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パルデア地方におけるオコリザル統一の変化

この記事は「種族統一アドベントカレンダー2022」18日目の記事です。
もしも「種族統一とはなんぞや」という人がここを読んでいるなら、まずは下記の6日目/11日目あたりを、また種族統一というフォーマットの沿革についてが分かる14日目あたりを先に読むことをオススメします。

※この記事は『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(以下SV)のネタバレを大いに含みます。さすがにもう大丈夫でしょ

1.はじめに

この記事は、オコリザルが行えることを書き出すことによって、オコリザルによる種族統一パーティの可能性を探ることが目的の記事である。
また、それにより「オコリザル統一の可能性」を知らしめることができれば幸いである。

はじめに、オコリザルの概略を……

………ここまで、「1.はじめに」の文章は以下の2年前の種族統一アドベントカレンダーへ寄せた記事の丸々コピペである。

歴史の話なので当然ではあるが、同じ文章で嵩を増しても仕方ないので、第7世代までのオコリザルについては上記の記事を参照されたい。
以下からはそれより後、具体的には第8世代でどうであったかについて記述していく。

第8世代、すなわちソード・シールド(以下剣盾)環境においてはまさかの完全リストラの憂き目に合うことに。(そのため、前述の2年前の記事は「もし剣盾にオコリザルがいたなら」を形にした妄想記事でしかない)
低耐久を補ったり、とくせい「まけんき」が活かせたりしそうだったダイマックスの環境を一切経験することなくその世代を通り過ぎてしまったのである。
一応第8世代としてはブリリアントダイヤモンド・シャイニングパール(以下BDSP)もあったような気がするが、剣盾にもSVにもいないポケモンをどうしても使いたい場合を除いては、あのゲームは種族統一における対戦ツールとして見た場合は覚えられないわざがあまりにも多く、また登場するポケモンも第4世代までのポケモンにどうしても限られてしまうゆえに、総合して役割持てないゴミであるため考慮しないものとする。
もしも、どうしてもBDSPにおけるオコリザルのことが気になる好事家がいらっしゃるのであれば、ちょうど1年前ほどに殴り書いた以下の記事を参照されたい。

記事の紹介
上記の記事より。突然キレる患者

そうしてたどり着いた第9世代はパルデアの地、オコリザルにおいてもあまねく変化を果たしているためそれらを次の項にて紹介していく。

2.SVにおけるオコリザル周辺の変更点

以降、種族値や個体値の略称などは広く使われる表現(HABCDS、Vなど)に準拠する。

◆とくせい

まけんき習得者の顔ぶれはほとんど変わらないものの、新たにキリキザンから続く形でドドゲザンが所持者となった。
あちらはタイプの優秀さや同じ物理アタッカーであることなどで難儀な比較対象となるが、ドドゲザンはかつて「とくしゅ」として分類されていた8つのタイプ(くさ/ほのお/みず/でんき/こおり/ドラゴン/エスパー/あく)の物理わざのうち、あく以外を一切覚えないため、オコリザルが持ち得る多彩なサブウェポンはやはり重要な差別化ポイントとなるだろう。具体的には、上記8タイプのうちエスパータイプ以外はすべて物理わざを習得できる。
またドドゲザンはタイプ一致わざの威力が低いため、指数面ではこうげきの数値ほどの差はついていない側面もある。

やるきの所持者もまた特に変わっておらず、また取り立てて差別化を意識するべきポケモンもいないと言えそうである。
またSVにはキノガッサが舞い戻ってきたため、やるきによるねむり無効が活きるシチュエーションはかつてより増えた可能性は高い。
同効果の特性であるふみんについても触れると、こちらは新たにワナイダースコヴィランが所持者となっている。
どちらも他に特徴的なとくせいを持っており、スコヴィランについてはそもそもくさタイプゆえに粉のわざを受けないため、やはりオコリザルを含めた三者三様の特徴が出せるものであると判断できそうである。

いかりのつぼについては、やはりどうしてもシングルでは扱いづらい特性であるためここで多くは触れないものの、ケンタロス(パルデアのすがた)も3種類揃っていかりのつぼを所持しており、またよりによって同じかくとうタイプであることが非常にネックではある。
種族値もC以外はすべて同じ(D)かより高い(HABS)ため、その点においてもまたオコリザルをいかりのつぼで使うメリットがあるのかを考えさせられてしまう。
もしもこのとくせいを選ぶのであれば、「アンコール」や「ちょうはつ」といった搦め手や、また相当な差がある特殊わざラインナップでうまく差別化を図るほかない。カントーケンタロスはたくさん特殊わざを覚えるのにどうして……

◆わざ

意外といろいろもらえており、中には重要なわざも存在する。
他方でやはり失ってしまったわざは少なくない。BDSPでの惨状にくらべれば遥かに遥かにマシだけど

○新たに習得したわざ

ふんどのこぶし
ここにきてまさかの専用わざである。いえーいパルデア最高~~!!
後述するシャドークローとは二者択一の関係であり一長一短であるため、使用する型によって使い分けたいところ。
こちらは耐久に振った型でないと本来のポテンシャルは活かしづらいものの、その威力上昇の幅は+50ずつと破格であるため、これまで手も足も出なかった耐久型ゴーストタイプ相手への光明となる可能性が出てきている。

シャドークロー
なんともう一つゴーストわざを得てしまった。パルデア最高~~!!
こちらは既に所持している「つじぎり」のゴースト版であり(初出はともに第4世代だし正確には「きりさく」の別タイプ版だが)、かくとうタイプが所持すべきサブウェポンタイプとしてはゴースト>>>あくとなりがちであるため、非常によく似た範囲のわざながらこの習得は非常に、非常に大きいと言わざるを得ない。
こちらは元の威力で「ふんどのこぶし」に勝り、また従来からあった急所狙い型での採用も見込めるため、ゴーストわざとしては両者の使い分けが重要といえる優秀な新規習得わざである。

ドレインパンチ
かつてナゲツケサルとの違いを語る際に、あっちはこのわざがあっていいよな……というようなことを書いた記憶があるが、SVでは遂に覚えてしまった物理格闘版「ギガドレイン」。

基本的には「インファイト」をぶち込むポケモンではあるものの、たとえば削れたHPを回復させてきあいのタスキの発動条件を再度満たすとか、またたとえば「ビルドアップ」と併用して往年のローブシンの真似をしてみるとか、ととにかくその可能性はとても広がっている。

こわいかお
ゲーフリはオコリザルの顔がブースターよりも怖くないと考えているのでは?というネタ疑惑があったものの、SVになって遂に習得。
実はオコリザルはS操作があまり得意ではないポケモンであり、これまでは相手の1段階ダウンが限界(「ローキック」「じならし」「がんせきふうじ」のみ)だったため考察の価値はある。

