メテオ太郎
郊外のとある町に、オーエン夫妻は住んでいた。
小さな地震が起こった夜、夫のバリーと妻のアンナが家の裏へと出てみると、わずかなクレーターと隕石があった。
これが原因で? しかし大きさからするとあの程度の規模で済むはずもない。
二人が戸惑う暇もあればこそ、隕石は鈍い光を放ち、たちまちその姿かたちを変じていったのだ。まるで……人間の子供そのものに!
バリーは激しく面食らい、立ち尽くした。だがアンナはしばしの驚愕の後、ゆっくりと子供に近づき……抱き上げた。
「きっと、悪い子ではないわ」
穏やかな寝顔。額には隕石の欠片のようなものが埋まっていた。
バリーも思案したが、妻の言葉を受け入れることにした。通報はしなかった。事態の異常性から、ともすれば誰もが不幸な目に遭いかねなかったからだ。
子供は次の朝には目覚め、寡黙だったが二人によく懐いた。五歳ほどだった身体は、数ヶ月で十代前半ほどへと成長していった。やはり尋常ではない。だが、芽生えた親の情は何にも勝った。子供が生まれたらと考えていたロックという名も与えた……幸せだった。
……そして、ある朝!
CRAAAASH!! 玄関から破壊音! バリーが様子を見に行く間もなく……男は現れた!
「いたいたァ。子育てご苦労サン」
不気味な笑みを浮かべる謎の大男! ロックを睨む! 庇うアンナ! さらに庇うバリー!
「何だってんだてめぇグワーッ!?」鉄拳!「未成年者略取は重罪だぞォ」
男はロックを護るアンナへと近づく! バリーは痛みをこらえ、護身用の拳銃を構える! BLAM!
命中! だが……金属音!「……!?」すわ、何事か!?
「公務執行妨害と殺人未遂もツイちまった!」男がスーツを脱ぎ捨てると……銀色のボディ! 合金の輝きだ!
「ウチは裁判を受ける権利は採用してなくてなァ! ご愁傷様だ!」
死を覚悟するバリー……その時である!
「ア……!?」
驚愕に染まる男の顔面に、ロックの拳がめり込んでいたのだ。黒く、輝く拳が。
【続く】
スシが供給されます。