケガをしたら?
もしあなたを死なせてしまったら?
自分のハンドル操作一つで。ブレーキ操作一つで。
あなたの未来を奪ってしまうとしたら?
考えすぎでしょうか?

・あなたの事を信じる覚悟
治安のよい日本とは言え、タクシー強盗をはじめ車内という密室で良からぬことを働こうという人は少なからずいます。
数秒前に会ったあなたの事を私は何も知りません。
もしかしたら、あなたは私の事を襲おうとしているのかもしれません。
それでも私はあなたの事を私と同じ善良な市民であると信じます。

・あなたの旅に付き合う覚悟
あなたの旅に付き合うために私は私の私財を投げうっています。
私財には金銭だけではなく時間も含みます。
もしあなたがトイレに行かせてくださいとお願いをすれば、私は私の時間とお金を使って車をトイレに向かわせます。
でも、それでいいのです。だって私はあなたを乗せると決めた時からその覚悟を決めていましたから。

5.【だからこそお願い】乗せる側の人からのお願い

これは言い換えると私がヒッチハイク学生を乗せるときの条件です(乗せる側になる方も参考にしていただける部分があると思います)。

(1)私はあなたを知りません。だからあなたの身分を教えてください。
私がヒッチハイクの学生を乗せる際は必ず「身分証+学生証」をスマホで撮影させてもらう事に同意してもらった上で乗ってもらいます。そして一大人としてもし家出や非行などの可能性を感じた場合は撮影した内容を基に公的機関に通報等を行うこともあります。
(当然ながら、撮影した画像については降車の際に一緒に確認の上、削除しています)。

(2)車内は私がルールです。従わなければ降ろします。
友達の家にお邪魔したとき。必ずその家のルールに従いますよね。車内も同じです。ドライバーの指示に必ず従ってください。

(3)あなたはお客様ではありません。
こちらの好意としてエアコンやラジオの状態をあなたに最適化したり、適宜トイレの状態を聞いたりしますが、あなたはお客様ではありません。できる限りの協力はしますが、あなたの要望はすべて受け入れられないことを理解してください。

(4)乗せてもらった「善意」に対する「正当な対価」を支払ってください。
個人的に「善意」に対する「正当な対価」は「気遣い」と思っています。
「気遣い」は時価であり、その時々によって支払方法や価値が異なります。一例として、私の場合、学生さんの話を聞くのが好きなので、道中、今後の旅の計画や大学で勉強している事を話すなどして、私の知見を広げ、また知的好奇心を満たしてくれることが「気遣い」であり「正当な対価」であると考えています。
(ちなみにヒッチハイクで乗せた方に対して「金銭」という形での「気遣い」を要求したことはありませんし、これからもないと思います)
※重要なのは「気遣い」が時価であることです。ドライバーによっては「気遣い」の支払い方法や価値が交通費やガソリン代だったりするので、その辺はよく確認しましょう。

(5)仕事の時はいかなる場合でも乗せません。
どんなに気分が良い時でも仕事中は断ります。
そもそも全く関係ない人を業務車両に乗せるのが基本NGですし…。
それに業務中は職業ドライバーだろうと出張中の営業マンだろうとプロ(ここでは「業務としてお金をもらって何らかの理由で運転をしている」という意味)のドライバーです。逆に言えば業務に関係ないことはしてはいけないのです…ヒッチハイクで運行中の高速バス見かけても、それに乗せてくれって言う人はいないでしょ?
※私が以前乗せた学生さんで「トラックの運転手さんに声かけたがなかなか上手く行かなかった」と言ってた方がいましたがそういうことですよ。

(6)複数人での場合は乗せません。
自身の身を守るためです。大人数で囲われたら太刀打ちできないですから。

(7)自分と異なる性別の方は乗せません。
私は男性ですので女性の方はよっぽどの理由(例えば、夜中2時に山奥に一人で居て明らかに危ない等)がない限り乗せません。トラブル防止のためにも。


※ここに書いた内容は、同時にそのままヒッチハイクを行う学生さんにとってはリスクになる可能性も包含していることに注目してください。
例えば(1)私はあなたを知りません。だからあなたの身分を教えてください。については悪い人が悪用すれば学生さんの身分情報をインターネット上などにばら撒かれる可能性もあります。

6.【最後に】

冒頭でお伝えしました通り、個人的には学生さんのヒッチハイク旅についてそこまで否定的ではありません。でも、大学生活の思い出にとか軽い気持ちでヒッチハイク旅をしようかな?と思っている人はぜひ、この内容も頭の片隅に置いておいてほしいと思います。

ここまで書きましたが、はやり、旅は道連れ、世は情け。

道中、僅かな時間でも同じ車内で過ごしたあなたには、
今回の旅が素敵な思い出となることを心から祈っております。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?