ステルスロック
正直目を疑った、まさかの設置わざ。
比較的すばやさの高いオコリザルであれば「先発してとりあえず撒いていく」という動きとは合致する方であり、またあまりにもイメージとそぐわないため(主観)いわゆる「意表をつける」可能性も秘めたわざ。
ちなみに他の猿ポケモンでは、ゴウカザルが第4世代初出時から覚えるためそれが今回の布石だった可能性はなくはない。

テラバースト
SVというゲームの目玉とも言えそうなわざ。
詳しくは「4.オコリザルとテラスタル」の項で触れたい。

○過去作限定だったがSVだけでも習得できるようになったわざ

のしかかり
剣盾にいなかったポケモンのため、初代または第3世代以来の復活。
オコリザルが相手をまひ状態にできるわざとしては各種でんきわざがあるものの、物理かつ3割まひは(消滅した「ひみつのちから」を除けば)「のしかかり」のみであるため、耐久に厚く振るタイプであれば活かせる可能性が出てくる。

とっしん
こちらはなんと初代以来の復活。これいる?
先述の「のしかかり」との威力差はたったの5、そして行動不能にこそなるものの「あばれる」を覚えられるオコリザルにとっては使い道は怪しいというほかない。
自傷ダメージを活かした自主退場狙い……という点でも「いのちがけ」でスマートに退場できる上、「いのちがけ」の効かない相手には「とっしん」もまた効かないためとことん怪しさのみが募る。

スピードスター
こちらは初代~第4世代までは覚えることができた必中わざ。
「りんしょう」も「さわぐ」も没収された今、「はかいこうせん」を除けば一番威力の高い特殊ノーマルわざではある。
「つばめがえし」も返してもらっていない今、必中わざとしても唯一といえば唯一なものの、必中が必要な状況というのは大抵の場合は「ちいさくなる」によるものであるため「のしかかり」で大丈夫である可能性が高い。
「つぼをつく」のときは諦めよう。

ゆびをふる
ちッ ちッちッ!
これは ゆびをふる おと だぜ! ▼
もはや説明不要の運ゲーわざ。こちらも初代または第3世代以来の復活。
勝つのを目的とした環境には基本的には不向きなものの、剣盾環境においてもこれ1本で戦う仲間大会が非常にメジャーだったくらいの楽しいわざ
SVにおいては、これまで覚えられなかったポケモンにもなかなか気前よく配布されている。

のろい
唐突なタマゴわざへの追加。第2世代以来ぶりで、当時はわざマシンさえ使えれば誰でも覚えられるわざであった。
オコリザルは既に「ビルドアップ」を覚えるため、「Sを能動的に下げる」という挙動に価値を見出したときに使える可能性が出てくるわざであろう。

(番外編)うらみ
第7世代との比較においては過去作限定わざではないものの(当時は教えわざで覚える)、SVより新たにタマゴわざとして追加されたわざ。上記の「のろい」とは世代が多少違うだけで習得背景が似ているので掲載。
耐久がお世辞にも高いとはいえないオコリザルではあるものの、そのPPを枯らす効果をうまく扱えさえすれば擬似的に相手の厄介なわざを封じる手段ともなり得るため、搦め手が必要となるときに考慮する価値のあるわざである。

なお、パルデアにおいてもやはり先制わざは一つとして覚えられなかった。どうして……

×覚えられなくなったわざ

出会いあれば別れあり、せっかく第7世代で習得したのにSVに持ち込めなかったわざが存在する。BDSP限定わざ?そんなものはない
かつてのオコリザルは物理悪わざが多いことをネタにしていたものの、その多くが覚えられなくなってしまっている。
(以下、第7世代時点で既に過去作限定だったわざは考慮しないものとする)

つけあがる
没収が痛いあくタイプわざその1。
せっかく「ビルドアップ」と相性の良い「ドレインパンチ」を習得したというのに、その後の打点上昇を活かした超威力を発揮するためのわざを一つ失ってしまった。
これでもかつては、第7世代で初めて「つけあがる」を覚えた数少ない系統の一つだったのに!(サン・ムーン当時の自力習得はワルビアルのみ、タマゴわざでメグロコ/マンキー/ヤンチャムが遺伝できたのみ)

じごくづき
没収が痛いあくタイプわざその2。
USUMにおいては教えわざ、剣盾においてはわざレコードとして実装されたために多くの習得者がいたものの、SV環境になることで覚えられなくなったポケモンはオコリザル以外にも多数いるようす。ブラッキーやアブソル、マニューラといった本職あくタイプからも没収されているのがポイントで、SVでは習得できるポケモンがなんとわずか10系統しかいないのであきらめもつくといえばつくものである。
ちなみに過去作限定わざとして見たとき、実はマンキーのままでは覚えられないわざの一つなので注意すべき。

しっぺがえし
没収が痛いあくタイプわざその3……というほどでもない。
具体的には第4世代ごろのオコリザル統一が、当時のわざの仕様と併せてなんとかヨノワールなどの鈍足高耐久ゴーストポケモンを倒すための手段だったりしたもので、仮にSVで使えるままだったとしても複数のゴーストわざを得た今その出番はおそらくなかったことであろう。
かつて、バトレボ時代にオコリザル統一を救った(ことがあったかはだいぶ怪しい)わざに敬礼ッ!

きあいパンチ
過去作限定わざとしては””常連””みたいなわざなので没収もやむなし……と言いたいところだが、実はBW以降のマンキーが遺伝できるタマゴわざだった。同様に当時から遺伝できるクマシュンは今も覚えるのにどうして!なんならキノガッサのレベルわざとして加えたりしたくせにどうして!!
こちらもSVにおいて純粋な使い手が減っている。

アイアンテール
性能を考えたとき、没収が一番痛いまであるわざ。お前あのピカチュウにアイアンテールを教えられるほどのポケモンじゃなかったんか!!?(ポケパークネタ)
これによりにっくきボボ……ミミッキュへの最高打点が奪われてしまった。代わりにゴーストわざを覚えたとはいえ、威力的には辛いことこの上ない。ああまた今世代もあんにゃろうに勝てないのか……
勝とうとするならテラスタル+テラバーストを慎重に切り出さねばならず、またそれは相手も同じことであるためやはり今世代も奴には勝てないのだろう。
以下は過去記事からの引用。(そのためSVとは異なる部分がある)

 たとえば、オコリザル統一がミミッキュ統一に勝つのは不可能です。
オコリザルはゴーストタイプのわざを覚えられないためにアイアンテール以外で弱点を突くことすらできず(そのアイアンテールすら特性のせいでどうあがいても確定2発)、オコリザルをわんぱくHB252(=防御特化)にしてもなおA下降補正ミミッキュの無振りじゃれつくですら高乱数2発(89.45%)、頼みの綱のカウンターも相手はゴーストなので無効、極めつけに相手の方がS種族値が1だけ高い・・とどこまでも完封しやがります。

https://note.com/fledermaus83med/n/nb8779dd4594e

がむしゃら
正直痛手なのは間違いないものの、どうせ先制わざも覚えないしイバンのみも(まだ?)ないので、ないならないなりに戦うしかない。
現代のオコリザルが先制わざを習得しない限りは、このわざが真に輝き出すのは過去作限定わざを持ち込めるようになったときだろう。

