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出産翌日、人生最悪の日(双子妊娠ストーリーNo.31)

夜22時近くに出産し、翌日4時ごろに自室にもどった私。
その日はまさに人生最悪の日、思い出すだけで白髪が増えそうな日を経験しました。

「満身創痍」「疲労困憊」

全く無縁だったこれらの四文字熟語を体感することとなったのです。

私の状態を赤裸々に書きます。でもこれから帝王切開される皆さん、どうか怖がらないでください!日にちが経過すれば確実によくなりますし辛い経験も後から振り返ればよい思い出、のはずです。


●体が動かない
朝9時に担当助産師さんがやってきて「さぁ、起きてみましょう!」と言うのですが、「さて一体どう起きたらよいのやら?」というくらい体が全く動きません。

疲労と傷の痛みやひきつりで全く動けず、ベッド柵にしがみつきながら10分くらいかけて何とか上体を起こしました。でも今度は脚をベッドの下におろせない。脚を動かすのも腹筋を使いますがお腹を縦10センチほど切っているので腹筋なんか働くはずもなく。仕方なく自分の手で脚をもって1本ずつ下すのにさらに5分かかりました。

ようやく座ったものの姿勢をまっすぐすることはできず腰が曲がった状態で立ち上げることなんて無理。でも助産師さんがトイレに一人で行ってみましょう、それができたら赤ちゃんに会いに行けるからというので何とか力を振り絞って立ち上がろうと頑張りました。でも産後の疲労と高血圧で立ち眩みがして立ったままでいることもできず断念。ベッドでしばらく横になることに。横になるにも体が思うように動かず、体勢が落ち着くまでにさらに10分くらいかかったのは言うまでもありません。

午後もう一度立ち上がる練習をして、点滴台にしがみつきながら何とかトイレに行くことができました。偶然私の部屋がトイレの目の前という好立地にあり、ボロボロのカラダにはトイレの入り口がまるで極楽の入り口のようにキラキラ見えたものです。

産後翌日からリハビリをしましょう!というのは常識ですが、私の場合出産は前日22時なのでまだ12時間も経っておらず、また1ヶ月以上も入院生活が続き筋力も落ちているのですぐに動けないのは当然と言えば当然。あまりの憔悴ぶりでその日は赤ちゃんに会いに行くのはやめました。とっても会いに行きたかったけれど、今の自分には無理とあきらめがつくくらい疲れ切っていました。


●手も動かない、声もでない、他の人の大きな声にも疲れる

体だけではなく、手も動かない、声もでない。疲労困憊になると人ってこうなるのかーーと我ながら感心するくらいでした。

容体を心配した夫が幾度もライン電話が来ましたが、枕元にあるスマホをとる元気もない。5回目くらいの着信でようやくとったものの声も出ない。
「あ、うん。疲れた、大丈夫。」くらいしか言えませんでした。両家両親は完全にお祭りモードで、ラインのグループチャットでバンバンメッセージが飛び交っているのは通知でわかったのですが私は一切参加できず。

元気そのもの!!という助産師さんがなかにはいらして、いつも明るくはきはきと仕事をされているのですが、その方の声がまるで拡声器から出てくる声のように大きくてこの日はちょっと辛かったです。相手の状態に応じてこちらの接し方も変えるって大事なんだなぁと実感しました。

なお、私の憔悴ぶりはすごかったようで、看護記録に
「母、疲労」
と書かれていたことが後日わかりました。


●点滴が痛い
手術前に点滴ルートを確保するのですが、私はどうもこれが苦手です。内出血をおこしたり、点滴を再開するときに通りをよくするために流す生理食塩水が入った途端激痛が走ったり。

点滴での痛み止めは産後1日が終わるまで。その後は痛みに応じて点滴か飲み薬か判断するとのことだったので私はなんとか1日耐えきろうと、「あと少しでおわる―――」と1滴1滴落ちていく点滴をと数えるかのように眺めていました。新たに注射を打ちなおしてルートを確保するのも嫌なので我慢してしまいましたが、本当に辛かったら遠慮せず助産師さんに相談するとよいでしょう。


●初乳を搾り取られる

勢いよく部屋に入ってきた若く使命感を強く持った担当助産師さん。

「初乳は赤ちゃんの成長にとって大事なんです!なので私絞ります!」

と言いながら、満身創痍で自動で上体を起こしてもなお眠り続ける私の胸から、一滴一滴一生懸命初乳を絞ってくれました。計1ミリリットルくらいしか取れませんでしたが、それでも十分だそうです。赤ちゃんのために頑張ってくれた彼女の必死の形相とプロフェッショナルとしての姿勢は忘れません。それにしても、ぐったりしながら横たわる患者の乳を搾り取る助産師さん、というシュールな絵は今でも思い返すと笑えます。


●体も自分で拭けないし着替えもできない

全く動けないので助産師さんに手伝ってもらいました。悪露を吸収したパットやお尻にも手が届かないので、いわゆる「下の世話」まで助けてもらいました。1回ベッドのシーツを汚してしまいましたが、私がトイレに立っているときに清掃担当の方を呼んで何事もなかったかのようにきれいなシーツに交換してくださいました。産後のカラダに負担をかけない、申し訳ないという思いをさせない、という配慮がひしひしと感じられて心が温まりました。


●ご飯はおかゆ、ビーフシチューが食べたかった
普通、手術翌日朝のご飯は回復食でおかゆ、昼ご飯からは通常通りだそうです。でも私の場合手術が夜間だったため、翌日朝はごはんなし、昼がおかゆ、夜から通常通りでした。献立表によればその日の昼はビーフシチューにケーキ。食べたかったです。

産後どれだけ体が動かなくなるのかリアルな体験はあまり事前に聞くことはないので私の様子を包み隠さずお伝えしました。これから帝王切開をされる方、どうか必要以上に怖がらないでくださいね。必ず大変な状況は終わりますし日に日に回復しますから!



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