香料業界分析2 長谷川香料株式会社

第二弾は国内業界2位の長谷川香料です。

高砂香料と共に東証1部に上場していることから社会的信用度も高く、就職活動でも目に留まり易いと思います。
個人的な印象としては理系大学生に特に人気が高い印象です。
日経新聞の理系大学生人気ランキングにも入っていた事があったと思います。

早速に有価証券報告書を見ていきますが、2019年9月末での数字を読み解きたいと思います。
決算は9月末という香料業界では珍しい時期です。
理由は定かでないですが、日本の香料業界は飲料関係が売上比率が高く最盛期に追い込みたいとか何らかの理由があるのかもしれません。

2019年9月期
連結売上504億、単体376億
連結純利益41億、単体50億
連結純利益率8.1%、単体13.2%
連結営業利益49億、単体38億
連結営業利益率9.7%、単体10.1%

2015年9月期
連結売上472億、単体360億
連結売上30億、単体20億
連結利益率1.8%、単体利益率3.4%

前回の高砂香料の記事の時には純利益でしたが、今回は営業利益もいれました。理由は連結利益は41億なのに、単体50億という9億分の差額。
普通は、単体より連結の方が利益額が増えるはずなのに減るということは子会社で何かがマイナスになったことを意味します。

営業利益を見ると連結49億とあるので差額は香料以外の何かで損失を出しているという推察になります。

いずれにしろ長谷川は数字はすごいです。
営業利益で10%を超えて、純利益率13%に達しています。製造業平均4%、食品系3%に対して飛び抜けてます。
しかも4年前と比べてどの指標見ても向上しています。

次にセグメント、地域別に見ていきます。
セグメントは食品部門、フレグランス
438億:食品部門
74億:フレグランス
食品部門が売上の86%となっており、日本の香料市場に近いですが、やや高くでてます。
これは長谷川香料のもつビジネスのうちフルーツ加工品の影響かと思われます。長谷川ビジネスサービスが該当事業と推測されますが、過去の有価証券報告書を見ると70億近くとなり、香料販売が360億程となります。
フルーツ加工品が食品部門としてまとめられている点を考えると、以前はそれなりのボリュームだったのが、今はダウントレンドで苦しいところなんでしょうか。

続いて地域は日本、アジア、アメリカ。

369億:日本
78億:アジア
57億:アメリカ

アジアは15年ごろまで遡るもと中国が50-60億ぐらいはありそうです。中国だけで事業所が3つもあるし納得の数字。
その後18年1月マレーシアのPeresscolを20億ほどで買収して上の数字になる感じでしょうか。
拠点としては中国3、台湾1、タイ1、マレーシア1、インドネシア1という形。
買収するまでアジアでの生産拠点が無かったのは意外です。

研究開発費は45億で売上比率では8.9%です。
食品業界と比較するとアサヒホールディングス:123億(5.6%)となっており、比率が高いです。

まとめ
・国内市場は伸び悩みがあるものの、技術向上を狙う活動はある
・フルーツ加工品は海外市場でどれだけ戦えるか次第
・マレーシアの拠点を得てアジアでの成長を狙う

業界に携るものとしての感覚では、長谷川香料の強さは調香、技術の高さが目立つ印象です。

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