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リモートワーク経営の20年選手Basecamp社に学ぶ「リモートワーク時代」の働き方

みなさん、リモートワークしてますか?

すでに自粛要請解除になって通常の出勤シフトに変わっている方も、まだまだリモートワークを続けているところもあるかと思いますが、弊社では、感染拡大防止と生産性向上の2つの観点から、従業員の約3分の2をリモートワークにして営業を続けています。

創業当初からリモートワークでドライブするBasecamp社

Basecampという会社をご存知でしょうか。アメリカ合衆国イリノイ州シカゴに本社を置く非上場企業で、basecampなどのプロジェクト管理ツールを運営している会社です。
創業当初からリモートワークを事業の中心に据えており、そのワークスタイルが一時期話題になりました。

Basecampの創業者ジェイソン・フリードが語るワークスタイル論

創業者メンバーの一人であるジェイソン・フリードが2010年10月のTEDで、職場の機能そのものに疑問を投げかけ、具体的で新しいワークスタイルを提案しています。その中で彼は、


・ 職場には強制的に仕事を妨害する機能が備わっている
・ 特にマネージャーとの唐突なミーティング(M&Ms)が仕事の妨害になる
・ 家での仕事には、心地よいソファや冷蔵庫など誘惑も多いが、これらは自身で制御できるものだ
・ 仕事に集中できる環境を整えるために、声をかけない時間を作ろう、メールやチャットを利用しよう、惰性のミーティングのキャンセルを行おう

といったことを主張しています。
10年前の講演なのに、指摘されている問題がまだまだ「あるある」のような気がしてなりません。

2014年に日本で出版されたリモートワークの実務書

ジェイソン・フリードが執筆したリモートワークの実務書「強いチームはオフィスを捨てる」という本があります。

日本で出版されたのは2014年なので、今から6年ほど前なのですが、内容といえば、今年になって急にリモートワークになって翻弄されている皆さんには是非読んでいただきたい内容になっています。

改めて読み返してみて、「これは今でも使えるな」というものを、アレンジを加えつつまとめてみようと思います。

個人でリモートワークする

朝、仕事を始める前に1日の仕事量を決め、終わった後に振り返る。量を調整し続ける。

職場で仕事をしているときでもやれている人はやれていると思いますが、もしこの習慣がないままリモートワークを始めている人は、今日からでもすぐに取り組む価値のある習慣です。

始めてみてわかるのは、詰め込み過ぎてほとんど予定した仕事量をこなせないまま1日が終わることが多いことです。差し込みももちろんあるでしょうが、「予定通り仕事をこなす」ことがリモートワーカーにとっていかに精神衛生上重要かということかと思います。

ドラッカーもこの主張はしており、この習慣を「2年間は続けよ」というくらいなので、どれだけ重要なことかはわかると思います。

リモートワークの環境を整備する

体型に合わないデスクと椅子で仕事を続けると、数時間で痛みがやってきます。そういった什器や、集中できて風通しのいい部屋、必要なものにすぐに手に届くキャビネットは、生産性を維持・向上させるためにも必要です。急にリモートワークが始まった人も多いかと思いますが、自宅で心地よいワーク環境を整備することはとても重要かと思います。

意識的に歩く、体を動かす

自宅で仕事をすると、びっくりするくらい歩きません。数日続ければ驚くほど、体が弱ります。うちの会社の仲間に聞いてみても、「毎朝家の周辺を歩いて『通勤ごっこ』しています」という声があったので、これはいいアイデアだと思いました。僕の場合は、筋トレの回数を増やし、エレベーターは使わないようにしています。

雑談の場を作る

ジェイソン・フリードによると、「雑談ができるチャットルーム」の必要性を唱えています。チャットを導入している会社で、雑談用のチャンネルがないところは無いかと(勝手に)思っていますが、無いよりは合ったほうがいいですね。

会社によってはDiscordを繋ぎっぱなしにするなどもあるので、これはいいアイデアだなと。もしあなたがマネージャーなら、雑談に返信するくらいの気持ちの余裕があれば、文字を通して「いい雰囲気」が伝わるのではないかなと思います。

文章力を身につける

課題を正しく設定する、誤解のないように伝えるには間違いなく文章力が必要です。依頼内容が具体的である、論理的である、平易な言葉を使う、ネガティブな言葉は使わないなど、「多過ぎるQ&Aのやり取り」がなくても伝わる書き方はリモートワーカーにとっては必須のスキルかと思います。