どくどく/メロメロ
耐久戦/運ゲーを仕掛けるほうが悪いので是非もないネ!
この調子で「でんじは」をわざごと削除してくれてもよかったのになあ!(怨嗟100%の発言)
既に剣盾において没収ラッシュだった「どくどく」に続き、SVでは「メロメロ」もほぼ同様の凄まじいまでの没収の嵐の様相を示している。
具体的には、現時点のSVにおいて覚えられるのがラブカス/ネオラント/オドリドリ/モスノウのわずか4系統のみという凄まじいまでの断捨離具合である。

その他紹介しないわざ
いびき/つばめがえし/うちおとす/りんしょう/ふるいたてる/ないしょばなし/さわぐ/なりきり/かげぶんしん

×わざごと削除されたわざ

こちらはどうあがいても使用できないわざ。攻略用のわざから手痛い重要なわざまで。

おいうち
第7世代に唐突にレベルわざに追加されたものの、やはりかつて存在したバグの挙動などがあるせいなのか、剣盾からは削除されてしまったわざ。
ただしオコリザルから逃げる超霊はいないため、持っていても思うように活かせるわざではなかったのも事実である。

おしおき
相手の積みわざを見てからそこへけしかけるわざだった。
これは「つけあがる」にも言えることだが、せっかくSVからは相手の能力変化をコピーできる「ものまねハーブ」が登場したというのに、それと相性の良さそうな「おしおき」がわざごとなくなっているのは悲しいものである。
ちなみにこちらのわざも剣盾で削除された。

いかり
こちらも剣盾で削除。
わざの性能としてはわずか威力20のノーマルわざで、しかも上昇する能力はこうげきがたった1段階のみ、しかも相手の攻撃を受ける必要がある……ととにかく難点ばかりあるわざである。
だがしかし、このわざがなくなってしまったことは実はオコリザルにとっては大きな意味がある。
初代のわざマシンを除き、ピカチュウバージョン(以下黄)以降のオコリザルがこのわざを覚えるタイミングは常に「進化と同時」だったのである。
具体的には黄~第6世代までは常にレベル28で覚えるようになっており、またそのレベルはマンキーが進化可能になるレベルである。
第7世代(とピカブイ)では何レベルで進化させようが進化と同時に覚えるようになっており、「進化して『いかり』を覚える」という重要なイベントと言っても差し支えないようなわざだった、といっても過言ではないのだ。
思えば、新たに得た専用わざである「ふんどのこぶし」の仕様はこの「いかり」の仕様と似ており(とりわけ第2世代の仕様とは酷似)、ひょっとするとオコリザルから「怒り」を奪った代償としてこの「憤怒」を与えたのかもしれない。

(余談だが、「憤怒」を「ふんど」と読むのは「怒」の字を漢音読みした読み方であるものの、「憤怒」という語が仏教由来であることを考えれば、本来は呉音読みである「ふんぬ」と読むのが自然であるため、可能なら「ふんぬのこぶし」であってほしかったな……という思いがあるといえばある。
なんなら剣盾から登場したいわゆる「雰囲気証」には「ふんぬのあかし」が存在しており、この点もまた「ふんぬ」でよかったのでは?という疑問に拍車をかけかねないものとなっている。ちなみに現代において「ふんど」読みが間違っているというわけではない)

その他紹介しないもの
からてチョップ/おんがえし/やつあたり/めざめるパワー/ヨガのポーズ/みやぶる/きつけ/リベンジ

最後に、HOME連携前のSVにおけるオコリザルが現状使用できるわざのうち有用なものを抜粋した一覧を添えておく。

SV初期版オコリザル習得わざ

◆どうぐ

オコリザルにとっての三種の神器といえる「きあいのタスキ」「こだわりスカーフ」「こだわりハチマキ」は相変わらず健在であり、SV環境においても引き続き有用に扱うことができる。
また、「ビビリだま」と「まけんき」の相乗効果に期待できる点もそのままである。
剣盾から登場したどうぐの中では「からぶりほけん」の魅力は多少あり、現状過去作限定わざである「ばくれつパンチ」こそないものの、その他の低迷中わざと組み合わせることで「空振ってS上昇」+「どうぐ消失による『アクロバット』威力倍化」or「わざ外しによる『じだんだ』威力倍化」という浪漫コンボのきざはしとなるだろう。

SVから登場した新要素である「テラスタル」については、元々単タイプである以上防御タイプ変更の恩恵のみを受けやすいという点では相性はそこそこだろうと判断できるため、そのテラスタイプをある程度あてにした様々などうぐとのシナジーが考えられる。(詳しくは「4.オコリザルとテラスタル」の項で)

SVから新たに登場したどうぐの中では、「ふんどのこぶし」にも影響がある「パンチグローブ」は有用そうな部類に見えるものの、やはりその倍率が低すぎて上昇の恩恵が薄いため、「パンチわざは非接触になる」という点にどこまで価値を見いだせるかだろう。「きあいパンチ」没収が悔やまれる。
「ものまねハーブ」についてもまた「つけあがる」没収の向かい風があり、また逆にこちらの「まけんき」で上昇したAを同どうぐでコピーされかねない点もやや逆風か。
「おんみつマント」についても、例えば「ムーンフォース」などの確率でCを下げるわざの追加効果も阻害してしまうため「まけんき」の発動機会を奪いかねず、持たせる場合のとくせいに影響を及ぼしそうだ。
「クリアチャーム」に至っては「まけんき」の発動機会をまるごと奪うため最悪の相性であり、これらの新どうぐの恩恵にあやかるにはどうやらほぼ「やるき」での運用一択である可能性すらある。

◆そして、何よりも……

ここまであえて言及を避けてきたものの、聡明な読者ならもはやお分かりのことだろう。

この瞬間、とにかく心臓バッックバクだった

 遂に、コノヨザルという新たな進化系を得てしまったのである。

唐突なゴーストタイプの専用わざ追加、そして「シャドークロー」や「うらみ」「のろい」の習得/再習得はすべてコノヨザルにつながっていたのである。自称オコリザルであるワタシもレベル35を超えたら一皮むけろってことか?
(これは余談だが、コノヨザルは「ふんどざるポケモン」であり、こちらもまた「ふんどのこぶし」同様に「ふんぬ」ではなく「ふんど」となっている。ひょっとすると、進化前までの「ぶたざるポケモン」から連なる語感をイメージして「ぶた」→「ふんど」という比較的音の近い語を選んだ可能性があるのかもしれない。ないかもしれない

