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詩| マフラーの隙間に朝は光る

ユートピアまではもうすぐなのだ。
それはシャワーがお湯になるまでの時間くらい。それは人をゆるせるまでの時間みたい。

目を覚ますと空気が凛と静まり返っていて、白銀の世界に置いてけぼりにされまいと、確かめ合って色を付け直した地点。そこが例えばわたしとあなたのユートピア。
街は次第に色付き直り、そのマフラーが何色なのかわたしには分からないけれど、その温もりに赤心が、伏せた瞳に蒼穹が、宿っていると知れたなら、滑って転んでしまわぬようにと祈ることさえ出来てしまう。

赤ら顔の警備員も幼な子はきっと見逃さないし、タトゥーを入れたキャバクラ嬢もきっと寄り添う誰かを探している。
誰もが幸福を願っていて、こんな初雪の降る日には、聞こえないフリも見透かされてしまうようです。

もうすぐそこに見えるはずなのだ。軒並み雪だるまのクリアランス。ユートピアの裏小路に仄かに陽が差す朝ぼらけ。