チームでリモートワークする

情報を封じ込めない

「オフィスにしかその情報がない」ということは極力避ける。セキュリティ上難しい機密情報などは当然あるかと思いますが、同僚のタスクや予定、ナレッジベースなどは極力オンラインで共有し、取得できるようにしておくことが必要です。これは意識してコントロールしないとすぐに「封じ込め」られてしまうので、チーム全体で取り組む雰囲気を醸成することが大切です。

物理的な書籍はオンライン上では無理なので、オフィスを図書館化して、リモート社員に立ち寄ってもらって貸し出すなども良いかも知れません。

ミーティングを減らす

「会議嫌い」ジェイソン・フリードもミーティングがマネジメントに必要なことは認めていますが、ミーティング自体の取り扱いには「料理の塩のように」細心の注意をせよと戒めています。

例えば、これまで惰性で「30分単位」で時間を割り当てていた会議を「5分単位」にしてみるのはどうでしょうか。またテキスト情報で共有できる部分についてはできる限り事前に参加メンバーに撒いておく、アジェンダのない会議招集にはファシリテーターに事前に逐次指摘を行う、自らアジェンダを準備しておくなどの配慮は必要かと思います。

進捗報告を行う(進捗報告を行う場を作る)

「会議嫌い」なジェイソン・フリードには珍しい進捗報告の重要性について書かれた章があったので驚きました。人のパフォーマンスを知る、自身のパフォーマンスを知ってもらうことが、リモートワーク時代の仕事の進め方でいかに重要かということかと思います。頻度や会議体は会社ごとにベストプラクティスがあるかと思いますが、弊社の場合は、毎朝のタスク予定報告、週1回の進捗報告の場を設けています。

画面共有をうまく使う

「同じ画面を見て話す」のが認識合わせに最適なことは、テレカンが当たり前になった今の時代では容易に共感いただけると思います。意識せずに画面共有を使うようになっていますが、「ここは意識合わせしなければ」という部分については、積極的に画面共有を使っていきたいですね。

念入りに嫌な言葉、感情的な対立、悪いムードを取り除くよう努力する

リモートワーク時代の企業文化の醸成、というのは喫緊の課題になっているかと思いますが、ジェイソン・フリードはすでにこの点についても非常に具体的な方法に取り組んでいました。

ネガティブワードを「念入りに」取り除く、と書いてあるところが重要です。マネージャー自身も敏感になって、そういった言葉を逐次指摘し、「肯定ファースト」で取り組んでいく必要があるかと思います。Slackのカスタム絵文字は是非積極的に使いたいですね。

1on1を行う

これはマネージャーには是非取り組むべき内容かと思います。職場で働いているときは顔の表情や声のトーンから察するということができましたが、リモートワークだとそうは行きません。マネージャーのスタイルによっては、直接席に行き「最近どう?」みたいな会話をすることが得意な人もいるかも知れませんが、これはやり方を変える時が来ていると思います。

ジェイソン・フリードによると、月1回くらい、計画的に予定をおさえ、1on1でオンラインミーティングを行う方法を推奨しています。こうなってくると、マネージャーにとっては、コーチングスキルは益々重要になってくると思います。

リモートワーカーを採用する

人柄の良さをより一層重視する

仕事をできるのは当たり前として、人柄の良さについては、採用責任者が直接会って肌で感じることが必要です。

堅苦しい「面接」ではなく、社員にも何名か参加してもらい、ランチをしながら雑談をして、「好きになれるかどうか」を判断します。ランチミーティング後は、社員に残ってもらい、態度や振る舞いについての印象を聞くなどを行います。地理的に遠く直接会うなどが難しければオンラインで雑談の場を設けることも良いかも知れません。

結局こういうことを通してやりたいことは「信頼できる人を雇う」ことなのではないかと思います。

リモートワーク時代の経営とは

「強いチームはオフィスを捨てる」では、上記に挙げた点以外にも興味深い論点がいくつもありますので、興味を持たれた方は是非読んでいただきたいと思います。まとめると下記のような論点になるかと思います。

・監視ではなく、自律を目指す
・成果主義だが、人柄は重視する
・官僚的手続きは排除するが、人的繋がりは丁寧にメンテナンスする

ウィズコロナ時代、サバイブできる人材になるために、自身もどんどんアップデートする必要があると思います。

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