第4世代において多くの追加進化が判明したとき、それまでの最終進化形だったポケモンの愛好家の中には、もしかすると今回のワタシと同様の反応をした方もいるかもしれない。

(ちなみに以下はTwitter上で確認できる限りの、ワタシによる最古の「オコリザル進化してくれ」ツイート)

その種族値を比較すると
オコリザル 65-105-60-60-70-95
  ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
コノヨザル 110-115-80-50-90-90
順に+45 +10 +20 -10 +20 -5と変化しており、合計種族値で+80という大幅な強化を受けた。
ところがよく見ると下がっている能力があり、オコリザルが完全下位互換とは言い切れない状態が保たれているのである。(ほぼ下位互換ってのは言わない約束)
具体的には

  • 先制できる範囲が僅かに違うことによる変化技を活かした篭絡

  • 同、オコリザルでも足りるラインの火力で行うすばやさを生かした奇襲

  • 種族統一の醍醐味でもある特殊型における火力(進化しないと覚えないわざは除く)

という点で(本当にかろうじて)独自性がないわけではないのだ。

また皮肉にも、戦術の記事においては「シングルでは活かしづらい」という判断をしたはずのいかりのつぼが進化とともにせいしんりょくに変わるため、進化とともに有効になったしんかのきせきとともにその特性の違いを活かす方向性が新たに見出されたといえる。
……なお、防御特化オコリザル@しんかのきせきの耐久指数は172×123×1.5で31734、また同特防特化時は172×134×1.5で34572であるのに対し、もちものなし防御特化コノヨザルの耐久指数は217×145で31465、同特防特化時は217×156で33852とほぼ同程度になってしまうため、きせきを持たせるだけではまあまあ厳しいことはここへ記しておく。種族統一なら気にしなくていいです

そんなコノヨザル、ワタシとしては総じて「大歓迎」であるため、オコリザルへのあれこれが落ち着いてきたらコノヨザルとコノヨザル統一の考察もいずれ行う……かもしれない。
もうマンキー統一すらも充分考慮できるレベルだぞ!

◆戦術面

自らの進化形、というとんでもない比較対象こそ出てきたものの、それでいてオコリザル自身が行うことに大きな変化はなく、やはりその影響の多くはテラスタルとその周辺に集約されると言っても過言ではないだろう。
どのタイミングで、またどのタイプのテラスタイプを持ち込むか、という点ではあらかじめ考えることが増えているといえる。
幸いなことに、オコリザルは多彩なサブウェポンが持ち味のポケモンであるため、小手先のテラスタルによるタイプ変更であれば弱点を付くのは容易という側面は存在する。少なくとも、かくとうタイプを半減以下にしてくるタイプへ有利を取れるわざはあらかじめ複数持ち込みたい。

また、これは過去作限定わざを持ち込めるようになってからが本番の話ではあるものの、「とくせいパッチ」の登場+仕様変更によりあらゆるとくせい×わざを組み合わせられるようになったことは特筆に値する。

3.SV版オコリザル統一考察(HOME連携前)

なおこの項目の執筆時点ではまだマンキーの孵化すら行えていないため、基本的には机上論ベース&過去のオコリザルちしきの積み重ねによる部分が大半を占めることをあらかじめ断っておく。
また、どうしても大筋では2年前の記事のオコリザル統一考察と似通ってきてしまうことも付記する。

ここでは大きく
◎対面突破タイプ
◎サポート・撹乱タイプ
◎一発芸・ロマンタイプ

の3系統に分類して紹介する。
オコリザルの特性は全て能動的な発動ができないため、ほぼ全ての型において特性は好みで選択してよい。
また、努力値振りについても、種族統一同士がぶつかる「リピートボール級」を想定しているため、どこかに狙いを定めた耐久調整を施さずとも252振りで問題ないだろう……という判断により、ここでは基本的に252振りのみとする。
ただし、「みがわり+ピンチベリー」を使用するための4nまたは4n+1調整や、HPに全振りすると偶数(実数値172)になることを避けたHP244振り、いのちのたま所持時のダメージを減らすことができる10n-1調整などは考慮する価値がある。
ちなみにオコリザルはHPの種族値が65であるため、個体値がVの場合の無振りor全振りで自動的に4nとなる。

◎対面突破タイプ

・拘りフルアタ型
性格:ようきorいじっぱり
努力値:A252 S252 or H252 A252
持ち物:こだわりハチマキorこだわりスカーフ
わざ:
 優先度高:インファイト/ふんどのこぶしorシャドークロー/ダストシュート(スカーフ時)/とんぼがえり
 好みで選択:じしん/ストーンエッジ/ダストシュート(ハチマキ時)/れいとうパンチ/かみなりパンチ/ほのおのパンチ/げきりん/つじぎり/テラバースト
 優先度低:タネばくだん/あばれる
 読みの上手い人向け(スカーフ時のみ):アンコール/ちょうはつ/ステルスロック

オコリザルの基本のひとつにして、もっともカスタマイズ性の高い型。
やはりある程度割り切ったこだわりフルアタ型はシンプルかつ強力であり、SV環境においても選択肢筆頭の候補のひとつと言えるだろう。
攻撃範囲の広い型であるため、ハチマキならば序盤でまだ相手が諸々を整える前のうちに想定外の火力で襲いかかれる先発が、スカーフならば終盤のスイーパーとしての運用が望ましいか。
また、搭載したサブウェポンとあらかじめテラスタイプを揃えておくことで、さらなる「役割破壊」を望める……かもしれないし、テラスタルによる耐性変更を絡めることで厄介となりそうな「アンコール」を実質無視できるのもポイント……かもしれない。

・タスキ型
性格:ようき
努力値:A252 S252
持ち物:きあいのタスキ
わざ:
 優先度高:カウンター
 好みで選択:インファイト/ふんどのこぶし/きしかいせい/アンコール/ステルスロック/とんぼがえり/任意の物理技

こちらもオコリザルの基本的な型となる、とにかく可能な限り対面の相手をなんとかする型。
相手のすばやさ&攻撃面を読み違えない前提で、カウンターかあるいはとんぼがえりによる退場か……などを読む必要がある。
現時点では優秀な過去作限定わざを覚えないため「がむしゃら+しんくうは」が扱えない痛手はあるものの、「殴る→どんな一撃でも耐える→再度殴って倒す」という基本の動きができるようになるため、弱点を突くことで確定2発以内に持ち込むことは容易な部類のポケモンであるオコリザルにとっては「きあいのタスキ」の使い方が勝敗を分けると言っても過言ではない。
加えてSVにおいては「ステルスロック」という新たな選択肢を得たことが大きく、これまではその性質上「相手の手の内がある程度見えた中盤以降で繰り出した方が運用しやすい」という考え方があったものの、攻撃ではなく起点作りのためにタスキを割く運用もまた考慮できるようになったため、これもまた他のオコリザルの型との兼ね合いが重要になってきている。

