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ニンジャスレイヤー二次創作:【ネオサイタマ、カタオキ宅:イグナイト】新たなヴィジョン

この記事は本家スレイトよろしく、更新分のみを表示するためのものです。
過去分は上記の本体記事にまとめてありますので、そちらをご覧ください。


** スレイトに新たなヴィジョンが映し出された **


【ネオサイタマ、カタオキ宅:イグナイト】

「……なんだよ、こりゃ」小綺麗なアパートの一室にエントリーしたイグナイトは目をしかめた。あるはずのないものが、そこにあったからだ。「何って……知ってるだろ、アベ一休」シルバーキーは冷えたペットボトルのチャを手に、事も無げに答えた。そう、パンクバンド『アベ一休』のポスターだ……新品の。

「アタシは知ってるに決まってるけどさ……お前だろ。アベ一休。知ってンのか?」「そりゃあまぁ、名前ぐらいは」そこで……イグナイトの眉間に一段シワが寄った。「名前ぐらいしか知らねェのに、なんで部屋にポスターなんか貼ッてんだって話!」イグナイトは声を荒げ、シルバーキーが差し出しているペットボトルをひったくり、一度に三分の一ほど飲んだ。「プハッ、アー……」

「ほら、最近ウチ来ることも増えただろ。俺ンちはまァ、つまらねぇとこだろうから、少しはこういうのがあった方が落ち着くかと思ってさ」「……アタシがか」「もちろん」イグナイトの眉間にもう一段シワが寄った。そうだ。コイツはこういう男なのだと思い出してから、ペットボトルのチャをさらに飲んだ。乱暴に床に腰を下ろすと、シルバーキーもゆっくりと座り込む。

「なんつーか……アベ一休ってのは、パンクってのはそういう風に使うもんじゃねェんだよ……一応、礼は言っとくけどさ」眉間のシワを緩め、平易な声で言ってみせた。嬉しくないわけではない。下卑た下心からなどではないことは、自分でもよくわかっている。だがそれでも、笑っていいのかイラついていいのかわからない。そもそも、つまらないかどうかという次元でこの男の家に来てなどいないのだが……この手の感情を上手く言葉にできるだけのマインドを、イグナイトはどうにも持ち合わせていない。

「……アー、パンクに対して真剣なんだってのはわかったよ。ヘンな真似して悪かった」「ウン、まァ、ウン……」バツの悪そうなイグナイトに対し、シルバーキーは申し訳なさげにそう言って立ち上がり、ポスターの前へ……。「いや、待て、オイ。何してんだ」「え、だってよ。こういう空気になるなら剥がした方がいいかなッて……」「誰も剥がせとは言ってねェだろォ!?」「アイエッ!?」再度眉間にシワを寄せ、立ち上がる。ポスターをまじまじと見た。やはりアベ一休は良い。それをやすやすと剥がすなどと……ポスターを見つめているうちに、先程までのモヤモヤとした感覚が徐々に霧散してゆく。

「大体場所が悪ィんだよ、場所が……あのへんだ。あのへんにしろ」そう言って違う壁を指差す。「ナンデ」「アタシが座る場所からユシミの顔がよく見える」「アイ、アイ……」苦笑い。「ま、喜んでくれんなら……」「決めた。今度ライブハウス行くぞ」「エッ」「パンク叩き込ンでやっから!」「い、いきなりそりゃキツイんじゃねぇかな……まずはアルバムとかで……」シルバーキーはポスターの位置を変えながらささやかな抵抗を試みるが、無論、無駄だ。

「お前のそういうトコがだなァ!ヌルいこと言ってねぇで覚悟決めやがれ!」「ハハ……お手柔らかに頼むぜ……」「ウッセ!」イグナイトは一蹴するとペットボトルの残りを飲み干し、ゴミ箱へと投げ入れた。


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