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残影と残響 —Ghost&Reverberation

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ベラゴアルドの記憶と追憶。或いはその残り香、残影と残響。 だいたい一話完結の短編。
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#小説

ただ鐘は鳴る

 レムグレイド大陸中心部、王都からレム・オル山脈を越えて南に進めば、聖鈴都市アルトルが見…

込めたるは祈りにあらず

ハースハートン大陸南、 ポランカの街から続く山脈沿い、 西の峰の麓にスミッチ村は位置する …

込めたるは祈りにあらず |二|

咒婆の躾  ある朝、最年少のヒケアがいなくなった。ヒケアは足が魚のヒレのように変形してい…

込めたるは祈りにあらず |三|

些細な供物  レモロは懸命に働く。少しでも信頼を勝ち取ろうと躍起になる。働きぶりが認めら…

込めたるは祈りにあらず |四|

嵐の訪れ  その日もレモロは野良仕事を終え、孤児院へ戻る畦道を歩く。近頃のイーゴーの背中…

込めたるは祈りにあらず |五|

宴  振動と衝撃がレモロに覚醒を促す。  はじめは誰か、何かの叫び声をぼんやりと聞いてい…

込めたるは祈りにあらず |六|

粛清  怪物は立ち上がり、両腕を広げる。ドレスは破れ、肥大した肉体が露出する。緑色の二の腕から肉腫が迫り出し、血管だらけの翼膜が広がる。 「イィィィィィィ!!」全身で叫び、威嚇する。  威嚇には様々な動機が伴う。この場合は逃亡の前提行動。つまりその場から飛び去ろうとしている。飛び去り、森へ隠れようと目論んでいる。迫り来る鈍色の塊、嵐に乗じてやってくる驚異。モニーンには見えている。見えていて打ち負かすことは不可能であると、悟っている。迫るは鍛え上げた肉体を持つ戦士。纏う鋼

込めたるは祈りにあらず |七|

幕間の憤懣 「ちくしょうめ」  アギレラは二度目の悪態を吐く。最期にかち割った怪物の頭蓋…

込めたるは祈りにあらず |八|

生き残り  ジャポが行う地母神教の弔いを待ち、準備が整い次第、アギレラは部屋に落ちていた…

込めたるは祈りにあらず |九|

判断  アギレラは眠り続けるレモロを抱いて山脈を登り、見晴らしの良い平地で野営を張る。 …

込めたるは祈りにあらず |十|

日暮れを待たず  レモロを連れ、アギレラは山脈を越える。念のためポランカも避け、人影が見…

込めたるは祈りにあらず |十一|

街道にて  街道を進むにつれ風向きが変わる。草木や土の匂いとは別で、前にも感じた妙な生臭…

込めたるは祈りにあらず |終話|

別たれる辻  距離を詰めず、互いは静かに対峙する。  おびき寄せられたという時点で不利、…