・強行偵察型
性格:ようき(推奨)orいじっぱり
努力値:H252 S252
持ち物:こだわりスカーフ
わざ:
 確定技:いのちがけ/とんぼがえり
 優先度高:アンコール
 好みで選択:インファイト/ふんどのこぶし/いばる

こちらも初手に繰り出したい型。
基本的には「いのちがけ」で相討ちを狙いたいが、相手のHP種族値には気をつける必要がある。
オコリザルがHP65族のため、同じ65族以下であれば(ゴーストタイプでなければ)問答無用で2on2を強要できる。
相手のHP種族値が97以上の場合は相手がHPに無振りだったとしても絶対に倒せないため選出を控えるか、もしくは耐久に大きく割いたオコリザルと組み合わせる場合のみ、開幕とんぼがえりで様子見を行うことも可能ではある。
そうしてとんぼがえりで再度控えに回った場合は、後の展開次第で強引に繰り出すのも手。
無振りでもそれなりの火力が出せるインファイトで削ったり、補助技などに繰り出したのであればアンコールを撒いて再々度引っ込む……というような運用が考えられる。
参考までに、最速オコリザルにこだわりスカーフを持たせた際のすばやさ実数値は241となり、持ち物なしなら
・最速167族
・相手もスカーフの場合は準速108族
(+当然ながらオコリザルより遅い94族以下の最速)
・相手のすばやさが2段階上昇している場合は最速57族または準速68族
までは抜くことができる。
現在、ランクバトル(シングル)の環境においてはコノヨザルがこれと似たような型による爆弾のような運用をなされているものの、そんなコノヨザルと比べてHPが低い代わりに素早さで勝るため、ことスカーフを持たせる価値は上昇したとも言える。

・こらえる型
性格:ようきorいじっぱり
努力値:A252 S252
持ち物:カムラのみorチイラのみ
わざ:
 確定技:こらえる/きしかいせい
 好みで選択:アクロバット/ダストシュート/ふんどのこぶし/ビルドアップ/みがわり

オコリザル最大火力となるきしかいせいをなんとか当てたい型。
戦術そのものは第3世代のものであり、現代では通用しづらい部分が相当にあるため、実質的にはイバンのみが解禁されるか、または「がむしゃら」が再び持ち込めるようになってからが本番だろう。

・とつげきチョッキ型
性格:いじっぱりorしんちょう
努力値:A252 D252(推奨)or H252 A252
持ち物:とつげきチョッキ
わざ:
 優先度高:インファイトorクロスチョップ/ふんどのこぶしorシャドークロー/とんぼがえり
 好みで選択:じしん/ストーンエッジ/ダストシュート/れいとうパンチ/かみなりパンチ/ほのおのパンチ/げきりん/つじぎり/タネばくだん/テラバースト

使用できるわざ・上昇する能力を考えるとしんかのきせきの完全下位互換となるため、役割の違いを考えるといじっぱりかしんちょうのD振りとして尖らせるほうが望ましい。
当然ながら、パーティ内にしんかのきせきオコリザルが不在の際はとつげきチョッキを着せる理由がないためその点は注意したい。
ちなみに、H4 D252と振った際の特殊耐久指数はいじっぱりで25,803、しんちょうで28,341となるためまあまあ耐える。

◎サポート・撹乱タイプ

・後続サポート型
性格:Sが下がらない&Cが下がる性格から好みで選択
特性:まけんき(推奨)
努力値:H252 残りは好みで選択
持ち物:ゴツゴツメットorメンタルハーブorオボンのみ など
わざ:
 ほぼ確定:とんぼがえり
 優先度高:こわいかお/ステルスロック
 好みで選択:のしかかり/がんせきふうじ/ローキック/じならし/いやなおと
 優先度低:どろぼう/うらみ

先発で繰り出し、相手の能力を下げたり「のしかかり」でまひを狙ったり(願ったり)などの行動を取ったのち、「とんぼがえり」で後続につなげる型。
「すばやさを下げる技持ちを先発に繰り出す」という戦略は種族統一においてはそこそこメジャーとも言えるものであり、この型もそのスタイルに則ったものといえる。
SVにおいては「こわいかお」を覚えたことが大きく、後述する積み型などのようなSに振らない型との相性も良好であるため採用候補に上がってくる。
その上で、まけんきによって同系統の型に強い点が特徴であり、また(上記の「こわいかお」を除けば)攻撃技による遂行が多くなるため「ちょうはつに強い」というメリットが存在するといえばする。

・耐久型
性格:ずぶといorわんぱくorおだやかorしんちょう
努力値:H252 BorD252
持ち物:たべのこし/しんかのきせき(非推奨)
わざ:
 優先度高:ちきゅうなげ
 好みで選択:みがわり/まもる/いばる/あなをほる
 優先度低:のしかかり/かみなり/どくづき/ねむる+ねごと

種族統一名物「本来向かない戦術を強引に実行する」、そんな型。
SVにおいては安定して定数ダメージを与えられる手段が「ちきゅうなげ」のみとなってしまったため、一部の攻撃わざによる追加効果まで動員せざるを得ないあたりに型としての無理そう具合が漂ってならない。
それぞれ特化した場合の耐久指数は、防御は21,156、特防は23,048となる。
数値からも分かるようにまるで高くないため、テラスタル抜きでも高い火力を出せるポケモン相手には出すだけ無駄なことが多いので注意しよう。
SVからはしんかのきせきを持たせるのも手かもしれないが、せっかく得た耐久上昇手段を使うにはいささかもったいない型であるため、パーティ事情とよく相談してもちものを持たせよう。
すばやさは無補正無振りでも実数値が115あるため、このすばやさからでも上を取れる相手にはいばるなどをうまく駆使することで有利に立ち回れる……かもしれない。

・積み型
性格:わんぱくorしんちょうorようき
特性:まけんきorいかりのつぼ
努力値:H252 BorDorS252
持ち物:しんかのきせき(推奨)
わざ:
 確定技:ビルドアップ/ドレインパンチ
 優先度高:ふんどのこぶし/みがわり/いばる/アンコール
 好みで選択:ねむる/ねごと/任意の物理技

こちらはビルドアップをなんとか積み、少しでも能力を上げて戦うことを目的とした型。
「つけあがる」という最も相性の良いわざを失った代わりに「ドレインパンチ」「ふんどのこぶし」に加えしんかのきせきを得たため、総合的にはやや強化程度には収まったか。
かつては何らかの搦め手によって積む隙を捻出したり、あるいはすばやさ関係がきちんと把握した上での「ねむカゴ」戦術まで考慮する必要があったが、しんかのきせき対応となったことでそのあたりの問題は大きく改善されたと言えるだろう。
ただし油断はならない程度の耐久ではあるため、「お互いのすばやさの関係」「相手が持つ能力ダウンわざの種類」「相手の出せる火力」などをある程度頭に入れておく必要があることは変わらない。

