R.I.P.

どこぞで召された言葉の亡骸。

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残響

こんな月夜に君を知る  見向きもされぬ歌の主 見ているだけで嫌になる  認められない無意味さよ 目の前に立った僕を見て 猜疑、含羞、泡沫の 希望で滲む、その瞳 哀れに思って施して  小銭をチャリンと投げ入れる 間違えるなよ、その金は  お前の歌への対価じゃない 月の形が戻りきり  君の声など忘れ去り 奏でた音はとうに消え  顔も貌も浮かばない 飽きたのならば情けなく 死んだのならば骨がある 胸に残るは一抹の  寂しさだって認めよう 君の歌声、好きだった  ついぞ伝えは

    • 証明写真

      なけなしの金と引き換えに  整えられた黒い髪 幼い夢はゴミ箱に 首にはタイを固く巻き ブーツの丈は切り刻み 別にいらないパンと水 ただその為に部屋を出て レンズの前で愛想笑い 直視できない自画像を 幾度も幾度、撮り直し 妥協の果てに見た顔は 投げた金貨と釣り合わず それでもそれを握り締め 鋳型の中に入るべく 誰も知らない夜の隅 僕の全てを土に埋め 「覚えておいて、僕のこと」 名も無い墓標のその下を