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北村薫「六の宮の姫君」

 読書は好きだし自分の趣味それぞれを割合で表せば四割は占める。しかしこの歳まで純文学には学校の授業程度でしか触れた事はなく、よくもまぁこんなにすらすらと<私>は古今の文豪、作品らを引用できるものだと憧れと驚きと嫉妬と敗北感を抱きながら読み進めた。
 <私>や作中人物だけではなく、手に取るきっかけとなった米澤穂信やもう少し前落合陽一にも同じ感情を抱いた。一線で活躍する知識人とは積み重ねてきた知識の質と量がそもそも違うのだと痛感する。まぁ自分の経験を悔やむ事はしないがそれでも二十代中盤から三十代前半無駄にラノベばかり読むのではなく、せめてもう少し幅を広げても良かったのではないか。
 とはいえ運動よりも読書、引いては知識というのは年を取っても積み重ねやすいものだ。実際先日読んだ芥川の「六の宮の姫君」はかつて読んだ芥川作品よりも理解度が高かったように思うし、「せどり男爵数奇譚」を読み始めたが、これも以前で有れば面白さ凄まじさの理解は及ばなかったろうと感じる。
 何か一冊をきっかけに興味が広がり、知識の幅が広がってそれまで理解できなかったものの面白さがわかるようになる。それはとても幸福な事だろう。<私>ほどに博覧強記で有ればきっと読書ももっとずっと楽しいはずだ。
 ひとまずAmazonで検索したら「◯◯作品一冊」みたいなシリーズがたくさんあったので芥川と菊池を購入(加えて乱歩も(乱歩は一時期そこそこ読んでたなぁ)菊池寛はイメージと全然違うお顔つきでした。

(「六の宮の姫君」の感想書いてないんじゃないか?)
(いやまぁ、おもしろかったよ? 色々得るものがありました)

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