◎一発芸・ロマンタイプ

・特殊型
性格:ひかえめorおっとりorうっかりや
特性:やるき(ひかえめの場合は確定)
努力値:C252 HorS252
持ち物:いのちのたまorこだわりメガネorくろおび
わざ:
 確定技:オーバーヒート/かみなり
 優先度高:テラバースト/きあいだま/とんぼがえり
 好みで選択:アンコール/ちょうはつ/ゆびをふる/はかいこうせん/スピードスター

こちらもまた「本来向かない戦術を強引に実行する」型であろう。
「オーバーヒート」や「かみなり」については、「オコリザルの特徴」としてある程度認知されてきているような節がある気がしており(主観)、言うほど意表を突くような形にはならないかもしれない。
Cに特化しても無補正無振りのAより実数値で劣るため、BとDにある程度差がある相手のときや、炎や電気に4倍弱点を持つ相手のときのみ採用を検討できる(フォレトスやペリッパーなど)。
「ゆびをふる」はかなりネタの匂いがするが、特殊技が出ても火力が担保できるという点ではこの型に忍ばせるのも興がある……かもしれない。
SVにおいては新たに「テラバースト」を手に入れたものの、上述の理由できちんとステータスを調整していないオコリザルがテラスタル中に撃つ「テラバースト」はほとんどの場合で物理わざになるため、特殊なテラスタイプのオコリザルを「テラバースト」を所持した特殊型で扱いたい場合はAとCの実数値を必ず確認するようにしよう。

参考:テラスタルオコリザルが「テラバースト」を特殊わざとして撃つ条件
・ひかえめ:
 A個体値は自由。努力値無振りならVでもC>Aとなる
 またA無振り+個体値0であれば、Cに76以上振ればC≧Aとなる
・その他のC↑性格:
 C特化の場合はA無振り+個体値27以下でC≧Aとなる
 耐久調整などでもしA0とする場合は、Cに156以上振ればC≧Aとなる

・急所型
性格:ようき
努力値:S252 HorA252
持ち物:ピントレンズorきあいのタスキorオボンのみ
わざ:
 確定技:クロスチョップ
 優先度高:シャドークロー/ストーンエッジ/つじぎり/きあいだめ/みがわり
 好みで選択:任意の物理技

特に急所にまつわる特性を持っているわけではないものの、きあいだめと4つの急所技を扱える点で特徴的なため一考の余地がある型。SVでは遂に「シャドークロー」を手に入れたため、相性補完を考えるとこちらはほぼ確定として考えてもいいかもしれない。
ピントレンズ(急所ランク+1)を持たせて急所技(急所ランク+1)の急所ランクを+2にすることで急所率50%に賭けるか、もしくは「きあいだめ」(急所ランク+2)をなんとか使用することで急所技の急所ランクを+3(=確定急所)にするか、という2パターンが考えられる。
わざ欄にはないものの、「きあいだめ」を使用できた場合は急所率50%、すなわち50%の確率で不利な能力低下を無視できるため、オコリザルが唯一覚える自身の攻撃面能力の低下技である「オーバーヒート」を連発できるようになる……かもしれない。(ピントレンズまで持たせれば確定急所にできるが、そこまでしても得られるリターンが大したことないので無理に狙うことはないだろう。)
なおばかぢからは覚えられない。そういうのはアブソルに任せy・・おいどこ行っちまったんだよアブソル!!!……え?クリスマス?

・からぶりほけん型
性格:いじっぱりorさみしがりorやんちゃ
努力値:A252 HorS252または好みで調整
持ち物:からぶりほけん
わざ:
 優先技:クロスチョップorストーンエッジorダストシュート
 優先度高:アクロバット/じだんだ
 好みで選択:いばる/いやなおと/きあいだま/かみなり

からぶりほけんを何としてでも活かしたい型。
わざを外しても高火力アクロバットと高火力じだんだの2択を取ることができる。ちなみにこの2つを両立できるポケモンはHOME連携前のSVにおいてはオコリザル系統を含め7系統(+禁止級にコライドン)のみであり、またその全員がどちらのわざタイプとも不一致である珍しい状態になっている。
ところが悲しいかな、優秀な低命中わざの多くを失ってしまったため、物理の選択肢は命中80のものしかない。
特殊であれば命中率が心もとない大技をいくつか覚えるため、好みでそちらの技を選ぶのも一興か。

・のどスプレー型
性格:CorSが上がりAorBorDが下がる性格
努力値:C252 HorS252
持ち物:のどスプレー
わざ:
 確定技:いやなおと
 優先度高:かみなり/きあいだま
 好みで選択:オーバーヒート/ステルスロック/こわいかお/アンコール/ちょうはつ/あまごい/にほんばれ

特殊火力を補う手段としてのどスプレーを選んでしまった狂気の型。
比較的相性が良かった気もする「さわぐ」「いびき」を失ってしまったため、のどスプレーを発動する手段がなんと「いやなおと」しかない。そのためいやなおとによるBダウンを後続のサポートと割り切るか、あるいはこの型でなんとか活かそうとするかは判断の分かれどころだろう。
ちなみに「いやなおと」は命中85%であるため、15%の確率でスプレーの消費すらできずにターンを棒に振るリスクがあるので注意しよう。注意しようがない

今回の記事では12種類の型を紹介した。
SVにて初登場したどうぐをメインに据えた型も考察の余地があるが、今回の記事では時間が足りないためまたの機会とさせていただく。

4.オコリザルとテラスタル

この項では、全18タイプのテラスタイプとオコリザルとの相性についてをタイプ別に羅列していく。
それぞれにどのようなメリットがあるのか、とくせいやわざの有用な組み合わせがある場合はそれらも紹介する。
(画像が載っていないテラスタイプのオコリザルを所持している方は、ぜひ交換していただきたいのでどうかご一報ください)

💎ノーマル

・ゴーストを半減以下にできる2タイプの片方。あくより秀でる点は「フェアリー弱点を持ち越さない」という点。
・「あばれる」「のしかかり」(「ギガインパクト」「はかいこうせん」)を一致で撃てるようになる。
・物理テラバーストの価値はないに等しい(非接触である点のみ)。テラスタルしないときの特殊ノーマルとしてなら可能性はある(が「さわぐ」が解禁されたらその優位性も薄まる)。

👊かくとう

長年「こぶし」というNNをつけてきた身としては嬉しいビジュアル

・タイプ相性はそのままながら、(どうせ耐性を変えても耐える要素は薄いため)大本命テラスタイプのひとつ。
・耐性変化は一切ないため、「一致わざの威力が上がる」という一点のみに価値を見出すことになる。一致「インファイト」の火力指数が無補正A252であっても37,680にまで上昇するため、オコリザルの「やられる前にやる」のスタイルと合致している部分が少なくない。
・ただし、苦手である相手への切り返し手段としての使い方を完全に捨てているため、明らかに不利な相手がいるときにかくとうテラスタルを切るのはやや勇気がいる。

