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「ウェブディレクション」を考える

「ウェブディレクション」を取り巻く課題

ウェブディレクションに関する書籍は数あるが、IPAのSEC BOOKS共通フレームワーク2013をベースにすると、そのほとんどが、プロジェクトプロセス、テクニカルプロセスおよび、その中に含まれる開発保守の視点を中心に書かれている。

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参考:https://www.ipa.go.jp/files/000027415.pdf

想定する「ウェブディレクター」に期待される業務が主にその点が中心になるためであるが、プロジェクトの失敗の原因を探ると、実は超上流のプロジェクト立ち上げに関わる部分である場合が多い。

一方で、IPAのフレームワークは、いわゆる「ITサービスデザイン」という視点がなく、人月いくらで金融やERPなどのシステム開発に携わるようなプロジェクトマネージャー向けにまとめられていることもあり、デザイン畑からITをやりたい初学者にはハードルが高い。

「ウェブディレクション」の上流工程でコケる


合意プロセスや更に上流の工程については、エンタープライズセールスやコンサルタント、プランナーといった職種の出番となるのだが、そのレイヤーになってくると、MBA的なフレームワークや、現場のカンや経験などよりコンセプチュアルなスキルが求められるようになる。

このあたりはIPAのフレームワークだけでは補いきれないスキルとなってくるため、学習する側もより、幅広く知識を得る場を探索していかなければならないのが実情だ。そして、IPAやPMBOKのフレームワークとこうした超上流プロセスを紐付ける良書もないのが現状であるといって良い。

上流工程でボタンをかけちがったプロジェクトの現場で、「ウェブディレクション」に携わるディレクターたちは疲弊している。

「ウェブディレクション」への要求事項の拡大

また、御存知の通り、ウェブというテクノロジーがいわゆるユーザーとUIとの接合部分だけ考えればいいという単純なテクノロジーではない。ネットワーク、サーバや、数多くのプログラミング言語やその特性など、カバーする領域が非常に広い。「クラウド化」という言葉に代表される様々なオンプレシステムのウェブへのリプレイスなど、世の中からウェブテクノロジーに期待されることは拡大の一途といって良い。

「『ウェブ』の仕組みなんだから、『ウェブディレクション』でプロジェクトを取り回せるよね」と会社から期待されるウェブディレクターは大変である。

組織や業界として取り組む課題

組織として、SEC BOOKS共通フレームワーク2013にあるような「組織のイネーブリングプロセス」「支援プロセス」など、インフラやリソース、またプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)などのプロジェクト横断のマネジメントに取り組むことはもちろんのこと、業界として、超上流のITビジネスプランニングやエンタープライズセールスのようなスキルセットの開発も必要だ。


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