竜の仔の物語 −第五章|二節|−ラームの攻防
竜の仔の物語 −第五章|二節|−
ラームの攻防
−その1−戦い前日
少し時間は戻り、ソリトア奪還から数日前。
ラームから北の街道を外れ、崖下に波頭の望める場所にミルマが立つ。彼女は海に向かい、ひたすらに奇妙な形状をした笛を吹いている。ストライダ特製のその笛からは何の音もせず、特殊な音波が海の魔物エギドナを呼び寄せるのだ。
「こんな作戦、師匠はどうして考えつくのだろう。」
やがて、東の海から歌声のような高音が聞こえ、トビウオのように海面から飛び出す群れが見えると