🎈ひこう

・フワーッ!
・やや扱いが難しいテラスタイプ。
・相性としては「もともと受けられたいわタイプが抜群になってしまう」程度の接点なものの、それ以上にひこうタイプの特徴である「接地しない」というところによる影響が出てくる。
・各種フィールドの影響を受けなくなることによるデメリットが目立つ点は逆風か。具体的にはエレキフィールド/グラスフィールド下で一部のわざのダメージが上昇しなくなる点が一番大きく、またサイコフィールド下においても相手からの先制わざを受けてしまうのは、きあいのタスキなどで残り少ないHPとなったときの一手を防げなくなる点で辛いものがある。
・「アクロバット」を一致で撃てるようになる。どうぐの消費前であれば威力55でしかないため、わざ構成次第では「テラバースト」の採用は候補に上がる。
・かくとうタイプとひこうタイプのわざを同時に一致で撃てる点はメリットであり、どうぐ消費後の威力165の「アクロバット」と威力180の「インファイト」による攻勢に向いているテラスタイプといえる。

☠どく

ロケット団のしたっぱならみんな毒テラスタルをしそう(偏見)

・比較的有力テラスタイプのひとつ。
・テラレイドバトルをせずともフィールド上で入手できるテラスタイプ。ナッペ山のフリッジタウン北西あたりへ向かおう!タマゴわざの「アンコール」も覚えてるぞ!
・にっくきフェアリーに制裁をするためのテラスタイプ。相手のフェアリーわざを半減しつつ、こちらからは一致「ダストシュート」でおしおきができる。
・不一致「ダストシュート」=一致「どくづき」であるため、耐久が大したことない相手だったり、また低命中わざを当てる自信のない異教徒の皆様は「どくづき」選択も一考である。
・そのため「テラバースト」の出る幕はほぼない。
・エスパー弱点はそのままな点は注意。相手がエスパータイプであるならこちらから弱点を突くことは容易であるものの、基本的には持ち出すべきではないだろう。
・相手がフェアリー/エスパーだった?抜かれたりトリル持ちだったりするんだからやめとけやめとけ
・もし今後過去作限定わざが解禁された場合は、「どくどく」を必中で撃てるというメリットがなくはない。

🌏じめん

俺自身が地球となることだ

・使い所がありそうなほうのテラスタイプ。
・まひを防ぐことはできないものの、その主原因のひとつである「でんじは」を無効にできる点は、相手を抜けているかどうかが重要になりがちなオコリザルとしては非常に大きなメリットである。
・「じしん」「じだんだ」「じならし」「あなをほる」を一致で撃つことができるようになる。そのため、特殊型にでもしない限りはテラバーストを持つ意義は薄い。

🗿いわ

(「岩」の絵文字ってまだ新しいせいでWin10では出てこないんだね……)
・弱点のひとつであるひこうタイプを半減にすることができるテラスタイプ。代わりに別の弱点が激増するため、相手を見て持ち込まない判断も必要になってくるだろう。
・弱点が増えまくることで、きあいのタスキ+「カウンター」との相性が多少良い可能性がある。油断は禁物。
・また同様に、相手が「すなおこし」「すなはき」であることが予想できる際に、きあいのタスキ持ちのオコリザルをいわテラスタイプにする作戦は考えられる。ただし出すタイミングには注意を払いたい。
・「ストーンエッジ」「いわなだれ」「がんせきふうじ」を一致で撃てるようになる。そのため、やはり「テラバースト」はほぼ不要だろう。

🦋むし

テラスタルオコリザル史上さいかわと話題に

・触覚がかわいい。
・タイプ一致で打てるようになるのは「とんぼがえり」のみであるため、今後もしイカなどのむし4倍タイプが増えてきた際にはテラバーストの搭載も考慮できる。
・耐性面としてはひこう弱点をそのままにしてしまう点や、耐えられたはずのいわが弱点になる点など、いまいち見るところが少ない。
触覚がかわいい。

👻ゴースト

・有力タイプのひとつ。
・耐性としては本来受けられたあくタイプが抜群になってしまうものの、テラバースト以外で相手のあくタイプわざが考慮できる場合はテラスタルを切らなければよく、また相手があくタイプなのであればこちらの一致格闘わざで懲らしめてやればよい。
・真価を発揮するのはこれまで苦手にしていた鈍足ゴーストタイプ相手のときで、テラスタルする前に受けたダメージを糧に一致「ふんどのこぶし」で応戦できるようになる。相手が殴ってこないタイプだった?諦めよう!
・「ふんどのこぶし」「シャドークロー」を一致で撃てるようになる。そのため、あまり何度も攻撃を受け止められない型であれば「テラバースト」の搭載余地もあるにはある。
・変わったところでは「のろい」を呪い側の効果として扱えるようになるため、耐久型で鈍い効果のほうの「のろい」で積む→テラスタルして呪い効果の「のろい」を使う……というような浪漫コンボが狙えるかもしれない。

🪓はがね

・単体で優秀なタイプであるため、あまり攻撃を行わない型であれば採用を考慮できるテラスタイプ。
・通常は弱点であるひこう/エスパー/フェアリーのすべてのタイプを半減にできる唯一のテラスタイプであり、単純な弱点対策としては最も有用とすら言える。
・反面、唯一のはがねわざだった「アイアンテール」を覚えられなくなってしまったため、はがねわざの威力上昇の恩恵は「テラバースト」以外で受けることができない。バレパン遺伝化はよ
・逆に言えば、はがねタイプのわざが欲しい際はこのテラスタイプにして「テラバースト」を搭載する以外ないとも言える。
・はがねタイプは特性じりょくが相手だと交代ができなくなるデメリットがあるものの、じりょくを持つポケモンは例外なくかくとう弱点であるため、仮に捕まえられたとしても(相手のテラスタルを考慮しなければ)一致格闘わざで充分に応戦が可能。

🕯ほのお

この灯が尽きたときコノヨザルに進化する(しない)

・有力テラスタイプのひとつ。
・先手を打ってテラスタルする必要があるもののやけど無効は非常に大きく、物理主体で戦うオコリザルにとっては頼もしいタイプのひとつとなる。
・「ほのおのパンチ」「オーバーヒート」を一致で撃てるようになる。物理は威力差が小さく、特殊は大きく差を開けているためテラバーストの採用スペースはなさそう。
・耐性面ではフェアリー弱点を一転して半減にできる点が最も大きい。増える弱点のタイプが軒並みくさ弱点であるため、ひょっとすると「タネばくだん」との相性が最も良いテラスタイプのひとつ……かもしれない。(なお一致「インファイト」>2倍「タネばくだん」ではある)

