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Twitterに言論統制は必要か


はじめに 

 スペースXとテスラのCEOであるイーロン・マスク氏がTwitterを買収したことが話題になっている。マスク氏は、Twitterが事実上「公共の広場」として機能しているにも関わらず、言論の自由が保障されていないことを買収の理由に挙げた。これまでも、トランプ前アメリカ大統領のアカウントが凍結されたり、一定のツイートが削除されるなどTwitterにおいて「言論統制」が行われていることが知られていた。それでは、Twitterのこの制限は表現の自由に対する侵害と言えるのだろうか。 
 

Twitterの二つの側面 

 この問題を考えるにあたり、Twitterというものを理解する必要がある。ここでは、Twitterを二つの側面から分析していきたい。公共インフラ的側面と、一企業のサービスという側面だ。 
 Twitterの公共インフラ的側面とは、インターネットさえあれば誰でも平等にアクセスすることができ、簡単に情報に触れられるという側面だ。Twitterは無料で使えるSNSとして全世界の人々から利用されている。そしてそこでは情報を得るだけでなく発信することもでき、そこで生まれた交流から赤の他人と繋がることまでできる。まさにマスク氏がいう「公共の広場」として機能しているといえよう。 
 一方でTwitterはあくまでも一企業が提供するサービスである。一民間企業が収益を最大の目標として開発・提供しているサービスであり、企業自身に方針を決定する全権がある。そのため政府が提供する公共サービスとは異なり、そのサービスにはTwitter社の経営方針・思想が色濃く反映されている。つまり、このTwitter社の方針・思想こそがマスク氏のいう「言論統制」となっているのだろう。 
  
 

Twitterに言論の自由を求めるべきか 

 これらのことを踏まえて、私はTwitterに言論の自由を求めるべきではないと思う。それは、Twitterの「一企業によるサービス」という側面に注目しているためである。Twitterは市場の中で利用されるサービスであり、そこに運営者の方針が現れることは自然なことだ。仮に利用者がそれに不満を持つならば、そのサービスから離れることで意思を表明すれば良いのではなかろうか。つまり、あくまでも市場原理の中でTwitterの「言論統制」をコントロールしていくべきだ。 
 利用者離れを受けてTwitterが方針転換をする可能性もありうる。そのようにして是正されていくことの方が企業のサービスとして健全ではないだろうか。 
 
 

マスク氏の買収が提起した問題とは 

 それでは、マスク氏の買収によって人々はどのようなことを考えたのか。それは、特定のプラットホームにおける言論の自由が一企業・一個人の意思によって操作される可能性があるということだ。 
 これまではTwitter社というサービスを創造した会社がその権利を保持していたため、ある意味自然な形での統制となっていた。しかし、マスク氏が個人としてその権利を買収することを表明したことで、資金を出せば個人が「言論統制」を行うことが可能であることが示されたのである。このようなことは、政府による公共事業では起こりえないことである。 
 誰もが経験したことのない新しい局面を迎え、全世界がマスク氏の動向に注目しているのだろう。 

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