⛲みず

・筆舌に尽くしがたいテラスタイプ。
耐性面は様変わりと言ってよく、従来の弱点はすべて隠せるもののまるごと新たな弱点へと切り替わってしまう。また耐性もまるごと変化してしまい、テラスタル前後で耐性が変わらないタイプが等倍以外存在しない。
・一致で使えるわざは覚えないため、「テラバースト」の採用は検討できる。ただし所詮は一致込み威力120であるため、明確な目的なしにこのテラスタイプにすることは望ましくない。
・一応「あまごい」を覚えるため、みずテラスタイプ以外のオコリザルで雨を降らせたあとに特殊型オコリザルを「かみなり」と共にみずテラスタイプで運用する……という手もあるか。

🌻くさ

・弱点が増えまくるため、扱いの難しいテラスタイプ。
・くさタイプの特徴として「粉のわざ無効」があるものの、最も警戒したい粉のわざである「キノコのほうし」「ねむりごな」はやるきで防げ、また次に厄介な「しびれごな」ならでんきテラスタイプの選択肢もある……と難しい。
・耐性面ではひこう弱点がそのままである点は注意したい。
・「タネばくだん」を一致で撃てるようになる。そのため威力が同じ「テラバースト」の採用理由は薄い。
・頭から花を咲かせるオコリザルはかわいい。

💡でんき

・有力なテラスタイプのひとつ。
・弱点が減らせるという点、特にひこう弱点を半減に変更できる点は優秀であるが、それ以上にすばやさが生死を分けるポケモンであるオコリザルにとってはまひ無効の恩恵が極めて大きい。
・「かみなりパンチ」「かみなり」「10まんボルト」を一致で撃てるようになる。そのため、威力5(8)の差が何かしらの確定数に影響しない限り「テラバースト」を採用する理由は無に等しい。
・ふうせんを持たせれば弱点なし!wとなりはするが、耐久が大したことないために等倍で殴られて倒されるのがオチなのであまり向いていない。

👁‍🗨エスパー

・使い所がないわけでもないテラスタイプ。
・耐性面ではやはりエスパーを半減できるというのが一番だろう。相手がエスパータイプだった場合はサブウェポンとしてかくとうわざを持っていることも少なくなく、そちらもまとめて半減できればうま味(あじ)も増すことだろう。サブウェポンがゴーストだったら諦めよう
・対してあくタイプは受けられなくなってしまうものの、あくタイプであればテラスタルを切らずに……といった部分はゴーストテラスタルの項と同様である。
・一致で使えるわざは覚えないため、「テラバースト」の採用が検討できる。とりわけ一致かくとう/不一致ゴーストわざを同時に持っていれば相当の範囲をカバーできるため相性もさほど悪くない。

❄こおり

・正直かなりの玄人向けであるテラスタイプ。
・そもそもの耐性が「こおり半減」しかないタイプであるため、耐性を当てにして変化するテラスタイプではないことはもはや言うまでもあるまい。
・天候あられが廃止され、代わりにゆきとなったため、天候によるスリップダメージを防ぐ目的で使うこともない。
・SVからのこおりタイプは「ゆき時にB1.5倍」という効果を得たものの、1.5倍になりたければしんかのきせきで事足りるため、わざわざ弱点を増やし耐性を減らしてまでその恩恵にあやかろうとするのは本末転倒である。オコリザル自身が天候をゆきにすることができない点もそれに拍車をかける。
・「れいとうパンチ」を一致で撃てるようになる。そのため物理わざとしての「テラバースト」を採用する意義は薄いものの、完全特殊型であるならでんきタイプわざとの相性は良好であるため、ひょっとすると特殊型で採用する価値がわずかにある……かもしれない。

🐲ドラゴン

・ある一点を除けば非常に優秀なテラスタイプ。
・その一点とはひとえに「フェアリー弱点がそのままである」という点であり、フェアリーわざを使う相手に対してはテラスタルを控えるべきだろう。
・耐性そのものはとても優秀であり、くさ/ほのお/みず/でんきを半減するその様は確実に活きる場面が存在することだろう。
・「げきりん」を一致で撃てるようになる。扱いの難しいわざであるため、安定を取るのであれば「テラバースト」の採用がないわけでもないが、威力差が大きいため火力を取ったほうが最終的には得をするものと思われる。
・VSフェアリー対策は確実に行う必要があるため、PT単位でいいので必ず「ダストシュート」持ちを用意するようにしたい。

💥あく

・採用を検討できるラインではあるテラスタイプ。
・こちらもドラゴン同様フェアリー弱点がそのままであるため、その部分はドラゴンの項目を参照されたい。
・あくテラスタイプのメリットとしてはエスパーを無効にできる点であり、半減でもゴリ押してくる可能性がある「アシストパワー」に強く出られるメリットがある。
・「つじぎり」「どろぼう」「ダメおし」「ふくろだたき」「なげつける」を一致で撃てるようになる。特に一回きりであるものの「なげつける」は最大威力130を望める大技であるため、リスクも大きいものの一致になる恩恵は大きいと言える。
・過去作限定わざにも多くのあくタイプわざがあるため、それらが解禁されることがあればその時がもっとも真価を発揮するときであろう。とりわけ「つけあがる」がもし解禁されるならその影響は計り知れない。

💖フェアリー

テラスタルオコリザルでは2番目にかわいい

・にっくきフェアリーの力を自ら得てしまうタイプ。
・フェアリータイプそのものが優秀であるため雑に切ってもそれなりに強いが、耐性変化の面ではこれといってメリットもデメリットもない。強いて言えばあくタイプは継続して半減できるという点は計算がしやすくなるか。
・フェアリータイプのわざは覚えないため、「テラバースト」を搭載する価値は充分にある。じゃれつく習得はよ

・全然関係ないけど、フェアリーのテラスタルジュエルってだいたいシスター・プリンセスだとは思いませんか?ほら!

画像の引用元は以下の20周年サイトより

「プリンセス」なんだからフェアリーに近いんだろうな、まーそういうことさ。なんだかちょっとフェアリータイプが許せるようになってきたな……

5.おわりに

2年前の記事ほどではないものの、ここまでの長大な文量に付き合っていただいた読者氏にまず感謝したい。

新たなわざ習得もそぞろに、遂に新たな進化形まで手にしてしまったオコリザルではあるが、これでもまだ魅力を伝えきれていないとすら思っている。

なんとか年内のうちにはSV版オコリザル統一を仕上げたいと思うものの、社会の役割が重いため今一つ時間を捻出しきれていないのが現状である。テラレイドたのしい!

また、SVにおいてはオコリザルだけでなくコノヨザルの可能性もどんどんほり下げていきたいため、このままではとてもじゃないが時間が足りないのでなんとか””やるき””を出していくしかないだろう。闇めどAIを作るしかない

その暁には新たな記事として公開したいとも思っているため、またその場でお目見えできると嬉しい。

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